【DXとロードマップ】企業変革を加速させるデジタル戦略の必要性と作り方 - 株式会社STANDARD

【DXとロードマップ】企業変革を加速させるデジタル戦略の必要性と作り方

DX・AIプロジェクト推進

この記事の目次

  1. DXとロードマップにまつわる誤解
  2. DX実現に向けたロードマップの作り方
  3. 高いROIを実現するロードマップを策定するための要素
  4. ロードマップ策定に活用したい経済産業省の「DX加速シナリオ」とは
  5. DXの「壁」を突破して取り組みを加速させるために
  6. DXには人材育成を柱とする戦略を

企業がビジョンの実現に向かって前進していくために、ロードマップは欠かせないツールのひとつです。ロードマップがあれば、優先して取り組むべき事項を正しく認識しながら、迷走せずに進んでいけます。しかし、DXのロードマップを描くことができていない企業は意外に少なくないようです。

そこで本記事では、DXの推進を加速させたい企業にとってロードマップが重要な理由と、その作り方について説明していきます。

DXとロードマップにまつわる誤解

DXのロードマップを描いていない企業にとって、その理由はさまざまでしょう。しかし、もし「ロードマップの必要性を感じていない」のだとしたら、リスクの高い選択をしている可能性が高いといえます。必要ないと感じる背景には、DXとロードマップにまつわる以下のような誤解があると考えられます。

– 誤解1:「我が社の事業にDXは必要ない」
– 誤解2:「DXのロードマップ策定はIT部門の課題だ」
– 誤解3:「DXの推進は専門家に任せるのが安心だ」

まずは、これらの誤解を解きながら、DXにおけるロードマップの必要性について説明していきます。

誤解1:「我が社の事業にDXは必要ない」

近年の市場は高度にデジタル化され、企業をとりまくビジネス環境は激しく変化しています。一方で、そのような流れにおいてもDXに取り組む意義を見いだせないでいる企業は少なくありません。

しかし、「もしDXに取り組まなかったら」と考えてみてください。たとえ現時点では市場において優位なポジションにいる企業でも、DXによって力をつけた他社との競争に、近い将来苦戦を強いられる状況をイメージできるのではないでしょうか。最悪の場合、市場からの撤退を余儀なくされる恐れもあります。

現状をふまえれば、DXへの取り組みはどの企業にとっても必要なものだといえるでしょう。DXに取り組まないという選択は、それ自体がリスクなのです。DXの必要性については、より詳しい記事もあるのであわせて参考にしてください。

誤解2:「DXのロードマップ策定はIT部門の課題だ」

経済産業省は2018年以降、度重なる改修などにより複雑化した社内システムがDXの妨げになるケースについて指摘してきました。また、2025年までにレガシーシステムから脱却しDXを実現できない企業は、大きな損失を出す恐れがあると予測しています(いわゆる「2025年の崖」問題)。

これを受けて、「DXとはレガシーシステムからの脱却のことである」と誤解されている面があるようです。DXにはITシステムの存在が欠かせないこともあり、DXの推進をIT部門に一任してしまうケースも少なくありません。

こうして策定されたロードマップは、「デジタル技術の導入計画」としては必要なものです。しかしDX本来の目的は、ビジネス環境の変化に適応しながら、企業としての競争力を維持していくことにあります。IT部門の課題だけに注目していても、事業に結びつくような効果は期待できないでしょう。DXは、企業全体の課題として事業戦略に落とし込むべきものなのです。

誤解3:「DXの推進は専門家に任せるのが安心だ」

社内に経験やノウハウがないことを理由に、DXの推進を外部のコンサルティング会社に頼るケースも少なくありません。一方、市場での競争力を維持するためには、環境の変化に素早く対応できる柔軟性が求められます。これは、すべてをコンサルタントに任せきりにするのは、リスクが高いことを意味しています。

企業が柔軟性を発揮するには、DXを自社のビジョンや強み・顧客のニーズなどと結びつけて考え、戦略とロードマップに落とし込むことが必要です。その際、いかにしてビジネスとITとのギャップを埋め、DXについて活発に議論できる土壌を整えるかが課題となるでしょう。あらゆる部門の人材がデジタル技術の基礎を身につけ、当事者意識をもってDXに取り組めるようになれば理想的です。

