新人教育からDX人材の育成まで!eラーニング研修を導入するメリットとは
この記事の目次
これまで集合研修を通して人材育成や社員教育を行ってきた企業が、eラーニングを取り入れると何が変わるでしょうか。本記事では、eラーニングが具体的にどのような目的に利用できるのかと、その際に知っておくべきメリット・デメリットについてご説明します。また、近年さまざまな業界で注目されているDX(デジタルトランスフォーメーション)の人材育成にeラーニングを導入する場合に、事前にチェックしておきたいポイントについてもご紹介します。
eラーニング(イーラーニング)の主な利用目的
eラーニングの「e」は「electronic」の頭文字をとったものであり、パソコンやスマートフォンなどの情報端末を用いた学習方式のことを指します。広い意味ではDVDのようなオフラインのコンテンツを教材とするケースもeラーニングに含まれますが、近年ではインターネットを介してオンラインで学習できるものが多くなりました。
弊社も、DXのための人材育成サービスの一環としてオンラインで受講可能なeラーニングを提供しております。eラーニングの導入にはさまざまなメリットがあり、もちろんDX以外のジャンルで利用することも可能です。ここでは、eラーニングの具体的な活用例について紹介していきます。
新卒・派遣社員へのコンプライアンス教育
企業にとって、コンプライアンス(法令遵守)に関する教育は重要事項です。コンプライアンス違反のリスクを減らすには、新人研修などを通して各種法令に則った業務の進め方を覚えてもらう必要があります。一度だけの研修に限らず、定期的に注意喚起することも重要です。このような目的のために、実際にeラーニングが活用されています。
また、コンプライアンスを前提とした事務手続きや社内ルールを徹底するには、セキュリティや個人情報保護についての知識が求められる場面も少なくありません。eラーニングは、これらの知識を獲得する目的でもよく利用されます。
メンタルヘルスやハラスメント対策
働く場所でのモラルや人間関係は、多くの組織にとって継続的に注視すべき部分でしょう。eラーニングは、職場環境を健全に保つ目的でも利用されています。
従業員は、eラーニングの受講を通して現在のストレス状況をチェックしたり、今後のセルフケアに役立てたりすることが可能です。管理職にとっては、テレワークの増加によって見えづらくなった部下のメンタル不調に気付くためのツールにもなります。また、各種ハラスメントへの対応方法を学ぶ目的でも、eラーニングが役立てられています。
全社的な知識水準の引き上げ
スムーズな企業活動のためには、従業員の知識水準をある程度のレベルまで引き上げることも必要でしょう。ビジネスのジャンルや業務の基幹部分に関する基礎知識が、社内で共有された状態にするということです。
とくにDXにおいては、デジタルに強い組織文化の土台となる「DXリテラシー」を全社的な共通事項にしておくことが大切です。DX推進の意味や必要性を正しく理解することで、DXの実現という高い目標に向けて従業員ひとりひとりの目線が引き上げられます。DX推進に取り組む企業ではこのような目的でeラーニングが活用されており、弊社の「DXリテラシー講座」もそのひとつとなっています。
実務に必要な技能の習得
eラーニングは、実務に不可欠な各種技能の習得にも活用されています。なかでもOfficeソフトの操作やプログラミングといったデジタル関連のスキルは、eラーニングと相性がよく学習を進めやすいジャンルです。
実作業に直結するもの以外では、ロジカルシンキングの習得にeラーニングが活用される例もあります。こちらは、業務を進めるうえで論理的に考え、説明する能力を身につけることが目的となっています。
各種資格の取得
従業員の資格取得を支援する目的でも、eラーニングは活用されています。受講者にとっては、資格の取得を目指して学んだことを実務に活かせる可能性があるうえ、実際に合格できればキャリアアップにもつながります。企業側では、従業員の能力を職務と照らし合わせて客観的に把握し、人事評価や人員配置に役立てることが可能です。
eラーニングのメリット
人材育成や社員教育の方法を集合研修からeラーニングに切り替えると、企業と従業員の双方がメリットを得られる可能性があります。ここでは、eラーニング導入のメリットについてみていきましょう。
セミナー会場や宿泊施設の手配が不要
