営業のDXとは?失敗しない進め方・成功事例をご紹介 - 株式会社STANDARD

営業のDXとは?失敗しない進め方・成功事例をご紹介

DX・AIプロジェクト推進

この記事の目次

  1. 営業のDXとは
  2. 営業部門が抱える課題
  3. 営業のDXで得られる3つのメリット
  4. 営業のDXを実施するデメリット・失敗例は?
  5. 営業のDXの成功事例
  6. 営業DXの進め方・成功ポイント
  7. まとめ

営業部門におけるDXは、顧客データの効率的な収集・活用が成功の鍵を握ります。しかしDXの取り組みはMAやSFA、CRMなどのツールを導入しただけでは成功しません。DXを成功させるには社内での取り組みが、最終的に「顧客への価値提供」という形で還元されることがポイントとなります。DX推進担当者はよくある失敗例や営業部門が抱える課題を再確認し、自社DXのファーストステップとして必要な施策を知っておきましょう。

営業のDXとは

営業のDXとは営業部門のDXを指しており、顧客データの収集・活用を通じて、顧客に新たな価値を提供する活動を指しています。営業部門のDXは主に「顧客データの効果的な活用」と「自社の営業活動の効率化」に焦点が当てられます。この2つの活動が共鳴することで顧客への新しい価値の提供(DX)が実現するのです。

DXの推進で勘違いしてはいけないのが、業務の効率化・省力化でDXが達成されたと勘違いしてしまうことです。DXが目指すものは「デジタルデータの収集・活用によって顧客に新たな価値を提供すること」にあります。つまりDXの推進過程で得られる業務効率化や業務省力化は通過点であり、それらのメリットの先に顧客への価値提供がなくてはなりません。

ここがDXとデジタル化を分けるポイントであり、営業部門のDXもMAやSFA、CRMなどのツールを導入しただけでは散発的な施策に終わってしまいます。企業のDX推進担当者はステップとしてのIT化・デジタル化と、最終的に目指す場所であるDXの違いを認識した上で取り組みを進めることがポイントです。

なぜ営業部門にDXが必要なのか?

DXの必要性は様々な業界・分野で叫ばれており、営業分野でもDXが引き続き必要とされています。その理由の多くは、営業部門が未だアナログ業務を主として回っていることにあり、「多くのシーン・プロセスでDXによる効率化が可能」と考えられるからです。例えば「対面営業」がその1つで、受注確度の高い顧客・案件に対してタイムリーにアプローチできているなら問題ありませんが、顧客データの適切な管理・共有ができていないことで本来営業すべきでない顧客に対してもアプローチを行ってしまう現状があります。

このような営業部門における適切な営業アプローチは、MAやSFA、CRMツールの導入によって改善できる問題であり、連続的な顧客データの収集・活用を通じて、顧客への新たな価値提供を実現させるステップとなります。

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1-2 DXが実現しなかった場合どうなるのか?

営業部門のDXが実現しなかった場合、企業は企業経営の主軸を担う営業部門が競合他社との競争に負けてしまうため、事業存続の危機に瀕する可能性があります。少し大げさな表現に聞こえてしまいますが、先述した顧客データの連続的な収集・管理・活用ができている企業とそうでない企業とでは日々の顧客活動に質的な差が生まれてしまいます。例えば顧客データに裏付けされた営業活動は、その大部分で無駄のない営業アプローチが可能です。しかし属人的な営業活動を続けた場合、顧客データの多くは営業担当に依存するため、営業をかけるべき適切なタイミングも数値データに基づかない経験・勘に頼るほかありません。

従来問題のなかった営業活動は、今後競合他社のデータ利活用を基盤としたビジネス展開に追いつけないものとなり、様々な営業機会の損失を招く恐れがあるのです。事実様々な業界でデータマーケティングを主軸とした新規参入企業が相次ぎ、既に同じビジネスモデル・事業戦略では戦えない事案が発生しています。企業の担当者はこうした「DXが実現しなかった場合のシナリオ」にも注意しつつ、自社DXの方向性を検討していく必要があります。

営業部門が抱える課題

営業部門が抱える課題には主に以下の4つがあるとされています。

  • 人材の離職・転職によるノウハウの喪失
  • 営業担当ごとの能力差が埋まらない
  • 非効率な営業活動
  • 労働力人口の減少

営業担当の属人的な営業活動は、平常時に問題になることはありませんが、人材の離職・転職などのイベントが発生する度に表面化します。また属人的な営業活動が常態化している営業部門では営業担当ごとの能力差が埋まらない傾向があり、人材の教育にかける時間も非効率なものとなってしまいます。今後労働力人口は減少の一途をたどるため、企業は人が担う業務量を減らし、少ない人数でも安定した業務品質が提供できる状態を整えることが大切になってくるでしょう。

人材の離職・転職によるノウハウの喪失

営業部門に限った話ではありませんが、人材の離職・転職によってノウハウが失われる課題があります。こうした問題はアナログ業務が根強く残る営業分野に多いとされており、人材の流出によって問題が表面化します。営業活動によって得た情報は、本来企業にとって財産といえるべきものです。企業は常にビジネス競争力を失わないために営業活動で得た情報を吸い上げ管理し、部門全体・企業全体に共有できる状態を作ることが理想となります。