DX実現に向けたロードマップの作り方

DXはあらゆる企業にとって意義があり、戦略やロードマップに組み込んで実施すべきものだということを説明しました。

ここからは、DXにおけるロードマップ策定の手順をステップごとに説明していきます。

– ステップ1:自社のミッションとビジョンを明確にする
– ステップ2:現状を把握しギャップを洗い出す
– ステップ3:マイルストーンと指標を設定する

DXだからといって一般的な事業計画の立案と方法が大きく異なるわけではありませんが、押さえておくとよいポイントがあります。

ステップ1:自社のミッションとビジョンを明確にする

まず、企業のミッションとビジョンが明確であることは、ロードマップを策定する際の前提事項だといえます。DXにおいては、デジタル活用で達成しようとしているゴールを、ミッションとビジョンにもとづいて定めることになるからです。

このとき、DXで目指すべき姿を社内でしっかりと共有することが重要なポイントです。ビジネスのあり方から企業の文化・風土まで含めたゴールに対し、経営層によるコミットメントを示しましょう。DXに全社一丸となって継続的に取り組むためには、経営層の「本気」の姿勢を見せることが欠かせません。

ステップ2:現状を把握しギャップを洗い出す

現状を把握しギャップを洗い出す

DXのゴールが明らかになったら、適切なアクションのために現状との乖離を把握する必要があります。例えば以下のような分析手法(フレームワーク)を用いて、現状分析を行うのがおすすめです。

– 3C分析
– SWOT分析
– PEST分析
– VC分析

ここでは、それぞれの分析手法が何に着目し、どのようなことを把握するためのものなのかについて簡単に紹介します。

3C分析

「3C(スリーシー)分析」は、市場の状況から自社の成功要因(KSF:Key Success Factors)を見出すために役立つ分析手法です。「C」ではじまる以下の3点に着目することで、自社がもつ強みや解決を要する課題などを整理できるようになります。

– Customer(市場・顧客):市場全体や顧客のニーズにどのような変化がみられるか
– Competitor(競合):ニーズの変化に対して競合はどのような対策をとろうとしているか
– Company(自社):上記2点をふまえ、自社は何によって成功するのか

SWOT分析

「SWOT(スワット)分析」は、戦略や計画を明確化したいときに用いられる分析手法です。以下の4点に着目して、自社のビジネスがもつプラス面とマイナス面について整理していきます。

– Strength(強み):自社の競争力につながっている特徴や資産など
– Weakness(弱み):競合に対して自社に足りない要素
– Opportunity(機会):自社にとってチャンスとなる市場の変化
– Threats(脅威):自社が強みを発揮するのを妨げるような市場の変化

これら4つのうちStrengthとWeaknessは内部環境、OpportunityとThreatsは外部環境を表現している点が、この分析手法の特徴といえるでしょう。これにより、自社の状況を総合的に把握しやすくなっています。

PEST分析

「PEST(ペスト)分析」は、戦略策定やマーケティングに役立てるためによく用いられる分析手法です。以下の4点に着目して、ビジネスチャンスとなる要因やリスクとなり得る事項について整理していきます。

– Politics(政治的要因):市場のルールに変化をもたらす法改正や規制緩和など
– Economy(経済的要因):自社に影響する物価や為替、原材料価格などの動向
– Society(社会的要因):需要に影響する人口の推移や世論、文化など
– Technology(技術的要因):新たな競争のステージとなりうるインフラや技術革新

上記4つはいずれも外部環境を表しているという点が、この分析手法の特徴です。自社のみによるコントロールが難しい要因を洗い出すことで、ビジネス環境の変化にいかにして対応していくかを考えやすくなります。

VC分析

「VC(バリューチェーン)分析」は、業務プロセスの改善などに広く役立てられている分析手法です。企業の活動をサプライチェーン(モノの連鎖)だけでなく、バリューチェーン(価値の連鎖)として捉えていきます。具体的には、各種工程を以下の2点に分けて整理していきます。

