【コールセンターでのAI活用事例】AIを使った新しいコールセンターはここまで便利に
コールセンターについて
コールセンターとは、企業の製品やサービス等に関する質問や要望を電話で問い合わせる窓口です。多くの企業がコールセンターを設置し、お客様からの問い合わせに対応しています。
矢野経済研究所が実施した『コールセンターサービス市場/コンタクトセンターソリューション市場の調査を実施(2019年)』によると、2017年度のコールセンターのサービス市場規模は9,153億円、続いて2018年度では9,419億円となりました。今年度には9,870億円、更に来年度には10,000億円を突破する見込みです。
このように、コールセンターサービスは百億円単位での市場規模の成長が見られ、これからもますますの規模増加が伺えます。
コールセンターの課題
以上のように安定的な市場の拡大を続けているコールセンターでも、以下のような課題が挙げられます。
1.離職率の高さ
2.人材不足
離職率の高さ
コールセンターへの問い合わせ内容は、おおまかに分けると、企業の製品やサービスへの質問や、クレームといったものが挙げられます。
どちらにも、対応へのスピード感が非常に重要視され、回答には正確性を要します。オペレーターは、一個人や友人としてのアドバイスではなく、企業によるお客様への真摯な対応でなくてはなりません。そしてお客様からのクレームへは、適切な対応も考えなくてはなりません。つまりは、対応を熟知したベテランの動きが必要とされるのです。
企業内でのコミュニケーション不足や、個人への評価が不透明な場合も少なくありません。こういった業務や環境へのストレスからオペレーターは離職せざるを得なくなります。
人材不足
市場規模が拡大しているということは、需要が高まっていると捉えられます。それをコールセンターの必要性に捉えなおすと、企業への問い合わせが増えていると解釈ができます。そして、コールセンター業界では前述の通り、離職率の高さが課題となっています。離職率が高いので、人材が少ないということも容易に想像がつくでしょう。
人材不足は離職率の高さの原因にもなり得ます。離職率の高さの原因としてコミュニケーション不足を挙げました。この原因も、人材不足が原因によって、オペレーターの精神的なケアを行う人材までも不足し、離職率が高くなり、業界から人がいなくなると人材不足に陥る、という悪循環に陥ってしまっているのです。
市場規模は拡大しているのに、その市場で対応する人材が不足していることが、コールセンター市場が抱えている課題のひとつになります。
関連記事:【AIによる音声認識の活用事例】音声認識で無くなる手間と障壁
(参照元:AI|コールセンターWiki|株式会社ベルシステム24)
(参照元:コールセンターによく見られる課題とその解決策)
コールセンターにおけるAIの活用事例
前述した課題は、人工知能の助けを導入することによって、改善されることが分かりました。では、いくつかの事例を見ていきましょう。
AIによるオペレーター対応の迅速化
人間は、大勢にひとつのことを学ばせても学習率に大きな差が生じ、理解内容もそれぞれ、またその中でも優秀な人材は数少なく、意図的にできるものではありません。
AIは、学習をさせた一個の優秀なモデルを多くのデバイスに組み込むことができます。このAIモデルが、オペレーターの大きな助けとなります。
事例
お客様とオペレーターの会話内容を分析する音声認識ツールを活用し、お客様への適切な回答をオペレーターに提示できるようにしました。
課題
みずほ銀行では、コールセンターでの対応方法を、紙のマニュアル・FAQに記していました。実際の業務では、コールセンターにかかってきた内容に照らし合わせて紙のページを繰るため、探す時間が膨大にかかっていました。それに伴い、顧客一人に対する対応時間は長くなっていました。
結果的に対応できるオペレーターが少ないのに対応時間ばかりが長い、という問題が発生していたのです。
解決策
問題となっていたのは、マニュアルやFAQを探す時間です。
IBM Watsonが音声認識システムとして組み込まれ、顧客とオペレーターの会話を分析し、顧客に対するオペレーターの適切な回答候補を提示するようにしました。
効果
オペレーターのマニュアルを探す時間と手間を削減することができました。オペレーターは、顧客と会話しているだけで、AIがその会話内容から回答候補の探索と提示を行ってくれるからです。
また、このシステムは全て同じように学習しているため、それぞれ別のオペレーターにも同じ回答を示すことができるので、オペレーター間での対応品質の差を無くせるようになりました。
更に、オペレーターはAIの回答候補から顧客に回答できるので、オペレーターへの教育コストは対応マナーの教育のみになり、またオペレーターの経験年数に関わらず同じ回答ができるようになりました。(参照元:みずほFG:『カスタマーサポート表彰制度』の特別賞を受賞)
オペレーターの不安や悩み相談受付で離職率の低減
オペレーターの離職率の高さは、AIを利用することで、低減を図ることが可能になりました。AIによるチャットボットがいつでもオペレーターの悩み相談などを受け付け、オペレーターの不安や悩みを払拭する手助けとなるからです。
事例
ベルシステム24で、LINE公式アカウントにAIを搭載したチャットボットを運用し、コールセンター業務従事者へのコミュニケーションを図りました。
課題
オペレーターは、その業務内容からストレスが溜まりやすいことにより、離職率が高いという課題のある職業です。実際、これらが理由での離職率は上位約50%を占めています。
人によるケアも実施されていたとしても、これには場所・時間の制約が付きものでした。
解決策
自然言語処理と機械学習で有名なIBM Watsonと、LINE公式アカウントを組み合わせて作成された「AI-Chat for 就業者サポート」サービスを導入することで、オペレーターの不安・悩みを24時間、どんな場所でも対応できるようにしました。
効果
オペレーターは、いつでもどこでも、業務への不安や疑問をチャットボットで問い合わせ、すぐに回答やサポートを受けられるようになりました。
また、こうしたやり取りをチャットボットに通すことによって情報を集積することができ、離職リスクの早期発見も可能となりました。
また、オペレーターの管理者は、一人一人への対応をチャットボットに任せることができ、もっと高次な人材管理にリソースを割くことも可能となり、効率化が図られました。(参照元:導入事例|株式会社ベルシステム24|株式会社ベルシステム24)
まとめ
様々な企業で必要不可欠とされるコールセンターは、その職務内容から重要度は高く、しかし人材も集まりにくく、離職率が高いというジレンマを抱えた職業です。これからも様々な道の製品・技術・サービスが出るごとに、コールセンターへの期待度は高まっていくでしょう。
事例のように、AIはオペレーターの職務の手助けとなり、オペレーターの精神的なサポートまでできる、つまりは二つの課題点を解決できることを見てきました。コールセンター業務でお悩みの方は、どのような産業分野の方でも参考にしていただけると思います。
実践にいかせるDX人材育成講座をお探しの方へ
DX推進をするにあたり、社内のDXリテラシー教育は避けては通れない道です。
・人材育成はその効果が図りづらく、投資判断がしづらい
・講座を受講させたいが、対象者が忙しく勉強をする時間がとりづらい
などのお悩みを解決する、
受講開始から最短1日で受講完了でき、受講内容を踏まえたアウトプットが得られる「DXリテラシー講座」をご用意しました。
DXリテラシー講座詳細につきましてはダウンロード資料よりご確認ください。
以下リンクよりフォーム入力ですぐにダウンロードいただけます。