6業種の成功事例と失敗事例から学ぶDX推進のポイントと注意点
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昨今よく耳にする「DX」(デジタルトランスフォーメーション)ですが、自社が所属する業界においてどういった取り組みがDXとして認識されているのかを知らない方も多いことでしょう。今回は業種別のDX成功事例を6業種12企業紹介し、失敗事例も参考にしながら、DX成功の秘訣・ポイントを紹介していきます。
DXの定義と目的
DXとは「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略であり、企業が最新のデジタル技術を活用したり、データの収集・解析をしたりすることで、経営戦略や企業文化を変革し、企業価値や市場での優位性を向上する取り組みを指します。
DXが推進されている背景には、急速なテクノロジーの進化による経営環境の変化や、インターネットの普及によって顧客のニーズが多様化したことなどがあります。また、新型コロナウイルスの蔓延は、各企業がテレワーク環境を構築するのを促し、DXの推進を加速させました。
【業種別】日本国内のDX成功事例12選
日本国内のDX成功事例として、弊社がサポートいたしました企業様の成功事例を業種別で紹介します。以下6業種12企業の成功事例を取り上げますので、自社のDXプロジェクトの参考にしていただけますと幸いです。
- 【運輸・運送】株式会社パスコ様
- 【運輸・運送業】ヤマト運輸株式会社様
- 【金融・保険】みずほフィナンシャルグループ様
- 【金融・保険業】第一生命情報システム株式会社様
- 【電気・ガス・水道】株式会社日水コン様
- 【電気・ガス・水道】大阪ガスビジネスクリエイト様
- 【Sler】株式会社ランドコンピュータ様
- 【Sler】株式会社アイネス様
- 【情報通信】株式会社OKIアイディエス様
- 【情報通信】ヤマトシステム開発株式会社様
- 【製造】株式会社リコー様
- 【製造業】三菱電機株式会社様
【運輸・運送業】株式会社パスコ様
【背景・課題】
高精度な地図作成やそれらを用いたコンサルティング業務の事業を運営しているが、熟練された技術を要するものであり、人材不足を解消する策を必要としていた。人材不足の解消としてAI等の先端技術活用が必要だと感じていた。
【導入サービス】
全社でAIリテラシー講座をご受講。
【効果】
今まで人間ができなかったことを、技術活用をすることで可能になるのではというマインドでアイデア出しができるようになった。 AIなど先端技術活用に対する心理的なハードルが下がった。
日々の業務課題に向き合うなかで、つい「人間にできること」を軸に考えがちですが、AI等の先端技術に目を向けることで「AIにできること」を想定したアイデア出しができるようになります。
デジタル技術を用いて変革を起こすDXとはいえど、取り組みや推進の舵取りを行うのは人間です。まずはAI等の先端技術を扱う人間が「どのようにアイデアを膨らますことができるのか」に壁があることを認識する必要があります。
【運輸・運送業】ヤマト運輸株式会社様
【背景・課題】
AIやDXのプロジェクトに関して、やりたいことは決まっていたが、それを実現するための技術的なリソースがなく、また学習時間も取れないような状況であり、技術習得と開発を同時並行で進めたいと考えていた。
【導入サービス】
デジタル技術顧問サービスをご導入。
【効果】
社内リソースのみであれば半年ほどの開発期間を見積もっていたが、デジタル技術顧問サービスの活用により1ヵ月に短縮でき、検証スピードがアップした。また、開発を一緒に行ったことで、開発したプロダクトの要件やノウハウなどが社内に蓄積され、以降の運用の難易度も下がった。
事業に携わる人がデジタル技術をよく理解していないと、その技術を業務に活かして改善しようと考えるところまで踏み込めません。事業部門やマネジメントする方は特に、どのような技術を活用して何ができるのかを理解し、その知識を使って自社の業務を良くする案などを出せるようにすることが大切です。
【金融・保険業】みずほフィナンシャルグループ様
【背景・課題】
