顧客ニーズを素早く検証!DXのリスクと費用を抑えるMVP開発の手法とは? - 株式会社STANDARD

顧客ニーズを素早く検証!DXのリスクと費用を抑えるMVP開発の手法とは?

DX・AIプロジェクト推進

この記事の目次

  1. MVP開発とは
  2. DXにMVP開発を採用するメリット
  3. MVP開発を失敗させないためのポイント
  4. ポイントを押さえてMVP開発のメリットを最大化するために

DXを推進する多くの企業から、「MVP開発」の手法が注目されています。

MVP(Minimum Viable Product)は、日本語にすると「実用最小限の製品」という意味です。サービス開発の効率化やリソースの削減につながる考え方のひとつとして、スタートアップ企業のほか、大企業に取り入れられるケースも増えています。

そこで本記事では、MVP開発を取り入れる目的やDXにおけるメリット、導入時のポイントなどについて説明します。DXの一環として新サービスを立ち上げたい場合などに役立つ手法なので、ぜひ参考にしてください。

MVP開発とは

MVP開発は、スタートアップビジネスの指南書「リーンスタートアップ」のなかで紹介された概念です。

MVP開発ではまず、サービスの「コア」にあたる最小限の機能のみを開発した時点でサービスをスタートさせます。そのうえで、実際の市場における反応を見ながら徐々に改良を加えていく、というのが基本的なスタイルです。

MVP開発は、変化の激しい市場に新規サービスを投入する際のリスクを最小限に抑えるとともに、ビジネスとしての成功確率を高めながら成長を目指すことを可能にします。

企業がMVP開発を採用する目的

現代の市場は、デジタル化が進みさまざまなサービスで溢れかえっている状況です。やみくもに新サービスを投入しても、ビジネスとして成功できる確率は高くはないでしょう。

例えば、画期的な新サービスや競合よりも多機能なサービスは、一見すると競争力があるように思えます。しかし、実際に「利用する価値がある」と感じて顧客になってくれる消費者がどれほど現れるかを予測するのは簡単ではありません。

これは、ユーザーの課題を解決できる能力を備えているかどうかだけが、サービスの成功を左右する要素ではないことを意味しています。解決可能な課題を抱えたユーザーが実在してはじめて、そのサービスは本来の価値を発揮できるのです。

そこで企業の多くは、自社サービスのニーズが実際にどの程度あるのかを「検証」することを目的として、MVP開発を導入しています。これにより、将来性を見極めたうえで開発を続けられるようにすることが主な狙いです。

ウォーターフォール開発との違い

市場でのニーズを検証することが目的であるため、MVP開発には仮説の検証に足りる最低限の機能のみでサービスをスタートさせるという特徴があります。

これに対し、代表的なソフトウェア開発手法のひとつとして知られる「ウォーターフォール」モデルでは、サービスをスタートさせるまでに多くの(あるいはすべての)機能を揃えようとするのが通常です。サービスを構成する機能一式に加え、ユーザビリティやセキュリティといった非機能要件までも含めて、最初からすべてを開発計画の対象として定義するのです。

そのため、すべてが予定通り完成し使用できる状態になってはじめて、ユーザーはサービスに触れ価値を判断できるようになります。開発規模にもよりますが、この時点でかなりの時間が経過しているでしょう。もし、開発中のサービスに十分なニーズがなかったとしても、早い段階で気づくことは難しいといえます。

DXにMVP開発を採用するメリット

DXにMVP開発を採用するメリット

MVP開発は、DXの一環としてリリースされる新規サービスの開発とも相性のよい手法です。ここでは、DXにMVP開発を採用することで得られるメリットを4つ紹介します。

– メリット1:ユーザー視点でサービスの価値を最大化できる
– メリット2:低コストで効率よく最適解に近づける
– メリット3:新たな市場にいち早く参入できる
– メリット4:開発者のスキルを確認できる

メリット1:ユーザー視点でサービスの価値を最大化できる

MVP開発では、機能を少しずつ追加したり改善したりしていきます。このとき、実装する機能をユーザー視点から決定できる点は大きなメリットだといえるでしょう。実際の市場のなかで、現在の機能がユーザーに受け入れられているかどうかを確認しながら開発を進められるということです。

「この機能には価値があるだろう」という仮説をスピーディに検証しながら進んでいける方法が、MVP開発だといえます。具体的には、以下の2種類の仮説が検証可能です。

– 価値仮説:顧客になってくれる(=お金を払ってくれる)ユーザーがいれば、課題を解決できていると考えられる
– 市場仮説:多くのユーザーが顧客になってくれるほど、ニーズが高く成長の可能性があると考えられる

メリット2:低コストで効率よく最適解に近づける

MVP開発では、サービスを最短ルートで完成形に近づけていけます。機能を実装していく順序を、ユーザーのフィードバックにもとづいて決定できるためです。開発にあたり、後戻りによる大きな無駄が発生しにくい点がメリットだといえます。

最初から完成形を目指す方法よりも、MVP開発のほうがトータルでコストを抑えられる可能性が高いといえるでしょう。また、最初に実装する機能が最小限のものだけに絞り込まれるため、人員や機材などのリソースが少ない状態からでも開発を始められる点もコストダウンに寄与します。