eラーニングでは主にオンラインで受講する形式となるため、従来の集合研修のような会場設営は必要ありません。研修期間が2日以上にわたる場合や、遠方の事業所などからの移動をともなうケースでは、これまで宿泊施設を手配していたという企業もあるでしょう。eラーニングではこれも不要となるため、その分だけコストを抑えられます。
また、eラーニングでは学習コンテンツがデジタル化されます。そのため、テキストを印刷したり、当日までに配布したりといった作業も必要ありません。
講師の質に左右されない
eラーニングでは、事前に準備された学習コンテンツを教材として使用します。少なくともコンテンツに沿って学習を進める部分については、研修内容の均質化が可能です。そのため、従来の集合研修のように、講師の能力や講義の進め方によって学習の質が左右されることはありません。
OJTと比較しても、eラーニングによる均質化はメリットになるでしょう。OJTでは共通の教材を用いる代わりに、実務に沿って学習を進めます。現場ごとに教えられる内容が異なったり、偏りが生じたりするのが通常です。
時間と場所を有効活用できる
オンラインで受講可能な形式でeラーニングを実施すれば、集合研修のように受講者全員が同じ時間に研修に出席する必要がなくなります。複数のプロジェクトを抱えるなどして忙しい従業員も、業務に支障をきたすタイミングを避けながら柔軟に受講することが可能です。各自が仕事の都合にあわせて活用することで、学習が進めやすくなります。
時間だけでなく、場所を柔軟に選べることもオンライン形式のeラーニングのメリットです。テレワークやサテライトオフィス勤務の従業員に社外からの受講を許可すれば、さらにスキマ時間を有効活用して研修を受けやすくなるでしょう。これまで研修の参加率が課題になっていた企業にとっては、とくにメリットがあると言えます。
各自のペースで学習を進められる
従来の集合研修では、講義内容をその場で理解できないなどの理由から、十分な成果を得られないままで日程を終えるケースも考えられます。これに対し、eラーニングでは学習コンテンツがデジタル化されているため、講師のペースに合わせて学習を進める必要がありません。わからなかった箇所があればいつでも教科書の手前のページに戻って復習したり、動画の聞き逃した部分をもう一度再生して確認したりできます。
eラーニングの受講者は、ひとつひとつ理解しながら自分のペースで学習を進めていくことが可能になるため、研修内容を身につけやすくなるでしょう。企業側は、研修による学習効果を高めるための施策として、eラーニングを活用することが可能です。
関連:DX推進の人材は育成できる!即戦力を生み出す社内研修に必要な条件とは
eラーニングのデメリット
eラーニングにはさまざまなメリットがありますが、実際の研修に導入する前に、どのように解消するか考えておくべきデメリットもいくつか存在します。ここでは、eラーニングを導入する際に注意するとよいデメリットについて確認しておきましょう。
学習コンテンツの作成が必要
eラーニングを実施するには、受講者に配信するデジタルコンテンツを用意しなければなりません。まずは、学習に適したコンテンツを自社で制作できるかどうか考える必要があるでしょう。ノウハウがないジャンルについては、外部に制作を依頼することもあわせて検討します。
コンテンツは、一度作ってしまえばある程度は再利用することが可能です。とはいえ、研修内容によっては定期的な更新が必要になることも念頭に置かなければなりません。例えば、業務プロセスや各種法令の変更、新しいテクノロジーの登場や情勢の変化といった要因によって、コンテンツを改修する必要性が生じます。総合的に考えれば、信頼のおける外部企業のコンテンツを利用するのが最適なケースもあるでしょう。
オンライン配信のシステムが必要
eラーニングのコンテンツが用意できたら、次はコンテンツを配信するためのシステムが必要になります。従業員がコンテンツにアクセスできるようにするだけなら、既存の社内ネットワークを使えばよいだけのように思えるかもしれません。しかし、実際にはeラーニング特有のニーズを満たすシステムが必要になります。
例えば、受講対象となる従業員のみが研修に参加できるように制限をかけたいケースは多いでしょう。業務時間外の利用や社外からのログインを許可するかどうかといった、運用面の課題も考えられます。コンテンツ制作と同様に、信頼できる外部企業のソリューションを活用するかどうかも含めてシステムの構築方法について検討が必要です。
学習の進捗状況を把握しにくい