独学で勉強をしながら技術装着を進めていたが、プロジェクトメンバーが増えたことにより、前提知識のばらつきを解消したいと考えていた。AIプロジェクトを推進するために必要な知識を網羅的に学べる教材を探していた。
【導入サービス】
プロジェクトメンバーがAIリテラシー講座をご受講。
【効果】
プロジェクトメンバー内で「AIとは何か」といった定義からそろえることができ、メンバー自身がAIに何ができるかを把握し、どういうふうに金融業務とマッチングさせるかということを考えることができるようになった。
多くの企業に共通していることですが、AI等の先端技術に知見があり、設計から実装までを行える人材はほとんど居ないのが現状です。それでも業界や自社におけるDXプロジェクトは推進せざるを得ない状況に変わりありません。
ここで大切なことは、今回の事例のようにDXプロジェクトを主導する人材が1人いて、プロジェクトメンバーのAIリテラシーの底上げを図るような取り組みをファーストステップとして実行することです。どのようなDXプロジェクトもまずは「アイデアの壁」を突破しないことには優れたサービスやシステムを生み出すことができません。
【金融・保険業】第一生命情報システム株式会社様
【背景・課題】
①お客さまのニーズが多様化するなか、CX向上のために社員一人ひとりがDXを推進する人財をめざす。(全社的なDXリテラシー底上げ)
②社員のWell-Being達成や自己実現の選択肢・手段を増やす。
【導入サービス】
DXリテラシー講座と保険業界特化型講座をご受講。
【効果】
先端技術と担当業務の関係性を見出せずDXに対する関心が薄い状態や、DXという新しい言葉そのものへのアレルギーが発生するといった課題に対処するため、各部署にDX推進担当者を設置。部署横断で連携・好事例共有を行うと同時に、習得した知識を業務に落とし込み、DXを身近に感じさせる工夫を行った。DX推進担当は年度ごとに入れ替え、多くの社員がDX推進の中心人物になる機会を提供した。
DXに対する理解や知識を深めることで、所属部門の業務効率化やCX向上のためにアイデアを出せるようになることが重要です。個々の社員がそのアイデアを実践し、お客さまに喜んでいただく成功体験を積むことで、さらなるスキル獲得に向けた行動の動機となり、また一歩踏み込んだCX向上アイデアを実践するといった、良い循環が全社的に巻き起これば、組織はより強固なものになるでしょう。
【電気・ガス・水道】株式会社日水コン様
【背景・課題】
水道や下水道処理における調査で成分を測って調査している部分にAIを活用できないかと検討をしており、社内でAI活用・実装ができないかと考えていた。 また、会社としてAI活用ができる人材を育成し、他業務にも活用をしたく、人材育成の講座を探していた。
【導入サービス】
会社から選抜された11名がAIエンジニアリング講座をご受講。
【効果】
実際に手を動かしながら学ぶことで、スキル装着ができ、自身のスキルに自信を持つことができた。 並行して実際の案件でも学んだ知識を活用し、メンターに質問をすることで応用力も身に付いた。
AIシステムの構築/運用に役立つPythonですが、自然言語処理や統計処理等に長けている言語とは知っていても、実際のコーディング・運用まではなかなかハードルが高いものがあります。
実装のハードルは未経験の人材にとって高い壁となりますので、外部パートナーの力や専門スキルを持つ人材の力を借りることが近道となります。今回のケースは弊社のメンターとクライアント担当者様が協業し、スムーズなスキル習得が進められた点が評価ポイントです。
【電気・ガス・水道】大阪ガスビジネスクリエイト様
【背景・課題】
Daigasグループ含め、全社レベルDX推進が活発となり、営業活動をする上でもDXを基本知識習得が必須となった。 コロナ以前の商談手法が通用しなくなり、コンサル営業にシフトしていく上でDXリテラシーを身につけることが急務となった。
【導入サービス】
DXリテラシー講座をご受講。
【効果】
商談に対して自信をもって挑戦できるようになり、顔つきが変わっていった。また、DXリテラシー講座にはアイデア出しの要素があるので能動的に学習している様子である。ITパスポートなどの取得にも励むなど、部署全体の雰囲気がDXに対して前向きになった。
