データサイエンスとは?DXにおける意味や活用事例・社内教育の方法を紹介 - 株式会社STANDARD

データサイエンスとは?DXにおける意味や活用事例・社内教育の方法を紹介

DX・AI人材育成

この記事の目次

  1. データサイエンスとは
  2. データサイエンティストに求められる3つのスキル
  3. データサイエンス活用事例
  4. DX推進企業がデータサイエンティストを社内教育で確保するには
  5. 「DX推進スキル標準(DSS-P)」におけるデータサイエンティストの3つの役割
  6. データサイエンティストを育成してDXにさらなる推進力を

多くの企業がDX推進に取り組むなか、ビッグデータを扱う機会も増えてきました。データ活用のスキルがビジネスに与える影響は、日増しに大きくなっているといえるでしょう。ビジネス拡大のためには膨大なデータを「何のために」「どのように」活用するかが重要であり、そのために必要とされるのがデータサイエンスです。

本記事では、データサイエンスがDXにおいてどのような意味をもつのかについて説明します。また、データ活用で実際に成果をあげた事例や、データサイエンティストの効果的な社内教育の方法についても紹介します。

データサイエンスとは

データサイエンスとは

「データサイエンス」という用語には、実は明確な定義がありません。一般的には、膨大なデータを分析した結果から得られる知見を、目的に応じて役立てるための研究のことを指して用いられます。

ビジネスにおいては、データサイエンスとは「データから有意義な知見を引き出してビジネス判断に役立てること」だと理解すればよいでしょう。データサインエンスのビジネス活用にどのような意味があるのかを理解するには、AIやDXと関連づけて考えることが大切です。

データサイエンスとAI

データサイエンスがその真価を発揮するのは、膨大で複雑なビッグデータを分析したいときです。このとき、AIを用いるのがメリットのある方法だといえます。AIは、一見しただけではわからないような、ビジネスに意義のある知見を見出すのに適しているからです。

また、AIはデータから学習させることにより、将来の予測などさまざまな判断が行えるようになります。AIによるデータ分析の詳細については、以下の関連記事もあわせて参考にしてください。

関連:AIによるデータ分析とは?効果的な導入のためのポイントも説明

データサイエンスとDX

DXとは、データとデジタル技術を活用して、企業としての価値向上や競争力強化をはかる取り組みです。データから知見を引き出してビジネスに役立てることを得意とするデータサイエンスは、DXにおける必須の要素だといえます。また、データを扱う一連の業務を担う「データサイエンティスト」は、DX推進企業にとって重要な人材です。

DXとデータ活用の関係性については、以下の関連記事もあわせて参考にしてください。

関連:DX推進におけるデータ活用の必要性と日本企業の課題を解決する方法とは

データサイエンティストに求められる3つのスキル

前述のように、「データサイエンティスト」はデータを扱う一連の業務を担う人材です。

一般社団法人データサイエンティスト協会によれば、データサイエンティストには以下の3種類の「力」が求められます。

– ビジネス力:ビジネス課題を整理・解決する
– データサイエンス力:AIや統計学などの知識を駆使する
– データエンジニアリング力:実装・運用の面からデータサイエンスを支える

このように、データサイエンティストはデータ分析だけを担当するわけではありません。データ分析のための環境づくりからビジネスに関する提案まで、データに関する広範な業務での活躍が期待されています。

データサイエンス活用事例

データサイエンス活用事例

ここからは、データサイエンティストの活躍により、実際に成果をあげている5つの事例を紹介します。

– 【運輸】社内のデータ活用基盤を再構築し荷物の配送を予測
– 【交通】AIによるシステム刷新でメンテナンス効率を向上
– 【食品】寿司の注文を予測して環境問題にも貢献
– 【医療】感染症対策にSNSのアンケートを活用
– 【地域】位置情報・地理情報で除雪オペレーターの減少に対応

【運輸】社内のデータ活用基盤を再構築し荷物の配送を予測

ヤマト運輸株式会社は創業から100年を越え、次の100年に向けたDXに取り組んでいます。そのひとつが、AIによる配送の予測です。過去の配送データから機械学習させたAIによって、全国の配送センターにいつ・どのくらいの荷物が届くのかを予測します。

同社の取り組みにおける大きなポイントは、社内にある膨大なデータを集約し、新たな活用基盤として再構築した点です。また、データ提供の窓口として「データコンシェルジュ」を配置し、データサイエンティストが必要とするデータを迅速に手配できる体制も整えています。

【交通】AIによるシステム刷新でメンテナンス効率を向上

東京メトロは、産業能率大学総合研究所とともに土木構築物検査データ管理システムを刷新しました。これにより、AIを活用して点検業務の大幅な効率化に成功しました。

トンネルなどの検査は毎日欠かさず行われ、異常が見つかった際には1m単位で記録されます。従来は、このデータを紙と表計算ソフトで管理していました。これをタブレット端末とクラウドによるシステムで置き換え、AIによる解析を導入したのです。その結果、検査者の負担を減らすとともに、検査結果の共有にかかる期間の大幅な短縮を実現しました。同システムは日常的に稼働しており、地下鉄の安全確保に貢献しています。