メリット3:新たな市場にいち早く参入できる

MVP開発では、最初のリリースまでに必要な開発を短期間で終えられます。これにより、市場へのサービスの投入を素早く実現できる点もメリットです。

このメリットは、新たな市場への参入を、他社に先駆けて果たせる可能性を示すものでもあります。参入順で一番手になるだけでも、競争上の優位を確保してリスクを抑える効果が期待できるでしょう。

また、「アーリーアダプター」にリーチしやすい点も重要なポイントです。流行に敏感で新しいものに寛容なユーザー層にいち早くサービスを届けることで、サービス内容を気に入って話題にしてもらえる可能性が高まります。

メリット4:開発者のスキルを確認できる

MVP開発では、開発者のスキルレベルも早い段階から検証できます。最初のリリースを目指す際に、サービスのコアとなる「もっとも重要な価値」にあたる部分から実装を進めていくためです。開発したものが要件を十分に満たしているか、適切なスピードで実現ができたか、などを確認できます。

この点は、開発を外部ベンダーに委託する場合にもメリットとなるでしょう。初期の開発品質などから、今後も安心して開発を任せられる発注先かどうかを判断しやすいためです。

MVP開発を失敗させないためのポイント

MVP開発を失敗させないためのポイント

ここまで、MVP開発の導入によりサービス開発のリスクとコストを抑えられることを説明してきました。しかし、どのような場合にでもMVP開発がうまくいくわけではありません。ここでは、失敗を避けながらMVP開発の特徴を活かすためのポイントを4つ紹介します。

– ポイント1:可能な限り開発しない
– ポイント2:完璧なリリースにこだわらない
– ポイント3:MVP以外の方法も検討する
– ポイント4:少数精鋭のチームを構築する

ポイント1:可能な限り開発しない

MVP開発では、開発する範囲をいかに最小限にとどめられるかを十分に検討しておくことが大切です。これは、短期間かつ低コストで最初のリリースを目指すために重要なポイントといえます。また、当初の仮説が正しくなかった場合のリスクを抑えることにもつながります。

仮説を検証できる見込みがあるのなら、最初は「まったく開発しない」という選択も考えられるでしょう。例えば、サービスの実体がユーザーの目に直接触れないような部分なのであれば、作り込む前でもWebサイトのみ構築して利用者を募ることは可能です。実際に利用者が現れたときは、人力で対応しながらニーズを検証していきます。

ポイント2:完璧なリリースにこだわらない

MVP開発を採用するのは、ユーザー視点を取り入れて的確にサービスを改善していけるようにするためです。開発者の視点から完璧なリリースにこだわって時間をかけるよりも、チームとして「学習すること」に力を注ぎましょう。

ここでの「学習」とは、開発チームがユーザーからのフィードバックなどをノウハウとして蓄え、ビジネスモデルを改善する能力を向上させていくことを指します。学習にもとづく軌道修正の繰り返しが、小刻みに開発を進めることを可能にするのです。

ただし、UI(ユーザーインターフェース)についてはある程度の「質」が求められることを念頭においておきましょう。UIの実装をあまり疎かにすると、フィードバックの内容がサービスそのものに対してではなく、「使いやすいかどうか」ばかりに集中してしまうためです。

ポイント3:MVP以外の方法も検討する

MVP以外の方法も検討する

サービス開発の手法は、MVPだけではありません。ほかの手法についても検討したうえで、MVP開発が適しているかどうかを確認しておくことが大切です。例えば最小限の機能のみを開発対象としても、最初のリリースまでに数ヵ月以上の期間を要するようであれば、MVP開発には向いていません。

市場におけるサービスの価値がすでに明らかなら、ウォーターフォール型の開発手法を検討するとよいでしょう。この場合は途中で仕様変更を行うことなく一気に開発でき、ユーザーにも受け入れられるサービスにできる可能性が高いためです。既存サービスの再構築などが、このケースの典型例として当てはまります。

ポイント4:少数精鋭のチームを構築する

MVP開発には、少人数のチーム構成がフィットします。また、このときメンバーに求められる能力は比較的高くなると認識しておきましょう。

コア機能を実装するのに十分な技術力に加え、ユーザーニーズとビジネスモデルに対する理解力や、スピーディに学習と改善を繰り返す「アジャイル型」開発の経験も求められるためです。適正のある人材をタイミングよく揃えられるかどうかが、多くの企業にとって課題となるでしょう。

ポイントを押さえてMVP開発のメリットを最大化するために

MVP開発は、リスクとコストを抑えながら、市場への素早いサービス投入を可能にする手法です。

ただし、スキルを備えた人材をタイムリーに確保する必要があるため、外部の人材に頼らざるを得ないケースも出てくるでしょう。その際は、開発の支援とチームの学習を両立できる弊社の「AI実装支援」サービスをぜひご活用ください。

また、MVP開発のスタートを切るには「どの部分がサービスのコアにあたるのか」、「どうすれば投資対効果を高められるのか」などについて十分に検討する必要があります。弊社の「DX戦略コンサルティング」サービスでは、客観的な分析にもとづいて、御社の特徴や強みを活かしながら収益化を目指せるDX戦略の立案をサポートいたします。

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