【AIによる画像認識の活用事例】画像認識による高精度・高効率な仕事
画像認識とは?その原理について
画像認識とは、簡単に言うと、人が写真や動画から人やモノを識別することと同じように、機械が画像や動画から特定の物体を認識する技術です。
こう言ってしまうと簡単な技術のように思えます。人である我々は写真を見れば、例えば友人との思い出や家族とどこで写真を撮ったのか、また動画を見れば、人気YouTuberが面白いことをやっているなど、様々なことを認識することができます。今書いただけでも、『人』『建物や場所』を認識して、楽しんだり、懐かしむことができるでしょう。
しかし、機械にそれが出来るでしょうか?
感情を持つことは無くとも、少なくとも『人』である友人や親を背景とは別の物体として切り離して認識ができるのか。また背景にはどういった『場所や建物』があるかなどを識別出来るのか。また更に、現実世界で手書きされた『文字』を読み取ることも課題となってきます。そういったことを可能にする技術が画像認識です。
では、どのように機械に物体を認識、あるいは識別させるのでしょうか。
機械は大量に計算すること、大量に記憶することが得意なので、これらを活かします。まず、画像と画像が示すもののラベルの組を機械に大量に読み込ませ、そのパターンをディープラーニング技術で学習させます。そうすると新たに入ってきた画像にも、その学習結果から画像の識別を行うことができるようになります。
例えば、手書きの文字の”1”という画像と、それは1であることを機械に示します。これを、他の数字や文字に対しても大量に生成し、機械に読み込ませます。すると、また新たに1が書いてある画像を読み込ませれば、機械はそれを1と認識しますし、他の数字や文字に関してもきちんと学習させていれば、多少の差異があってもそれとして識別してくれるようになります。これが機械による画像認識です。
この学習には、一般的には読み込ませる画像が大量であればあるほど正確に学習してくれます。ただし、学習に用いるモデルも、人間にも物覚えが良い人や悪い人がいるように、得意分野や苦手分野が分かれてきますので、画像認識によって何をさせたいかによって選択する必要が出てきます。(参照元:画像認識 – MATLAB & Simulink – MathWorks)
関連:【画像認識の仕組み】研究の歴史から導入しやすいツールまでご紹介!
画像認識の歴史と最新の動向について
画像認識技術は、コンピューターの性能に依存して進化してきたといえます。それは、画像認識技術自体が、コンピューターにとても負荷をかける処理だからです。
画像認識の研究は1960年代から始まっています。しかし、当時はコンピューターの性能にかなりの制限があったので、使用用途や研究の分野もかなり限られており、人工衛星での画像解析の研究が主でした。
1980年代でパソコンが普及し始めると、画像処理専用のハードも開発されました。1990年代には画像認識関連のソフトウェアの開発が進み、研究される分野が増えていきます。
そして近年では、ハードウェアの性能向上もさることながら、ディープラーニング、つまりは深層学習の進歩により、機械による精度は人間と同等以上となってきています。最近は、スマートフォンに顔認証システムや指紋認証システムが導入されていることからも想像がつきやすくなっているかとは思いますが、それだけ精度も向上しており、共に重要度も高まり、ますます私たちの生活には無くてはならないものとなっています。(参照元:画像認識 – MATLAB & Simulink – MathWorks)
企業のビジネスにおける画像認識の活用事例
では、画像認識が実際にはどのように応用・活用されているのか、実例を見ていきましょう
画像認識で不動産物件の自動カテゴライズおよび自動登録
画像認識技術は画像から物体や特徴を識別できるので、人間が目で見て判断、処理していたタスクを代替することができます。
(引用元:不動産物件の画像登録作業の自動化|人工知能(AI)・機械学習のサービス・コンサルティングならブレインパッドより)
事例
画像認識技術を活用して、複数の画像をまとめてシステムに読み込ませるだけで不動産物件の分類・登録が出来るようにしました。
課題
大東建託株式会社では、不動産物件の年間登録件数が約30万件あり、それらを全て担当者が一つ一つ画像から手作業でカテゴライズしてWebサイトに掲載する作業を行っていました。この作業は一件当たり5分から10分ほどを要するため、先ほどの年間登録件数から単純計算で約2000日程の膨大な時間を要していました。
解決策
Googleの「 TensorFlow 」、画像分類モデルをGoogle Cloud Platform™上に構築し、写真の自動カテゴライズ・自動登録を実装しました。
効果
作業に当たっては大部分のタスクを自動化できたため、一件当たりの作業時間が70%削減、年間にして約3千時間の削減で、効率化できました。
(参照元:不動産物件の画像登録作業の自動化|人工知能(AI)・機械学習のサービス・コンサルティングならブレインパッド)
画像認識での不良品検知
画像認識は物体を正しく認識させることに使えますが、逆に、正しく認識できないものについて扱うことも可能です。
(引用元:食品工場の製造ラインにて原材料の不良品検知にAIを活用|人工知能(AI)・機械学習のサービス・コンサルティングならブレインパッドより)
事例
製品となりうるものだけを学習させたモデルに、製品にはなりえない不良品を検知させるようにしました。
課題
キユーピー株式会社では、原材料から不良品を取り除いて食品加工等を行っていますが、原材料は製品とは違って個体差があるので、そこから更に製品には扱えない不良品を見分けるのは難しく、更に量も多いので、多人数・長時間の検品作業が必要でした。
解決策
ここでは良品であるか不良品であるかを区別するモデルではなく、あらかじめ学習させるのは良品のみの特徴だけを学習させ、良品ではないものを取り除くモデルを構築しました。アルゴリズムには、Google提供の「 TensorFlow 」を活用しています。
効果
仕分け精度とスピードが向上し、仕分け作業従事者の負担を軽減することができました。(参照元:食品工場の製造ラインにて原材料の不良品検知にAIを活用|人工知能(AI)・機械学習のサービス・コンサルティングならブレインパッド)
画像認識での管理・監視
画像認識で、上空からドローンで撮影した画像を用いて管理・監視業務を自動化出来ます。
事例
これまで人手で行っていた、自動車の台数を数える仕事を、上空からドローンで撮影した画像を解析して、深層学習を使った技術に変えました。
課題
エアロセンス株式会社では、ドローンの空撮画像を用いての施設管理にディープラーニングを使用することに関心を抱いていましたが、実現には至っておらず、施設管理の精度やコストに問題がありました。
解決策
物体検出にR-CNNというディープラーニングの手法を使いました。R-CNNは主に自動運転や顔認証でも使われている技術です。
効果
今回の認識したい目的物である自動車を空撮画像から高精度で識別でき、また他タスクである資材置き場や施設の自動管理・監視が可能となり、さらに自動管理ができるので施設管理にかかる時間も削減することができました。
(参照元:AIを利用したドローン空撮画像処理による管理対象物の自動検出|人工知能(AI)・機械学習のサービス・コンサルティングならブレインパッド)
(参照元:ブレインパッド、ドローンで空撮した画像の処理にディープラーニングを適用 - エアロセンス社に「機械学習/ディープラーニング活用サービス」を導入 -)
(参照元:R-CNN、Fast R-CNN および Faster R-CNN 入門 – MATLAB & Simulink – MathWorks)
まとめ
画像認識は人が視覚で識別しているものを代替出来ることが可能な技術です。まだまだ人が管理しなければいけない部分はありますが、高精度・高効率化のために画像認識技術の必要性は高まっていくことでしょう。
管理や監視、識別など、膨大な時間や人手・負荷でお悩みのタスクは、本記事のような解決例を参考にしていただけるとよいのではないでしょうか。
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