DXとAIの関係性とは?DX推進にAIを活用する際の3つのポイント - 株式会社STANDARD

DXとAIの関係性とは?DX推進にAIを活用する際の3つのポイント

DX・AIプロジェクト推進

この記事の目次

  1. AIとは何か
  2. DXとAIの関係性
  3. DXにAI技術を導入した日本企業の事例
  4. DX推進にAIを活用する際の3つのポイント
  5. DXにAIを導入するなら人材の確保が不可欠

DX(デジタルトランスフォーメーション)に対して、「AIで何か新しいことをする」イメージが強いという人もいるでしょう。たしかに実際のDXではAIを活用するケースが多くありますが、「DXの推進」と「AIの導入」はイコールではありません。

そこで本記事では、あらためてAIとは何かを整理したうえで、DX推進との関係性や効果的にAIを用いるためのポイントについて説明します。また、AI導入のための人材確保についても触れていきます。

AIとは何か

「AI(人工知能)」という用語が指すものは、明確に定義されているわけではありません。まずは、「DXに活用する」という文脈において、AIがどのような意味をもつものなのかを以下の観点から整理しておきましょう。

– AIが目指すもの
– 機械学習によりモデルの精度向上を自動化
– ディープラーニングで広がる事業活用

AIが目指すもの

AIをひとことで表すなら、「人間のように思考するコンピューター」を目指すものだといえるでしょう。

コンピューターは複雑な計算を正確にこなしたり、大量のデータを高速で処理したりするのが得意です。その能力は人間をはるかに超えており、これまでもITの活用によりさまざまな業務が改善されてきました。さらにRPAなどの技術が加わることで、効率化のみならず自動化も進んできています。

一方、コンピューターに人間の頭脳のような「思考」を行わせることは簡単ではありません。AIはまず、既存のデータやルールから「学習」を行う必要があります。すると、学習した知識をもとにした「推論」で、新たな結論を導き出せるようになります。

このような仕組みにより人間の思考を「モデル化」して、コンピューター上で再現したものがAIです。従来であれば人間の判断を必要とする業務も、AIによって自動化できる可能性があります。

機械学習によりモデルの精度向上を自動化

AIは一般的に、大量のデータを与えることによって、はじめて適切な推論を行えるようになります。「機械学習」は、このような性質をもつAIに効率的な学習をさせるための有用な手段です。

機械学習を用いれば、AIがデータから学習していく過程を自動化できます。これは、AIに自ら学習させ、そのモデルの精度を段階的に高めていくための手段になるということです。このとき、質のよいデータを十分に用意できるかどうかが、学習の成果を左右する重要な点となります。

機械学習については、詳しく解説した記事があるので、あわせて参考にしてください。

ディープラーニングで広がる事業活用

機械学習は、数学や統計学をはじめとする多くの知識に支えられて実現されています。なかでも重要な要素として位置付けられるのが、「ディープラーニング」と呼ばれる技術です。

ディープラーニングは、2012年に画像認識の分野で脚光を浴びて以来、研究と開発が進められてきました。人間の脳内にある神経細胞の構造をまねることで、複雑なデータからでも柔軟な学習ができるようになった点が特徴です。音声や自然言語の解析など、これまでは難しかった分野への応用が可能であることから、AI技術のブレイクスルーとなりました。

現在では、ディープラーニングをシステム開発に利用するための環境も整ってきています。デジタル技術とデータを最大限に活用するDXにおいても、ディープラーニングを取り入れたAIが広く事業活用されるようになってきました。例えば、RPAなどと組み合わせて、より高度な判断にもとづいた自動化を目指すことが挙げられます。

AIの活用例については、こちらの記事でも詳しく説明しているので、あわせて参考にしてください。

DXとAIの関係性

DXとは、「デジタル技術を活用して顧客に付加価値を与えられる組織・文化を創り続けること」です。この定義については、詳しく説明した記事があるので参考にしてください。

ここでは、DXにおけるAIの位置づけについて、より詳しくみていきましょう。

– DXとAIの違い
– AIは企業変革の実現を支えるデジタル技術のひとつ
– IoTやビッグデータとの組み合わせでメリットが増す

DXとAIの違い

DXの成功事例において、AIを有効活用したものが多くを占めているのはたしかです。しかし、「DXの推進」と「AIの導入」を同一視するのは問題があります。両者の違いを一言であらわすとするなら、DXを「目的」としたとき、AIはそれを達成するための「手段」にあたるものです。

