AI活用のメリットとデメリットや導入企業の成功事例を解説 - 株式会社STANDARD

AI活用のメリットとデメリットや導入企業の成功事例を解説

DX・AI技術・事例解説

この記事の目次

  1. AIとは?
  2. AI導入のメリット
  3. AIの5つのデメリット
  4. AI導入時の注意点
  5. AI活用で成果をあげた企業の事例
  6. AI導入の具体例
  7. 従来のAIだけでなく生成AIも活用できる人材を

AI導入によって企業はどのようなメリットを享受できるのでしょうか。今回の記事ではAI導入によって得られる業務上のメリットを紹介すると同時に、導入時の注意点、導入後のデメリットも解説していきます。

AIとは?

AI導入のメリットやデメリットなど問題点の解説に入る前にAIとは何かを解説します

AIとはArtificial Intelligenceの略称で、コンピューターが人間の知的動作・ふるまい等の一部をソフトウェアによって再現したものです。現在はその中心技術に「機械学習」が採用されており、コンピューターはあるデータを反復的に学習した結果、学習過程に潜むパターンを見つけ記憶していくことで「自ら学ぶ」を実現しています。

とはいえ現段階では「人間と同じように感情を持ち、思考すること」は出来ず、あるデータや規則性(パターン)を学習し、そこから推測される結果を予想するといったレベルに留まっています。しかしAI研究者の間では「AIが人間の能力を超える時点(シンギュラリティ:技術的特異点)」について活発に議論されており、日々の技術革新から目が離せません。

AIにできること

AIにできることとして、主に下記の3つが挙げられます。

  1. 音声認識
  2. 画像認識
  3. 自然言語処理

音声認識と画像認識はそれぞれ「対象の音声・画像が何であるのか?」をAIが判断することができます。また自然言語処理は「人間が使用する意味の曖昧性を内包した言語の処理」を意味しており、ある言葉や文章を形態素ごとの分解や、文脈に応じた解釈を推論ベースで処理していく行為です。これらは様々なデジタル技術・ICTツールに使用されており、我々の日々の生活を支えています。

AIにできないこと

AIにできないことは人間のように「0から1を創造する」ことや、「規則性やパターンが見つからない場面からのアイデアの創出」などがあります。AIは機械学習に基づいて何らかの行為・結果を生み出すため、人間のように複雑かつ様々な因子を結びつけた形で創出されるアイデアとは一線を画している状況です。

関連:今さら聞けないAIとは?企業活動に必要な理由・活用例について

しかし介護シーンにおけるコミュニケーションロボットのように、人間の行動や表情をパターンとして学習し、意志を持ったロボットとして活躍するAIも登場しています。機械学習は人間の思考方法や先人が残した知恵を参考に作られた技術のため、技術の進歩につれて人間の知能を超えるシンギュラリティが起こる可能性も十分にあるでしょう。

AI導入のメリット

デメリットや問題点に触れる前にAI導入のメリットについて解説します

AIにはできること、できないことがあることが分かりましたが、ビジネスシーンにおいて具体的にどのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。

  1. 労働力不足の解消
  2. 業務品質の向上
  3. 生産性の向上
  4. 人件費の削減
  5. 労働環境の改善
  6. コミュニケーションの円滑化
  7. 顧客満足度の向上
  8. 人的リソースの最適配置
  9. 社会安全性の向上

労働力不足の解消

AIは規則性やパターンから単純作業や定型業務を自動的に遂行することが可能です。これまで人間が行ってきた業務をAIに代行してもらうことで、人間は他のクリエイティブな業務に時間を充てることができます。

業務品質の向上

AIやRPA(Robotic Process Automation)が単純作業・定型業務の処理を自動化しますが、人間のように長時間の作業による疲れがないため、一定の業務品質を維持することが可能です。人的エラーが発生しにくいため、AIやRPA稼働中は業務品質の向上が期待できます。