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営業担当ごとの能力差が埋まらない

営業活動が属人化している企業では、営業担当ごとの能力差が埋まらない傾向にあります。さらに成果主義の社風を尊重している企業では、担当者同士の情報・ノウハウ共有がそのまま営業活動の評価に繋がってしまうのを危惧し、担当者間の情報共有が活発化しない状況が生まれてしまいます。社内評価制度の調整が必要になる事象ではありますが、企業全体としてのビジネス競争力、他社優位性を考えた時に改善が必要とされます。

非効率な営業活動

従来の営業活動の多くは営業担当の属人的な営業活動に依存してきましたが、IT時代の営業活動は「最適なタイミングで営業をかける」という効率的な営業アプローチが必要となります。様々な営業ツールを駆使して顧客データを定性・定量面の両方で管理し、マーケティング部門と営業部門で即時共有できるような環境を構築するのが理想です。属人的な営業活動からの脱却で反発意見も多くなりますが、社員にはDXの取り組みの意義とメリットをしっかりと伝えていくことがポイントとなります。

労働力人口の減少

総務省の「我が国の労働力人口における課題」、総務省の「2050年までの経済社会の構造変化と政策課題について」によると、日本の労働力人口(就業者と完全失業者を合わせた人口)は減少の一途をたどり、高齢化率は2060年に39.9%を迎える予測となっています。労働力人口の減少がそのまま営業部門における人材不足に直結するとは限りませんが、日本全体の労働力人口が減少する場合、営業部門における人件費削減や省力化の取り組みは今後加速していくことでしょう。企業は事業の生き残りをかけた改革を強いられていますが、それは属人的な企業活動からの脱却が条件となっているのです。

営業のDXで得られる3つのメリット

企業は営業部門のDXを推進することで、どのようなメリットを享受できるのでしょうか。以下に代表的なメリットを記載します。

  • 効率的な営業活動の実施
  • 属人的な営業活動からの脱却
  • BCPを意識した営業活動が行える

営業部門のDXを成功させるには、ただIT化・デジタル化を推進するだけでは実現しません。しかしDXを推進する過程で、営業部門は「効率的な営業活動」を実現したり、「属人的な営業活動からの脱却」による様々なメリットを享受できます。また営業部門のDXに取り組むことで、BCP(事業継続計画)を含めた改革が推進でき、非常時にも安定した企業経営が行えるようになります。

効率的な営業活動の実施

営業部門のDXを推進することで営業活動は効率化されます。例えば営業活動の効率的なマネジメントを可能にするMA・SFA・CRMといったツールは最適な営業機会を創出します。これまで営業担当の経験や勘に頼ってきた営業のタイミングも、各種ツールによって可視化可能なデータとして蓄積されるようになります。インサイドセールスによる営業機会の創出はその典型的な例で、見込み顧客にダイレクトメールや電話等を通じて継続的なアプローチを行い、ニーズが顕在化したタイミングで営業担当に引き継ぐマーケティング手法は、効率的な営業活動を底支えする上で無くてはならないものとなるでしょう。

属人的な営業活動からの脱却

営業部門のDXを推進することで、属人的な営業活動からの脱却が実現します。ポイントは①営業担当やマーケティング部門が得た顧客データがデジタル化され、②即時共有可能な状態で管理・活用されている状態へと改革していくことです。「顧客データの共有」と「営業スキルの標準化」は必ずしも一致しませんが、失注する案件の中には、顧客データの適切な引き継ぎ・共有が不十分なために発生するものもあります。人為的ミスを最小限に抑え、営業部門全体の底上げを図るには、MA・SFA・CRMといったツールによる営業データの可視化・共有体制を構築するのが先になります。

BCPを意識した営業活動が行える

BCP(事業継続計画)とは、企業がテロや災害、システム障害(インシデント)などの危機的な状態にさらされた場合でも、重要な業務を継続し、生き延びられるような状態を構築しておく計画になります。リスクマネジメントには自社でコントロールできる部分と、自然災害などのコントロールできない部分(不可抗力)がありますが、東日本大震災や新型コロナウイルス蔓延の経験から、企業には非常時を想定した経営計画・事業計画が求められているのです。事業存続には当然継続的な売上・利益が必要になりますので、営業部門におけるDXとBCPは密接な関係にあります。コロナ禍で非対面営業の重要性が増したように、今後はBCPを意識したDXがポイントとなるでしょう。

営業のDXを実施するデメリット・失敗例は?