– 主活動:製品の製造や開発など、ビジネスの価値に直接的に関わる活動
– 支援活動:人事やインフラ管理など、主活動をサポートする活動

この2点に注目するのは、自社の提供価値がどの活動から生まれているのかを把握するためです。これにより、各工程のコストを適切に削減したり、強みを理解して差別化の戦略に役立てたりしやすくなります。

ステップ3:マイルストーンと指標を設定する

現状を分析できたら、ゴールまでに必要なマイルストーン(中間目標)を設定します。あわせて、目標の達成状況を判定するための指標としてKGI・KPIも決定しましょう。

このとき、DXでは小さな変化を積み重ねていく考え方が効果的に働くケースが多い点は注目したいポイントです。実際にDXで成功をおさめている企業の多くが、不確実性をコントロールしやすい「アジャイル」なアプローチを採用しています。これについては、より詳しく説明した記事がありますのであわせてご参照ください。

高いROIを実現するロードマップを策定するための要素

高いROIを実現するロードマップを策定するための要素

ロードマップ策定の際には、DXを投資対効果の高い取り組みとするために取り入れておきたい要素があります。ここでは、以下の3つについて紹介します。

– 客観的な視点にもとづいた現状分析
– 現場のアイデアを取り入れた企画
– デジタル技術に関する共通の理解

客観的な視点にもとづいた現状分析

ロードマップの策定に必要な現状分析の手法については上記でもいくつか紹介しましたが、分析対象には大きく分けて「内部環境」と「外部環境」の2つがありました。

自社の内部環境について正しく分析するには、客観的な視点が欠かせません。また、外部環境の分析においては、市場や競合に関する広い知識が求められます。これらをふまえて偏りのない分析を実施することが、より効果的なDXのためのロードマップ策定につながるといえるでしょう。

その際の有効な手段として、コンサルタントの力を借りた現状分析があります。客観的な視点と、市場や競合についての幅広い知見を外部から取り入れることで、DXにおける投資対効果の最大化を狙うのです。

現場のアイデアを取り入れた企画

現状を変えるためのリアルなアイデアは、日頃の業務を支える現場にこそ数多くあるものです。そのため、DXの課題はトップダウンで考えるばかりでなく、現場の意見にも耳を傾けることで発見しやすくなります。解決が待たれる問題点や、それらを実際に解決するための具体的なアイデアを、できる限り多く社内から集めましょう。

アイデアを収集したら、それぞれについてROI(投資利益率)を算出します。一般的に、少ない投資で大きな改善が見込めるアイデアほど、良質なDX企画につながる可能性が高いといえます。

また、アイデアを実行に移す前に自社のミッションやビジョンと照らし合わせて、優先度を考慮することも大切です。こうしてDX企画を具体化し、実現時期を定めたらロードマップへと落とし込んでいきましょう。

デジタル技術に関する共通の理解

DXにおいては、さまざまなITが課題解決の手段となる可能性があります。DXをより高いROIが見込める取り組みとするためには、デジタル技術に関する基礎知識を社内に浸透させておくことが重要です。

デジタル技術を社内の「共通言語」のひとつにできれば、理想的といえるでしょう。これにより部門間や、経営と現場の間にあったコミュニケーションの垣根は取り払われ、課題解決に向けた現実的な議論が活性化されていきます。

また、どのデジタル技術を用いれば何を実現できるのかを、最新のものも含めて広く知っておくことも役立ちます。そうすれば、個々の課題解決に際して、数あるデジタル技術のなかから最適な組み合わせを選べるようになるでしょう。

ロードマップ策定に活用したい経済産業省の「DX加速シナリオ」とは

経済産業省は2020年12月の「DXレポート2(中間取りまとめ)」のなかで、「DX加速シナリオ」というアクションリストを提示しました。DX実現に向けて実行すべきアクションが、「超短期」「短期」「中長期」と段階的に定義されています。企業がDX推進のロードマップを策定する際に、参考にできる内容です。