生産性の向上

AIによって業務品質の向上・維持が実現することで、業務生産性も向上します。AIの活用によって人材不足を解消したり、定型作業のミスを減らしたりすることで、AI導入は企業利益へと結びついていきます。

人件費の削減

AI・RPA導入により、これまで人間が行ってきた業務を代行させることができるため、人件費を削減することが可能です。例えばAIチャットボットの導入でユーザーからの質問、社内FAQに対応することができます。

労働環境の改善

AIやRPA導入によって業務効率化と業務品質の向上が同時に実現されるため、現場担当者の負担を軽減し、「残業を減らす」といった効果が期待できます。定型業務の多い仕事などはAI・RPA導入によって労働環境の改善に繋げることが可能です。

コミュニケーションの円滑化

AIチャットボットがアプリ・WEBサービスの自動返信・自動応答を行うことで、ユーザーコミュニケーションが円滑化される効果が期待できます。また社内FAQとしてAIチャットボットを利用すれば、社内ヘルプデスクの返信を待たずして社員は回答を得ることができます。

顧客満足度の向上

AIチャットボットの導入によって、ユーザーからの「業務時間外の問い合わせ対応」を行うことができ、顧客満足度の向上が期待できます。またユーザーを待たせることが減るため、サービスの検討・購入に向けた意志決定を早める効果もあります。

人的リソースの最適配置

AI導入によって各業務にかかる時間が大幅に短縮された結果、浮いた人的リソースをクリエイティブな思考力や対応力が求められる業務に充てることができます。昨今はどのような分野の企業もDXの必要性に迫られているため、空いたリソースでDX推進に向けた会議等も進めることができます。

社会安全性の向上

AIが社会全体に浸透していくことで、自動運転やAIを使った機械トラブル・故障の検知が行えるようになります。これまで人的ミスにより引き起こされてきた事故は未然に防ぐことができ、社会安全性が向上します。

AIの5つのデメリット

AI導入のメリットについて解説したうえで本節ではデメリットや問題点についても触れます

一方でAI導入のデメリットは以下の5つになります。

  1. 新たなセキュリティリスク対策が必要
  2. 責任問題に発展する恐れがある
  3. AI人材の採用コストが発生する
  4. 維持コストが発生する
  5. ベンダーロックインが発生する可能性がある

新たなセキュリティリスク対策が必要

業務自動化やAI運用に対する詳しい人材を配置し、発生し得る様々な可能性に対策を講じておく必要があります。従来のセキュリティリスク対策では対応できないことが想定されるため、セキュリティインシデント対応時のマニュアルを作成するなど、不測の事態に備えた準備も必要です。

責任問題に発展する恐れがある

AIの普及が今後さらに進めば、日常生活に直結する場面でも、より本格的にAIが活用されるようになると見込まれます。例えば、自動車の「自動運転」やドローンの「自律飛行」などは、AIの実用化に期待がかかる分野でしょう。

一方、AIを搭載した機器が事故を起こしたとき、その責任の所在が曖昧になってしまう恐れがあるとも言われています。AIはときに人の能力を大きく超えた制御を可能にしますが、「なぜそのような判断に至ったのか」という基準についてはブラックボックス化される傾向が強いためです。

責任あるAI開発のためには、明確な根拠のある判断が可能な仕組みをいかにして整えるかが重要です。これは、今後のAIが解決すべき課題のひとつとされています。

AI人材の採用コストが発生する

AI導入・運用によって業務効率化や業務品質向上を実現できますが、同時にセキュリティリスクやマネジメントに対応できる適切な人材の採用・配置が重要になります。AI人材を採用する場合は採用コストが発生することを覚えておきましょう。

維持コストが発生する

AI開発・導入によって業務効率化が実現しますが、あるAIツール・AIシステムの管理・維持に多額のコストを費やす可能性があります。例えば本来行うべき開発工程をスキップし、初期開発を高速に行うことで発生する「技術的負債」では、運用を開始した後に障害が発生したり、工期が長引いたりといった問題が発生します。作成したAIツール・AIシステムが技術的負債となると、金銭的コストおよび時間的コストが余計に発生してしまう恐れがあるのです。