DXリテラシーとは、デジタル技術やデータの活用を通して、自社のビジネスの課題を解決するためのアイデアを出し、さらにそれを実行する力を指します。DXリテラシー講座で学んだら、それをすぐに数字に結びつけようとするよりも、そこで得た知識を自身の仕事にどう活かすか模索しながら業務のなかで実践していくことが大切です。
【Sler】株式会社ランドコンピュータ様
【背景・課題】
「クラウド」「IoT」「AI」についての顧客からの問い合わせが急増していたが、AIについて専門的な知見がある人材がおらず、早急に知識装着する必要があった。
【導入サービス】
AIエンジニアリング講座をご受講。
【効果】
顧客に対して自信をもって導入イメージを伝えることができるようになった。 また、追加学習なしでJDLAの「G検定」や一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会が提供している「Python 3 エンジニア認定データ分析試験」に合格できた。
顧客からの問い合わせベースで新たな取り組みを始めることは多いですが、「AI等の先端技術にできること」を知り、また実際に実装するハードルは高いといえます。
自社にリソースがない場合は外部パートナーの力を借りるのがポイントとなりますが、AIリテラシーを身に付けるだけの講座に留まらず、実案件の技術的サポートも含めた内容かどうかがDXプロジェクトの推進力を強める要素となります。自社のDXをどれだけマンパワーを使わずに推進できるか?といった視点が重要です。
【Sler】株式会社アイネス様
【背景・課題】
金融業界のお客様からのデジタル化やDX推進に関する関心やご相談が増えてきたため、それに応えられるような知識やスキルを身に着ける必要があった。
【導入サービス】
AIリテラシー講座、AIマネジメント講座、AIエンジニアリング講座をご受講。
【効果】
AIは万能なものではなく、できることとできないことの線引きをする必要があることを理解でき、お客様への提案にもいかせた。 また、より具体的で根拠のある提案ができるようになり、課題ベースで最適な手法としてAIを提案することができるようになった。
自社が所属する業界によって「AIの捉え方」は変わってきます。金融業界ではAIに対する前提知識と、先端技術に関する知見を有している方が多いため、1つのアプリケーションにおいて「本当にAIが必要か」という議論が起こります。
こうしたやり取りは社内・社外問わず起こりますが、その都度AIリテラシーが問われると言っても過言ではありません。実際のビジネスを想定した場合に「AIではない」ことも十分に考えられます。大切なことは自社のDXに必要な技術がAIかどうか、「その判断のためのAIリテラシー」を身に付けることです。
【情報通信業】株式会社OKIアイディエス様
【背景・課題】
AI開発について、顧客から相談をいただく場面が増えたが、社内にノウハウがなく、知識を身に着けておく必要があると感じていた。 また、今後AI開発について業界として避けては通れない道だと認識しており、技術を身に着ける必要があると考えていた。
【導入サービス】
社内の選抜メンバーでAIエンジニアリング講座をご受講。
【効果】
もともと担当をしていたFPGAと、AI技術をかけあわせたデモ開発を推進できるようになった。 受講をしたメンバーから、開発に関するアイデアが活発に出るようになった。
拡大するAIニーズに対して、企業はさまざまな対応に追われています。これまで既存技術に頼ってきた業界・事業も、全業種的なDXの影響を受けています。「DXといえばAI」という程のインパクトを持った先端技術ではありますが、「自社のDXに本当にAIは必要なのか」という視点で議論が進められることが大切です。
「そもそも自社におけるDXのスコープはどこまでか」や、「一過性のプロジェクトで終わらないように進めるにはどうすればよいか」といった議論を重ねるためにも、AIリテラシーを培う講座、Pythonなどの言語を使った実践演習が必要となります。
【情報通信業】ヤマトシステム開発株式会社様
【背景・課題】
独学でAI学習を進め開発も試してみたが、ビジネス化できるレベルではなく、知識・技術装着に課題を感じていた。
【導入サービス】