【食品】寿司の注文を予測して環境問題にも貢献

回転寿司チェーンを展開する株式会社あきんどスシローは、データ活用により顧客が注文する寿司を予測するシステムを実現しました。

寿司を提供する際に用いる皿にICチップを取り付け、商品ごとの人気や、皿がレーンに乗せられてから取り上げられるまでの動きを追跡します。そのデータを解析することにより、次に何が注文されるのかを常に予測するシステムを構築しました。これにより、収益アップのみならず、廃棄量を75%も減らすことに成功してフードロス削減にも貢献しています。

【医療】感染症対策にSNSのアンケートを活用

厚生労働省は2020年に、新型コロナウイルス感染症のクラスター発生を封じ込める対策の一環として、LINE株式会社と協定を結びSNS「LINE」上での大規模なアンケートを実施しました。

アンケートは、体調の変化や身近な感染対策などについて質問する内容となっており、5回にわたって実施されてました。最大で29.7%のLINEユーザーが回答しており、一回の調査で約2,500万人から回答を得られたことになります。集められたデータの分析結果は、感染予防や企業支援の方針決定などに役立てられました。

【地域】位置情報・地理情報で除雪オペレーターの減少に対応

特別豪雪地帯に指定されている北海道岩見沢市では、少子高齢化などによる除雪オペレーターの減少が課題となっています。その解決策として、クラウドとタブレット向けアプリによる作業支援システムを開発しました。

同システムでは、日本の衛星測位システム「みちびき」による高精度な位置情報と、道路などの地理情報を重ね合わせて表示します。また、除雪車両が障害物に近づいた際の通知機能も搭載しました。これにより、雪に埋まった郵便ポストや消火栓などの位置を把握することで、スムーズかつ安全に除雪作業を行えるようにしたのです。

DX推進企業がデータサイエンティストを社内教育で確保するには

ここまで、DXにおけるデータ活用の事例を紹介してきました。データサイエンスをDXの取り組みに活かすには、データサイエンティストの存在が欠かせません。一方で、データサイエンティストを思うように確保できないと悩んでいる企業も少なくないでしょう。

前述のように、データサイエンティストには幅広いスキルが求められます。DXに取り組む企業が増えるなかで、そのようなスキルを備えた人材を外部から確保するのは難しいのが現状です。社内の人材を教育して、データサイエンティストとして活躍できるようになってもらうほうが得策といえるでしょう。

社内教育でデータサイエンティストを育成するには、まず「データサイエンティストとはどのような人材か」を明確にする必要があります。その際は、経済産業省とIPA(情報処理推進機構)がまとめた資料である「デジタルスキル標準(DSS)」を利用するのがおすすめです。

DX推進に求められるデータサイエンティストの役割については、資料の後半「DX推進スキル標準(DSS-P)」で定義されています。各資料の概要については、以下の記事もあわせて参考にしてください。

参考:経産省の「デジタルスキル標準」が示すDX人材育成の2つの指針とは
参考:「DX推進スキル標準(DSS-P)」が定めたDX人材に求められる役割とは

「DX推進スキル標準(DSS-P)」におけるデータサイエンティストの3つの役割

「DX推進スキル標準(DSS-P)」におけるデータサイエンティストの3つの役割

「DX推進スキル標準(DSS-P)」のなかで、データサイエンティストには以下の3つの「ロール」が定義されています。ロールは「役割」や「任務」という意味の言葉ですが、本資料ではデータサイエンティストを業務の違いにより細分化したものとしています。

– データビジネスストラテジスト
– データサイエンスプロフェッショナル
– データエンジニア

各ロールは、データサイエンティスト協会の説明にある3つの「力」に対応するものです。ロールごとに担うミッションと主要業務、必要なスキルが示されています。ここからは、それぞれのロールの概要について見ていきましょう。

データビジネスストラテジスト

このロールのミッションは、ビジネスの視点からデータ活用の戦略を考えて、その実現を主導することです。

それには、さまざまな人材と連携しながら、データ活用に関するプロジェクトや各種施策をリードする必要があります。そのためデータビジネスストラテジストには、「ビジネス」と「マネジメント」の分野に関する高いスキルが求められます。

データサイエンスプロフェッショナル

このロールのミッションは、データサイエンスの専門家として、データから有意義な知見を導き出すことです。

それには、AIなどを駆使してデータを分析し、ビジネス創出や業務改善につながる知見を可視化する必要があります。そのためデータサイエンスプロフェッショナルには、「データサイエンス」の分野に関する知識・スキルが強く求められます。

データエンジニア

このロールのミッションは、エンジニアリングの面からデータ分析を効果的に行える環境をつくることです。

それには、各種データを収集・分析するためのシステムを設計し、最適な状態で稼働させる必要があります。そのためデータエンジニアには、データを扱う技術のほか、ソフトウェアエンジニアとしてのスキルも求められます。

データサイエンティストを育成してDXにさらなる推進力を

データサイエンスは、データとデジタル技術を活用するDXの取り組みに必須の要素です。その広範な業務を担うデータサイエンティストの育成は、DXで成果をあげたい企業の課題だといえるでしょう。

人材育成の課題を解決するには、デジタルスキル標準に準拠した方法がおすすめです。データサイエンティストを含め、自社のDXにどのような人材が必要かを明確にしたうえで具体的な育成を進めていくとよいでしょう。

そこで、DX人材の育成について解説する無料のホワイトペーパーをご用意しました。下記の「ダウンロード」ボタンより入手できますので、ぜひご活用ください。

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