こうした違いを認識しておかなければ、AIの導入が目的化してしまうこともあるかもしれません。その場合、本来の目的であるはずのDXがおろそかになってしまう恐れも出てくるでしょう。実は、これはDX推進においてよくみられる失敗パターンのひとつです。

AIは企業変革の実現を支えるデジタル技術のひとつ

DXの本質は、高度なデジタル化により急速に変化し続ける現在のビジネス環境においても、企業としての競争力を強化・維持していくことにあります。そのためには、組織・文化までを含めた全体を変容させていく、継続的な取り組みが求められます。

そこで重要となるのが、デジタル技術とデータの活用です。このとき、AIはDXに活用できるデジタル技術のひとつの選択肢に過ぎません。とはいえ、AIは活用範囲が広くさまざまな目的にあわせて利用できるため、DXにおいても活用事例が多いのです。

IoTやビッグデータとの組み合わせでメリットが増す

現代のビジネスは、その大部分が情報通信技術(ICT)に支えられて成り立っています。近年では5Gによる高速通信も実用化が進み、どこにでもデータが行き交う状態が日常的になりました。企業にとっては、ビジネスに関連するさまざまなデータを収集・保有しやすい環境が整ったということです。

AIには、大量のデータから適切に学習させることにより、価値の高い推論を行えるようになるという特徴があります。社内プロセスから吸い上げた業務の実施や品質に関するデータのほか、IoTやビッグデータもAIによる学習の「ソース」になります。AIの実用化により、企業が保有するデータの価値が高まったのだといえるでしょう。

AIの使い方しだいで、例えば以下のようなメリットを得られます。

– コスト削減
– 品質ムラの削減
– プロセス改善と生産性向上
– 新規サービスへの応用

AIを導入するメリットについては詳しく説明した記事があるので、あわせて参考にしてください。

DXにAI技術を導入した日本企業の事例

DXにAI技術を導入した日本企業の事例

AIは応用可能な範囲が広いため、業界・業種を越えて多くの企業に取り入れられています。ここからは、AIの導入を考えている企業が参考にしやすいと思われる、以下の4つの活用例を紹介していきます。

– データ活用で研究開発のコストを大幅に削減
– 画像による不良品検出で品質を維持
– RPAで単純作業を削減し生産性を向上
– 音声認識でコールセンターの対応時間を短縮

データ活用で研究開発のコストを大幅に削減

AIに学習をさせる目的は、さまざまなデータのなかに潜んでいる何らかのパターンを発見することにあります。これは、企業が保有する既存のデータからでも、新たな知見を見出せる可能性があるということです。

例えば、製薬会社にはこれまでの実験や研究、各種薬品の特性などのデータが大量に蓄積されています。それらを学習用データとして活用すれば、新薬開発プロセスの最適化を目的としたAIを構築することも可能です。実際に、多くの製薬会社がこのような取り組みを開始しています。また、大幅なコスト削減に成功した例もすでに報告されています。

関連:製薬業界でのAI活用事例【新薬開発へのAI活用】

画像による不良品検出で品質を維持

製造業では、品質の維持に一定のコストがかかるのが通常です。例えば、食品の製造や加工を行う工場では、目視により検品を実施しているケースも少なくないでしょう。

こうした「人の目」によるチェックを、AIを導入することで自動化している例があります。あらかじめ「良品」と「不良品」の画像データから学習させておくことにより、両者を自動的に見分けるシステムを構築するのです。こうしたシステムの応用範囲は、もちろん検品だけにとどまりません。原材料の不良品チェックなどにも、同様の方法による自動化が役立つでしょう。

関連:【AI導入事例】食品加工業界におけるコストダウンに繋がるAI活用事例

RPAで単純作業を削減し生産性を向上

RPAで単純作業を削減し生産性を向上

AIとRPAを組み合わせれば、より広い範囲の業務を効率的にできる可能性があります。RPAとは「Robotic Process Automation(ソフトウェアロボットによる業務自動化)」のことです。これにAIによる判断力が加われば、さらなる自動化が実現できるでしょう。

例えば人事や総務、経理などの部門には、基本的には単純作業であるにもかかわらずマニュアル化が難しい業務が少なくありません。こうした業務の自動化は、従来は困難な課題でした。