機会学習をビジネスレベルで活用できる知識を身に着けるため、インフラ技術者4名でAIエンジニアリング講座をご受講。
【効果】
講座終了から1年で物体検出システムを実装。実証実験レベルでは相当数の案件がこなせるようになった。技術でできることの判断だけではなく、できないことの判断ができるようになり、課題や要望に対して適切な提案ができるようになった。
DXプロジェクトを長期計画で進める場合、知識ゼロの状態から学習を始める方もいることでしょう。とはいえ部署や全社に共有できる程のAIシステムの構築はすぐにできるものではありません。
実際の業務に使用するシステムの導入が遅れると、システムを活用した状態での業務改善なども必然的に後ろに延びていきます。開発時期が遅れるほど自社のDXをとりまく内部的・外部的要因は変化するため、システム開発・実装までの期間はできるだけ短く計画する必要があります。
【製造業】株式会社リコー様
【背景・課題】
音波と電波を用いたデバイスから集めた膨大なデータを分析し、新たなサービスや機能、顧客ニーズの探索を行うためにAI技術を活用したいが社内に人材がおらず、AI開発ができる人材育成が急務だった。
【導入サービス】
AIエンジニアリング講座をご受講。
【効果】
JDLAが実施するE資格に一発合格。機械学習や深層学習に関するアルゴリズムとネットワークについて体系的に理解し、最適な実装方式やモデルを自ら選択できるようになった。また、人工知能学会全国大会にて論文発表ができるレベルにまで技術や知識の習得ができた。
DX推進を見据えた弊社のサービスでは、実務レベルのAIリテラシー講座と実践演習課題を用意し、DXの戦略を一緒に考える伴走サポートを行っています。しかし本来のDXが掲げるものは業界や社会全体へと波及するような変革を起こすものです。したがって実務レベルの課題を克服した後は、中長期的なスコープとしてのDXも進めていく必要があります。企業によってそれぞれのDXではありますが、社会的なインパクトをDX開始当初から想定するのも1つの選択肢といえるでしょう。
【製造業】三菱電機株式会社様
【背景・課題】
AIを主軸に顧客課題を解決するための組織「Maisart共創センター」が設置され、AI技術を活用してお客様への提案・検証をすることが求められることとなったが、体系だった知識装着ができていないことを課題に感じていた。
【導入サービス】
Maisart共創センターのメンバーにてAIリテラシー講座とAIエンジニアリング講座をご受講。
【効果】
AIの基礎的な知識を順序だてて体系的に学ぶことができたことで、顧客の理解度に合わせた提案や説明ができるようになった。
AIについての知識が一般的に広まっているものの、正確な定義や背景を理解していない人も多いため、AIリテラシーの向上が求められます。AIエンジニアリング講座は、業務でAIを使う方におすすめで、狭義のAIについてやデータ分析、統計学を体系的に学ぶことができます。ただAIを使うだけではなく、AIを活用してどう課題解決を行うかという本質的な活用をできるようになることが望ましいでしょう。
よくあるDXの失敗事例
様々な内部・外部要因によって始まるDXプロジェクトですが、いくつかの点に留意しなければ取り組みは失敗に終わってしまいます。以下によくある失敗事例に共通する要素を記載しましたので参考にしてください。
- アイデアの質が低い
- 現場での優先順位が上がらない
- 一過性の取り組みになってしまった
- 社内に開発リソースがなくプロジェクトが進まない
企業のDX推進は、はじめの計画段階でおよそ成功するかどうかが決まります。なぜならDXプロジェクトを構想するアイデアが乏しければ、必然的にDXの重要性について現場の理解が得られず、一過性の取り組みとして終わってしまうからです。
DX推進ではつい「他社の成功事例」や「使われたAIシステム」などに目が行きがちですが、本当に目を向けるべきなのは「現場でDXを推進する社内の人材」です。
DXも人が主導で進める取り組みに変わりないため、現場でDXを推進する人材がどれだけDXの取り組みにコミットできるかどうかが鍵を握ります。その一歩としてまずは経営層や管理職クラスの人材がDXリテラシーを高め、現場の社員を巻き込んでいく流れが重要です。
DX成功事例と失敗事例に学ぶDX推進のポイントとは?