ベンダーロックインが発生する可能性がある

またAI導入に際して、AI開発を付き合いの長いベンダーに依頼するなどして発生するのがベンダーロックインです。ベンダーロックインとは、開発するシステムやツールが特定のベンダーの技術に大きく依存して作られることを意味します。つまり自社で様々な変更を意図しても、まずはベンダーとの調整からスタートしなければなりません。また作成されたシステム・ツールと導入したいAIシステム・AIツールの相性が悪い場合は、基幹システムの刷新・塩漬けを前提としたAI開発・導入となってしまい多額のコストが発生する可能性があります。

AI導入時の注意点

AIのメリットやデメリット等の問題点についても理解した上で導入における注意事項を説明します

企業DXのAI導入は比較的短期間で開発・運用に踏み切れるアジャイル開発の手法が取られることも多いでしょう。しかし短絡的な計画のもとで作成されたAIは長期的な運用において維持コストがかかり過ぎるシステム・ツールとなってしまう恐れがあります。したがって、AI導入は自社DXの計画の過程に位置づけられることがポイントで、かつ追加の修正・開発等も想定した全体設計がスタートした時点で描き出せていることが重要になります。DXの理想が「自社主導」であれば、ベンダーロックイン等の懸念点を回避したDX戦略が必要になるでしょう。

関連:DX推進ガイドラインとデジタルガバナンス・コードの要点を解説! 

AI活用で成果をあげた企業の事例

AI活用で成果をあげた企業の事例

AIがどのように活用できるのか、もう少し具体的にみていきましょう。ここでは、実際にAIによって成果をあげたとされる事例をピックアップしました。AIの導入で企業が得られるメリットについて、実例から確認してください。

建設:IoTデータをクラウドとAIで分析

建設業界では、人手不足が課題となっています。ベテランの作業者が引退していく一方で、新人の確保は思うように進んでいません。

人手が求められる業務のひとつに、建物の管理があります。それぞれ規模や設備が異なる建物を適切に管理するには、多くのベテランが必要になるのが通常です。

そうした状況のなか、「鹿島スマートBM」は生まれました。鹿島建設株式会社が鹿島建物総合管理株式会社、日本マイクロソフト株式会社との3社合同で開発した、建物管理のプラットフォームとなるシステムです。

同システムは、IoT機器から収集した建物の運用データをクラウドに保存し、AIで分析することを可能にします。これにより、空調や照明などのエネルギー消費量を最適化するとともに、機械の故障や異常も検知できるようになりました。AIを活用して建物管理の省人化を実現しただけでなく、コスト削減にも成功した例だといえます。

関連:【建設業界でのAI活用事例】深刻化する人手不足問題へのデジタル化のアプローチ

農業:繊細な収穫作業をAI搭載ロボットで自動化

農作物の収穫というと、畑の土を大きな機械で一気に掘り起こすようなイメージがあるかもしれません。しかし、アスパラガスの収穫方法は少し違っています。成長の具合を目で見て確認しながら、1本ずつ刈り取っていく必要があるのです。

鎌倉の農業ベンチャー「inaho」は、こうした一連の作業をAI搭載のロボットで行えるようにしました。AIがカメラを通して収穫時期を判断し、ロボットアームで的確に収穫していきます。これにより、従来は人の手で行っていた収穫作業のうち、約9割を自動化することに成功しました。

とはいえ、農家がこうしたロボットを導入するには、大きなコストがかかるのが通常です。そこでロボットを販売する代わりに、収穫高に応じた従量課金とすることで導入しやすくした点も、同社の注目すべきところでしょう。AIを核として、収益につながる新たなビジネスモデルを創出した例だといえます。

関連:【農業業界でのAI活用事例】AIを活用した新しい農業スタイルとは?