営業部門のDXを推進する上で気になるのは、営業のDXを推進することで発生するデメリットです。DXの取り組みは多くの場合「業務効率化」という形で成果が見えますが、DXの本来の目的である「顧客への新しい価値の提供」という点で躓くケースがあります。よく発生するのが「他部署との連携が上手くいかず、DXの取り組みが散発的な施策に終始する」というものです。営業部門におけるDXとはいっても、顧客データを効率的に管理するにはマーケティング部門との連携が必要になります。またツール導入には経営室や情報システム部門、総務部門との連携も必要になるため、「全社的なDXリテラシーの向上」が成功の鍵を握るといっても過言ではありません。

また社内にDXの取り組みに詳しい人材(DX人材)が居ないことで、DXに必要なツール選びや、DXの全体構想が策定できない問題も発生します。営業部門に限らず、DXの取り組みには①ツール導入にかかる投資コストや、②データ利活用に知識のある人材を確保するための採用コスト、③社内でDX人材を育成するための教育コストなどが発生するため、応急処置的な施策を都度行っていたとしても、いつしか限界が来てしまいます。DXの取り組みを失敗させないためには、自社DXの推進方法を策定する人材を早急に確保し、社内で継続的な運用が可能な体制を整えることが大切です。企業の担当者は「限りある予算を無駄にしないためにできることは何か」を考える必要があります。

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営業のDXの成功事例

営業部門のDX成功事例として、株式会社アイネス様の事例を紹介いたします。株式会社アイネス様は公共・金融・産業の3つのビジネスユニットに分かれて、お客様のDXを各種ICTでサポートする企業です。昨今AI活用に関する問い合わせが急増している状況を鑑み、社員にAIリテラシーの向上を図るための講座やAIエンジニア育成講座を実施しました。その結果、問い合わせ時に「AIにできること・できないこと」を踏まえた最適解の提案ができるようになり、Slerとしてよりパートナー企業に寄り添える存在になったと実感されております。

株式会社アイネス様のDXの取り組みはこちらで詳しく解説しておりますので、気になる方はご覧いただければと思います。

【企業名】株式会社アイネス様

【業種】Sler

【従業員数】1,001人~

 

【背景・課題】

金融業界のお客様からのデジタル化やDX推進に関する関心やご相談が増えてきたため、それに応えられるような知識やスキルを身に着ける必要があった。

 

【導入サービス】

AIリテラシー講座、AIマネジメント講座、AIエンジニアリング講座をご受講。

 

【効果】

AIは万能なものではなく、できることとできないことの線引きをする必要があることを理解でき、お客様への提案にもいかせた。 また、より具体的で根拠のある提案ができるようになり、課題ベースで最適な手法としてAIを提案することができるようになった。

営業DXの進め方・成功ポイント

営業部門が抱える課題や失敗する理由などを踏まえた上で、営業部門のDXの進め方・成功するポイントは以下の3つになります。

  • 全社的なDXリテラシーの向上を図る
  • DXの全体構想から考える
  • 自社でDXを主導する

まずはDXとは何か?という問いに対して、全社員が一定水準以上の理解を持っていることが理想となります。先述したように、DXの取り組みは決して一部門で完結することはなく、他部署の理解・連携があって初めて事業単位のDXが成功します。DXの最終的な目的は「顧客への新しい価値の提供」であるため、全社的なDXリテラシーの向上を図ることが初めの一歩となります。

次に必要となるのが「DXの全体構想を考える」という工程です。DXの取り組みが失敗するケースの中には「DXが自社で完結する取り組みとして進行した結果、顧客への価値提供が実現しなかった」というものがあります。こうした失敗例は多くの場合、DXの全体構想から考えずに取り組みを進めたことで発生するものです。競合他社が続々とDXの取り組みを始めている場合は焦りもありますが、しっかりと自社DXの全体像を描き切ることが大切になってきます。

そしてDXの取り組みを成功させる上で、大きな鍵を握るのが「自社でDXを主導する」というポイントです。DXには様々な段階がありますが、いずれAIやRPAなどを用いた業務自動化・業務効率化の実現へと取り組みは移行することでしょう。その段階でベンダーやパートナー企業主導のDXを進めていては、ツールの設計や開発、運用方法の策定に時間がかかるケースがあります。DXの取り組みは着実に進めることが重要ですが、いち早く市場優位性を確保するためのスピード感も大切になってきます。市場変化による急な変更等もDXの取り組みでは起こり得ますので、自社でDXの舵取りができるような体制を構築し、ベンダー・パートナー企業との関係性を再構築しましょう。

まとめ

営業部門におけるDXは多くの場合MAやSFA、CRMの導入等によって始まりますが、社内業務の改善が見えた段階で満足し、DXの本来の目的である「顧客への新しい価値の提供」が達成されないケースがあります。またツール導入によって得られる競合優位性も、一時的に効果があるだけで、中長期的な企業活動で見た場合には散発的な施策として認識される可能性もあるでしょう。こうした失敗を招かないためには、DXの全体像を描き切るためのリテラシーの向上が欠かせません。弊社では中小企業様から数千人規模の社員を抱える企業様まで規模を問わず、全社的なDXリテラシーの向上を図る「DXリテラシー講座」を提供しております。50以上の業界事例から事業アイデアの解像度を高めるお手伝いをしておりますので、気になる方はこちらから授業カリキュラム等を確認いただけますと幸いです。

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