1.「超短期」アクション

DXに未着手、または本格的な実施に至っていない企業に必要な施策は、「直ちに(超短期)取り組むべきアクション」として以下の2つに大別されています。

– DXの認知・理解
– 市販製品・サービスの活用

まずは、DXの必要性を認識するとともに、DXとは何かについて理解することが重要です。次に、既存の製品やサービスを活用しながら以下のような対策を行い、事業継続性を高めていきます。

– 業務環境のオンライン化:テレワークシステムなどにより業務とコミュニケーションをオンライン化する
– 業務プロセスのデジタル化:OCRとクラウドストレージによるペーパーレス化やRPAによる自動化を進める
– 従業員の安全・健康管理のデジタル化:活動量計などのツールにより安全・健康な労働環境を整備する
– 顧客接点のデジタル化:ECサイトやチャットボットにより業務を自動化・オンライン化する

2.「短期」アクション

DXへの取り組みを開始し「デジタル企業」への変革を進める企業に必要なアクションは、「短期的対応」に位置づけられ、以下の3つが挙げられています。

– DX推進体制の整備
– DX戦略の策定
– DX推進状況の把握

まず、全社的なコラボレーションのために体制の整備が求められます。ここで行うのは、DXに関する共通理解を促しつつ各人の役割と権限を明確化していくとともに、遠隔でも仕事ができるインフラを構築することです。

次に、デジタル活用による業務プロセスの再設計を実施します。プロセスを継続的に見直すことが、大幅な生産性向上や新たな価値創造につながるDX戦略となるでしょう。そのうえで、取り組みごとの達成状況を定期的に診断することが望ましいとされています。

この時期に必要となるアクションについては、ポイントを整理した記事があるのであわせて参考にしてください。

3.「中長期」アクション

より時間をかけて取り組む必要のあるアクションは「中長期的対応」に位置づけられ、以下の5つが挙げられています。

– デジタルプラットフォームの形成
– 産業変革のさらなる加速
– ベンダー企業の事業変革
– ユーザー企業とベンダー企業との新たな関係
– DX人材の確保

デジタルプラットフォームの形成は、業務プロセスの標準化を進めることによりITのコストと人員を削減していく取り組みの先にあります。業界内の他社との協力によって、共通プラットフォームが実現する可能性も出てくるでしょう。

また、市場の変化に迅速に対応できるITシステムとアジャイルな開発体制の構築が、DXのさらなる加速を促します。その過程で、これまで大規模な受託開発を主としていたベンダー企業の役割は大きく変わり、ユーザー企業の内製化を支援するパートナーのような存在になっていくでしょう。このときに課題となるのは、ITシステムを構築するための技術力や、組織を牽引していく実行力を備えたDX人材の確保です。

DX人材は採用で埋め合わせることもある程度は可能ですが、自社内で育成していくほうが望ましいでしょう。DX推進を担う人材に求められるスキルについては、詳しく説明した記事があるので参考にしてください。

DXの「壁」を突破して取り組みを加速させるために

ここまで、DXを加速させるためのアクションについて説明してきました。しかし、DXの実現に向けてスタートを切った企業の多くが、本格的に「走り出す」前につまずいているという現状があります。DXには、つまずきがちな3つの課題が存在するためです。

DXの成功確率を高めるには、共通の課題について事前に知り、適切に「壁」を乗り越えながら進んでいく計画が必要でしょう。これら「3つの壁」とDXを軌道に乗せるためのロードマップについて解説した記事があるので、あわせて参考にしてください。

DXには人材育成を柱とする戦略を

DX加速シナリオにもあるように、DXの戦略でまず必要となるのは、DXを全社共通の理解とすることです。弊社では、オンラインで受講できる「DXリテラシー講座」を提供しています。ぜひご活用ください。

また、ビジネス環境の分析や施策の立案、人材開発などを支援する「DX戦略コンサルティング」サービスも提供しています。企業ごとの強みや資産を活かしながら収益化を目指せる、ビジョンに合致したDXでロードマップの策定をサポートします。詳しい内容については、下記の「資料ダウンロード」ボタンよりご確認ください。

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