【飲食業界でのAI活用事例】人手不足への対応・経営の効率化を実現 - 株式会社STANDARD

【飲食業界でのAI活用事例】人手不足への対応・経営の効率化を実現

DX・AI技術・事例解説

この記事の目次

  1. 飲食業界について
  2. 飲食業界の課題
  3. 飲食業界におけるAIの活用事例

飲食業界について

日本フードサービス協会の調査によると、2019年の飲食業界の市場規模は、約33.3兆円と言われています。2020年は新型コロナウィルスの感染拡大の影響で、市場規模は大きく下がったと考えられますが、元々は大きな市場規模を持つ業界です。

もちろん、他の要因もありますが、飲食業界は価格面での競争が激しく、人件費や材料費、物流費などコスト面で有利な大手チェーン店がシェアを広げやすい傾向にあります。

また、コロナ禍をきっかけに巣ごもり需要が増加しており、外食だけでなく、「中食」や「内食」が注目されています。

一方で、すでに多くの店舗が閉業に追い込まれるような苦しい状況でもあり、創意工夫が求められている業界でもあります。

今回は、コロナ禍に限らず、業界全体が抱えている課題に着眼して、AIで解決している事例をご紹介します。

飲食業界の課題

まずは、飲食業界が抱える課題について見ていきましょう。

人手不足

飲食業界では労働時間が多くなる傾向があり、サービス向上の必要もあいまって特に労働者への負担が多いとされています。

労働者となる人手が多く必要であるにも関わらず、飲食店の運営を支える労働人口は多くありません。

帝国データバンクの統計によると、8割の飲食店がアルバイトなどの非正規雇用の従業員が不足していると回答しています。飲食業界は慢性的な人手不足の傾向にあることがわかります。

予約の受付や注文受付などの作業にAIを活用することで、必要な人手を減らすことが期待されています。

関連:DXはなぜ必要?来たるべきリスクに備えて見習いたい先行企業の特徴とは

廃棄ロスの改善、経営・運営の最適化

飲食業界の抱える課題のひとつに、廃棄ロスがあります。廃棄ロスとは、必要以上に食材を仕入れてしまったり、食べ残しにより、廃棄が発生することです。

廃棄ロスは、環境課題の観点からも問題視されています。飲食店経営においても、仕入れに費用がかかっているにも関わらず、売上が立たなくなってしまうため、経営に大きな影響を与えます。

AIを活用することで、ビッグデータ分析による顧客の需要予測に基づいたサービス提供が可能になると見込まれています。

飲食業界におけるAIの活用事例

beeat sushi burrito TokyoのAIによる注文システム

引用:beeat sushi burrito Tokyoホームページ

beeat sushi burrito Tokyo(以下、beeat)はAIを活用した注文システムが話題を集めている寿司店です。キャッシュレス、対面無人など、テクノロジーを駆使した様々なサービスを展開しています。AIをはじめた最新テクノロジーを導入しており、近い未来の飲食店テクノロジーのショールームとして話題です。

課題

飲食店においては、顧客にサービスを提供するための接客コストが経営課題になっています。接客コストを削減することが経営効率改善に繋がります。

解決策

beeatの注文システムは、オンラインでオーダーを取り、キャッシュレスで決済を行い、サービングボックス内の商品を受け取るというものです。AIが顧客の入力情報を元に商品の手配を行うため、人手不足の解消に役立っています。

顧客はオンライン上で簡単にオーダーを済ませ、サービスを受けることが可能です。

beeatの商品は時価で決められており、その価格はAIによって決められています。その日の食材の状況や注文した時間によってAIが寿司などの商品の価値を決めるという仕組みです。

効果

注文や決済といった人間が行うことの多い処理を自動でこなすため、人件費などの接客コストを削減することができました。

顧客にとっても、適切な時価で商品を手にすることができるため、利用するたびに期待が大きくなるシステムといえるでしょう。

このほかにも、出来上がる時間が指定できるため、顧客の待ち時間を削減するなどサービス向上にも繋がっています。

顧客は調理に際する出来上がりの時間を把握でき、店内は光とデジタルの演出がされているなど、AIのほかにも様々な演出で顧客を満足させるサービスとなっています。

すかいらーくグループによるビッグデータを活用したマーケティング

飲食業界大手のすかいらーくグループではスマートフォン向けのアプリをリリースし、集客に役立てています。アプリの利用は顧客へ割引サービスを提供するだけでなく、店舗側にとっても貴重な顧客データを集めるツールとなります。

顧客を集める手法を考える上で、One to Oneマーケティングという考え方があります。One to Oneマーケティングとは特定の顧客を対象に集客を図るマーケティング手段です。アプリの活用により顧客の情報を収集することで、集客の向上を実現できるのです。

課題

飲食店の集客においてビッグデータが注目されています。ビッグデータでは顧客の嗜好などのデータが揃っており、それらの情報を役立てることで的確な広告を出すことができます。

解決策

顧客がアプリを使用してお店を利用することで、利用した履歴がビッグデータとして保存されます。店舗側にとっては次なる集客の手段としてこれらの情報を活用します。

いつ店を利用したのか、どんな商品が好きなのかといった情報を元手に顧客の関心をひく広告を打つことができるようになります。

効果

ビッグデータを元にAIが顧客の嗜好を読み取り、おすすめのメニューを表示することが可能になりました。

結果、すかいらーくグループでは多様なチェーン展開を強みに、顧客のニーズに合わせたPRが可能になっています。

また、顧客の好みや気温の変動に合わせておすすめメニューを表示し、サービス向上に役立てています。

参考:株式会社すかいらーく:SAP® Predictive Analyticsによる高速分析基盤を活用し1to1マーケティングの精度を向上

NTTコミュニケーションズのコンタクトセンター

引用:AIとRPAで無断キャンセル問題を解決。NTT Com「コンタクトセンターDX」

NTTコミュニケーションズの「コンタクトセンターDXソリューション」では、AIとRPAを活用した飲食店の業務効率化に取り組んでいます。

これは、NTTコミュニケーションズが提供している「COTOHA Virtual Assistant」というAIエンジンを飲食店の運営に活用したサービスです。

課題

予約を無断でキャンセルすることが問題になっています。食品が廃棄されるリスクが高まり、見込んでいた営業利益を失ってしまいます。

飲食店においては、無断キャンセルを防止するために事前のリマインドを実施するなどの対策が講じられています。しかし、人手が足りなくなりがちな飲食店においては予約のリマインド業務も大変な作業となっています。

解決策

AIを活用することにより、予約のリマインドを自動的に行うことができます。AIは予約情報を元に、メールやSMS等を通じて予約者へリマインドを行います。

また、予約のリマインドによって予約に変更が出た場合は、早めに他の日程へと変更することができます。

効果

予約のリマインドによって、無断キャンセルを防止することが可能になりました。また、予約確認業務をAIに任せることで、人手が不足する心配もなくなりました。

まとめ

飲食業界においてAIは、人手不足や売上改善といった経営課題を解決するツールとして役立っています。

飲食業界においてAIの導入はまだまだ試験段階であり、今後もさらなる普及が期待されます。AIの力でどのようにサービスが変わっていくか、注目しましょう。

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