しかし近年では、業務内容をAIに学習させることで、自動化に成功した例も出はじめています。実際のケースでは、単純作業に従事する時間が削減されることで生産性が向上するだけでなく、作業者の心理的ストレスが軽減される効果もみられたといいます。

関連:【化学業界でのデジタル技術活用事例】MIやRPAによる収益率と生産性改善

音声認識でコールセンターの対応時間を短縮

コールセンターでは一般的にオペレーターの離職率が高く、人材不足が課題になるケースが多くみられます。一方、スピーディで的確な対応のためには、ベテランの能力も必要です。

そこで、電話対応のマニュアルをデジタル化し、AIによる音声認識と組み合わせた例があります。会話の内容をAIが自動的に認識し、対応する回答の候補をオペレーターに提示するという仕組みです。これにより、適切な回答を探すのに必要だった時間が短縮され、スピーディな対応が可能になりました。また、オペレーターの能力による対応品質の差も減らすことができたといいます。

関連:【コールセンターでのAI活用事例】AIを使った新しいコールセンターはここまで便利に

DX推進にAIを活用する際の3つのポイント

DX推進においてAIを効果的に用いるためには、押さえるべきポイントがあります。ここでは、以下の3つのポイントについて解説します。

– ポイント1:DXを経営戦略に対応させる
– ポイント2:ITシステムを構築できる人材を確保する
– ポイント3:社内教育で人材を増やす

ポイント1:DXを経営戦略に対応させる

企業としての競争力に関わる取り組みである以上、DXは経営戦略と合致していることが重要です。AI導入の目的や期待する効果が、企業のミッションやビジョン、市場のニーズなどと紐づいているかどうかがポイントだといえます。

しかし、技術面での知識不足が、これを困難にしているケースもあります。いかにして技術と経営のギャップを埋め、建設的な議論ができる体制を整えるかが課題となるでしょう。このような課題に対しては、外部のコンサルタントを活用して客観的な視点を取り入れるのもひとつの方法です。

弊社では、そのためのサービスをご用意していますので、ぜひご活用ください。

ポイント2:ITシステムを構築できる人材を確保する

AIを使いこなすためにはディープラーニングを含む機械学習の理論のほか、数学や統計学の基礎知識、専門的なツールに関するスキルなどが必要です。これだけ広範囲にわたる知識・スキルを備えた人材を確保するのは、簡単ではない場合もあるでしょう。AIで何を実現したいかが明らかでも、リソースが確保できないためにDXが進まないケースも考えられるのです。

そこで、開発を委託するという選択肢も出てきます。しかし、AIやDXに関する経験が豊富なベンダーに依頼すれば問題がないとは言い切れません。例えば、開発したシステムがブラックボックス化し、DXでの継続的な利用を妨げるような事態に陥るかもしれないためです。

ベンダーを選ぶ際には、技術やノウハウを隠さず「内製化」に向けた支援を行ってくれるかどうかを基準にするべきでしょう。開発リソースの確保には、弊社のサービスも選択肢のひとつとしてご検討ください。

ポイント3:社内教育で人材を増やす

DXが継続的な取り組みである以上、AIの人材は社内で育成していくことを検討したいところです。すぐには難しくても、長期的な視点でAIの知識・スキルを備えた人材を育成していくことはできます。例えば、委託開発からスタートしつつ、内製化に向けて徐々にノウハウを吸収していく方法があります。

AIの人材育成では、開発に直接関わる技術者のほかに、マネージャーの存在も重要だという点に留意しましょう。AIプロジェクトのマネジメントには、AIならではの考え方や手法が求められるからです。DXを成功させるためにも、AIを知るエンジニアとマネージャーの両方を育成できる計画をたてるのがおすすめです。

弊社では、そのための研修サービスを提供しています。「超実践・実務視点」にこだわり、確実な知識習得を後押しする講座となっていますので、ぜひご活用ください。

DXにAIを導入するなら人材の確保が不可欠

AIは、さまざまな業務の効率化・自動化に応用できる技術です。企業が保有するデータを最大限に活用できることなどから、DXを支える重要な要素のひとつとして広く認知されています。

一方で、AIを使いこなすには広範囲にわたる専門的な知識・スキルが求められます。DX実現に向けた戦略の構築や人材の確保では、必要に応じてコンサルティングサービスや委託開発を活用するとよいでしょう。このとき、社内にノウハウを蓄積していくために、AIの人材育成についても計画するのがおすすめです。

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