受講者各自のペースで学習を進められる点はeラーニングのメリットではありますが、裏を返せば、これは学習の進捗が個人に依存するということでもあります。自発性に任せる部分が多い分、本当に学習ができているのかどうかが見えにくい面があるのです。とくに、期限までに受講を完了してもらいたいようなケースでは、学習の進捗状況を客観的に把握できる仕組みづくりが課題になるでしょう。
また、研修に参加するモチベーションの維持・向上が課題になることも考えられます。高度な内容を扱う研修を実施するときや、オンライン受講に必要なネットワーク設備などの職場環境が現場によって異なる場合などは、学習意欲が低下しないよう配慮する必要があるでしょう。
訓練が必要なスキルは習得しにくい
eラーニングでは、研修を通して得た知識をどのように定着させるかが課題になります。とくに訓練や演習を通して徐々に身についていくようなスキルについては、学習コンテンツを見て覚えるだけでは不十分な場合も考えられます。eラーニングの成果としてどこまでを期待するのかは、実施前に考えておくべきポイントのひとつです。
例えば、知識の定着をはかるための演習課題を研修に組み込めないかどうか検討してみるとよいでしょう。研修後のOJTなどと組み合わせて、現場で通用するスキルを習得していく方法も考えられます。
関連:DXにおいて戦略的人事を推進するための3ステップを解説
DXの人材育成にeラーニングを活用する際のポイント
企業が研修を実施する際に、eラーニングはメリットの多い方法です。デメリットもいくつか存在しますが、それらは事前によく検討すれば解消することが可能です。本記事の最後に、eラーニングをDXの人材育成に活用する際のポイントについて説明します。
DXのために育成すべき人材の定義
DXには、欠かすことのできない2つの人物像があります。研修によるDX人材の育成を考える際には、どちらをターゲットとしているのかを意識することが大切です。
1つ目の人物像は「エンジニア」です。企業がDXを実現するための基盤となるシステムを構築していく、現場の戦力としての役割を担います。最新のデジタル技術に関する知識を十分に活用できる、実践的なスキルが求められます。
2つ目の人物像は「マネージャー」です。DXのプロジェクトを企画し、推進していく役割を担います。企業のビジネスを理解しながら、最新のデジタル技術に適した手法でプロジェクトをハンドリングできるスキルが求められます。
研修内容がDXの人材育成に効果的かどうか
DXによる企業の変革は、データとデジタル技術を活用することによってはじめて実現できるものです。DXの人材育成を目的としたeラーニングでは、最新のデジタル技術について基礎から網羅的に学ぶことができ、現場で実践可能なスキルが身につくようなカリキュラムになっていると望ましいと言えます。
デジタル技術にはさまざまなものがありますが、なかでもAIはぜひ研修内容に含めておきたいスキルです。高度な分析手法によって、これまでは考えられなかったような形でデータを有効活用できる可能性が高まります。AIは関連する知識範囲が広いので、エンジニアとマネージャーがそれぞれの職務に適した知識を獲得できるように配慮するとよいでしょう。
eラーニングのデメリットを解消できるかどうか
これからDXに取り組む多くの企業にとって、DXの教材を自社のノウハウのみで制作するのは簡単なことではありません。通常は、DXを専門とする外部企業のコンテンツを活用するほうが確実です。一方、コンテンツとあわせて配信システムについても外部企業から提供を受けるとすると、自社でコントロールしづらい面も出てくるかもしれません。その場合は、eラーニングのデメリットを解消する方法があるかどうか事前に確認することをおすすめします。
とくに確認しておきたいのは、受講者ごとの進捗状況をどのように把握し、学習に対するモチベーションを維持していくかという点です。できれば、AIなどのスキルを定着させ、現場で実践できるようにするための演習までがセットになっていると理想的です。
DXの人材育成に最適な企業向けのeラーニング研修サービスをご紹介
弊社では「DXリテラシー講座」のほかに、DXの推進にご活用いただける「AIエンジニアリング講座」と「AIマネジメント講座」もご提供しています。企業のデータ活用で力を発揮するAIについて基礎から学べる網羅的なコンテンツで、現場から求められるエンジニアとマネージャーを育成するためのオンライン講座です。いずれも研修期間中の進捗確認や質問対応、スキルの定着を促すための演習課題などを含む実践的な内容となっています。
詳しくは、下記の無料のダウンロード資料にてご確認ください。
技術人材育成サービスのご案内