DX成功事例と失敗事例から、DX推進のポイントとしてどのような要素が取り出せるでしょうか。以下に弊社が考えるDX推進のポイントをまとめています。
- 経営層がDXの必要性を理解する
- 自社リソースだけでDX推進を計画しない
- 社員全員のAIリテラシー・DXリテラシーの底上げを図る
- 「ベンダー丸投げ型」から「自社内製化」への転換を図る
それぞれ詳しく解説していきます。
経営層がDXの必要性を理解する
DXが失敗に終わるケースに多いのが「経営層がDXの重要性を理解していない」というものです。DXとは一言でいっても、同業他社間で取り組むべきDXプロジェクトは異なるため、「自社に必要なDX」について考える必要があります。
DXを進めるにあたって新たな部門を立ち上げたり、既存リソースを使って並行業務を行うような体制も想定されるため、経営層の理解がなければ時間的・費用的コストを十分に割けなくなります。
自社リソースだけでDX推進を計画しない
自社のDXを成功させるには「既存リソースだけで推進計画を策定しないこと」がポイントとなります。自社リソースだけでDX推進を計画すると、DXで解消されるはずの業界課題や業務課題の実現可能性が低くなってしまいます。DXでは既存の商習慣や業界ビジネスモデルから脱することも時に必要となりますので、現状のリソースを超えたDXスコープも検討しましょう。
社員全体のAIリテラシー・DXリテラシーの底上げを図る
DXの取り組みを長く、熱いものとして推進するには「社員全体のAIリテラシー・DXリテラシーの底上げを図る」ことが大切になってきます。DXには様々な壁が立ちはだかりますが、その根底を支えるのはいつでも社員1人ひとりです。社員全体のモチベーションを維持・向上するには、AIや先端技術に対する知見を広げ、既存事業へと応用するような取り組みが必要となります。
「ベンダー丸投げ型」から「自社内製化」への転換を図る
これまでの技術開発の多くをベンダーに丸投げする形で維持してきた企業も多くいらっしゃるかと思いますが、DX推進は「自社内製化」を図ることが求められます。なぜなら全業界的にDXの動きは加速しており、今後一層DXベンダーに対する期待と負荷がかかっているからです。
そうした状況において人材不足等の未来を想定した時、自社サービスのシステムを社内で維持・管理できる人材が不在である状況は様々な問題を引き起こすと想定されます。
関連:【DX失敗事例から学ぶ】DX推進に立ちはだかる3つの課題と成功要因
【全業種共通】DX推進の6ステップ
最後に全業種に共通するDX推進のステップを6つに分けて紹介します。
- 経営層によるDX推進の目的決め
- 部門/社内全体のDXリテラシーを高める
- DX推進体制を構築する
- 現状課題の把握・推進計画の立案
- 施策実施・振り返り
- DX人材の育成(内製化)
大まかな流れとして、まずは経営層がDXの重要性を理解し、DX推進の経営戦略を策定する所からDXはスタートします。そこから部門/社内全体へと自社DXの浸透を図っていきます。ここで重要となるのが「社員のDXリテラシーの向上」です。企業規模によって社員全体を対象としたワークショップや講座を計画するのは難しい場合もあるため、部門・部署単位でDXリテラシーを高める機会を作る必要があります。
次に自社DXのファーストステップとして最適な部門・部署を決め、DX推進体制を構築していきます(DX推進に相応しい人材はこちらの記事で解説していますので参考にしてください)。自社DXを力強く進める人材を確保した後は、DXを進める部門・部署の現状課題を可視化し、推進計画を策定します。
推進計画が決まった後は実際のスケジュールにしたがって自社DXを進めていきます。DXの取り組みは「短期的な計画」と「中長期的な計画」で分けて考えるのがポイントとなり、目先で解決すべき課題と、中長期的に達成したいDX本来の目的を想定することが大切です。DXレポートで指摘された2025年に向けて、全業界でDXの取り組みは加速していくことが予想されますので、DX人材を育成し社内で確保する動きが今後求められるでしょう。
事例を参考にしてDX推進を成功させよう
DXの成功事例と失敗事例から、DXを成功させるには「経営層の理解」と「現場のリテラシーの向上」が必要不可欠であることが分かりました。当然DX推進の過程にはAI等の先端技術を用いたシステム構築が必要となりますが、それ以前に人材のモチベーションを維持・向上できるような仕組み作りが重要となります。まずは経営層・社員全体を巻き込むことが可能な「DXリテラシー講座」のような初学的な取り組みから進めてみましょう。