介護:AIが施設利用者の送迎ルート・配車計画を自動作成

日本全体の人口が減少傾向にあっても、高齢者は増え続けています。そのためデイサービスへのニーズが高まっていますが、業界の人手不足は深刻です。ストレスがかかりやすい仕事であることも、サービスを支える人材が集まりづらい理由のひとつとなっているようです。いかにして現場の作業者の負担を減らすかが課題だといえます。

「DRIVEBOSS」が、そうした課題の一端を解決する存在になるかもしれません。パナソニックカーエレクトロニクス株式会社が開発した、送迎の業務をAIで支援するサービスです。

デイサービスの業務のうち、送迎は約3割を占めています。同サービスを活用すれば、車いすの利用や乗り降りに要する時間、利用者同士の相性や座席配置まで考慮しながら、送迎の計画をたてることが可能です。これにより作業者の負担を軽減するだけでなく、サービス品質の向上にも寄与するものとなっています。

関連:【介護業界でのAI・デジタル技術活用事例】人手不足をRPAなどにより解消

不動産:画像認識技術により物件写真を自動で分類

AIによる画像認識は、さまざまな用途に応用可能な技術です。人が目で見て判断するのと同じように「そこに何が映っているか」を判別できるため、業務の自動化や効率化などに幅広く役立てられています。

大東建託株式会社は、AIによる画像認識を不動産賃貸物件の登録作業に応用しました。物件の写真が「リビング」や「キッチン」など、物件内のどこを撮影したものなのかをAIが判別し、自動的に分類してWebサイトの掲載情報として登録していきます。

同様の作業は人が行っても、物件1つあたり5〜10分程度のものです。しかし、同社の物件登録数は年間約30万件にものぼるため、自動化による大きな効果が見込まれました。結果的には作業時間が約70%削減され、年間にして約3,000時間もの短縮に成功したといいます。

関連:【AIによる画像認識の活用事例】画像認識による高精度・高効率な仕事

AI導入の具体例

AI導入の具体例

AI導入に積極的で、かつ具体的な開発・導入計画を立てつつも、自社に「AIエンジニアが在籍しない」「DX人材が居ない」といった状況が発生している企業も多いことでしょう。以下では弊社が提供する人材育成講座「AI_STANDARD」によって「AI活用ができる人材の育成」を行った事例を掲載しています。自社でAIエンジニアの育成、AI活用ができる人材の発掘・育成を計画している担当者の方々は是非ご一読いただけますと幸いです。

企業名:株式会社日水コン様

業種:電気・ガス・水道

従業員数:501〜1,000人

【主題】

AI導入とAI人材を同時に進め、技術の質向上や効率化へ

【背景・課題】

水道や下水道処理における調査で成分を測って調査している部分にAIを活用できないかと検討をしており、社内でAI活用・実装ができないかと考えていた。 また、会社としてAI活用ができる人材を育成し、他業務にも活用をしたく、人材育成の講座を探していた。

【導入サービス】

会社から選抜された11名がAIエンジニアリング講座をご受講。

【効果】

実際に手を動かしながら学ぶことで、スキル装着ができ、自身のスキルに自信を持つことが出来た。 並行して実際の案件でも学んだ知識を活用し、メンターに質問をすることで応用力も身に付いた。

 

関連:【建設業界でのAI活用事例】深刻化する人手不足問題へのデジタル化のアプローチ

従来のAIだけでなく生成AIも活用できる人材を

AI導入は企業の日々の業務に効率化・生産性向上といったメリットを与えますが、その一方で開発・維持にかかるコストや、ベンダーロックインの実態など、デメリットとなる部分も無視できない重要な施策となります。自社のAI導入を失敗させないためには、DX文脈におけるAI導入を再確認するのはもちろんのこと、維持コストの軽減を想定したAI活用人材の発掘・育成も行うことが大切です。

本記事では従来のAIについて導入のメリットデメリットについて解説してきましたが、ChatGPTをはじめとする生成AIについても、業務の効率化といった面では活用しない手はありません。生成AIについて解説した記事もありますので、ぜひご参考になれば幸いです。

関連:生成AIとは?メリットや活用方法、主なツールを徹底紹介

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