「攻めのDX」推進のポイントとは?「守りのDX」との違いから解説 - 株式会社STANDARD

「攻めのDX」推進のポイントとは?「守りのDX」との違いから解説

DX・AIプロジェクト推進

この記事の目次

  1. 「攻めのDX」と「守りのDX」の意味と定義
  2. 「攻めのDX」と「守りのDX」の施策
  3. 攻めのDXに転じるための3つのポイント
  4. 企業変革の実現には攻めと守りのDXの同時進行を

DXには、「攻めのDX」と「守りのDX」とがあると言われています。変革を進めるためにはどちらも大切な取り組みですが、両者の違いを明確に理解してDXを推進できている企業は多くないかもしれません。

そこで本記事では、2種類のDXの意味や具体的な施策の違いなどについて説明していきます。また、「攻めのDX」を推進して攻守のバランスをとるためのポイントについても紹介します。

「攻めのDX」と「守りのDX」の意味と定義

まず、2種類のDXの意味と定義を明確にしたうえで、日本国内での実施状況について確認しておきましょう。

– NTTデータ経営研究所によるDXの分類
– 「攻めのDX」と「守りのDX」の違い
– 国内では守りのDX施策が先行

NTTデータ経営研究所によるDXの分類

「攻めのDX」と「守りのDX」という言葉の意味は、株式会社NTTデータ経営研究所が2019年に実施したアンケートのなかで定義されています。本調査ではビジネスの変革や創造の視点から、DXの取り組みテーマを以下の6つに分類しました。

A:ビジネスモデルの抜本的改革
B:顧客接点の抜本的改革
C:既存の商品・サービスの高度化や提供価値向上
D:経営データ可視化によるスピード経営・的確な意思決定
E:業務プロセスの抜根的な改革・再設計
F:業務処理の効率化・省力化

このうちA〜Cの3つを「攻めのDX」、D〜Fの3つを「守りのDX」と定義し、評価に用いています。

「攻めのDX」と「守りのDX」の違い

「攻めのDX」と「守りのDX」の違いは、それぞれがターゲットとする領域です。

攻めのDXでは、顧客を含むステークホルダーや、企業を取り巻くエコシステムがテーマとなっています。DXは本来、企業が付加価値を創造し、市場での競争力を強化していくことを目的としているためです。

これに対し、守りのDXでは自社内でコントロール可能な範囲がテーマです。そのため、業務の改善や効率化、コスト削減などを目的とした施策が中心となっています。

これらの違いを「経済産業省によるDXの定義」に当てはめて整理すると、以下のようになります。

– 攻めのDX:「顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革」
– 守りのDX:「業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革」

なお、経済産業省によるものも含め、DXの定義について詳しく解説した記事もあります。あわせて参考にしてください。

国内では守りのDX施策が先行

先のアンケートによると、「F:業務処理の効率化・省力化」には84%の企業が取り組んでいます。一方で、「A:ビジネスモデルの抜本的改革」に取り組んでいる企業は24.7%にとどまります。国内全体では、比較的取り組みやすい守りのDXからはじめる企業が多いことがわかる結果となりました。

実際のDXは、部門ごとの「局所最適」からスタートすることも少なくありません。しかし変革が思うように進まず、そのまま取り組みが下火になってしまうケースも多く見受けられます。DX本来の目的を競争力の強化と考えるなら、「全社最適」を目指す必要があります。

競争力の面で成果をあげるためには、攻めのDXにも取り組むべきでしょう。守りから攻めに転じるための土台が整えば、DXは一過性のブームで終わることなく本格化していくと予想されます。

DXによる競争力の強化については、こちらの記事でも解説しているので参考にしてください。

「攻めのDX」と「守りのDX」の施策

「攻めのDX」と「守りのDX」の施策

「攻めのDX」と「守りのDX」には、それぞれどのような施策が含まれるのでしょうか。ここでは、多くの企業が先に着手している「守りのDX」の施策から順に説明していきます。

– 守りのDX施策:デジタル化と基盤システムの構築で自社内を変革
– 攻めのDX施策:データを積極的に活用しビジネスを改革

守りのDX施策:デジタル化と基盤システムの構築で自社内を変革

「守りのDX」に分類されるテーマを取り組みやすい順に並べると、以下のようになります。

F:業務処理の効率化・省力化
E:業務プロセスの抜根的な改革・再設計
D:経営データ可視化によるスピード経営・的確な意思決定

最初に取り組むべき施策は、社内業務のデジタル化だとわかるでしょう。紙ベースで管理されてきたアナログな情報を電子化したり、各種デジタルツールを導入して業務を自動化したりします。

次に行うのは、業務プロセスの見直しです。ムダなプロセスを取り除くことで、生産性を向上させていきます。あわせて、ITシステムの構築や刷新も進めます。従来は見えづらかった経営データがシステム上で可視化され、スピーディな経営判断が可能になっていくでしょう。

攻めのDX施策:データを積極的に活用しビジネスを改革

「攻めのDX」を取り組みやすい順に並べると、以下のようになります。

C:既存の商品・サービスの高度化や提供価値向上
B:顧客接点の抜本的改革
A:ビジネスモデルの抜本的改革

攻めのDXでは、既存の商品やサービスの付加価値を向上させていくのが最初の取り組みです。このとき、守りのDX施策を通して整えられたITシステムが基盤として機能します。

また、ITシステムの拡張や新たなテクノロジーの導入で、より高度なデータ活用も可能になっていきます。最新のデジタル技術により、顧客とのタッチポイントやコミュニケーションが再定義されるケースもあるでしょう。

攻めのDXを推し進めていけば、テクノロジーとビジネスモデルはシームレスにつながっていきます。いずれ両者は一体化し、常に最適なビジネス環境を保てる状態になります。

攻めのDXに転じるための3つのポイント

攻めのDXに転じるための3つのポイント

企業が攻めのDXに到達するには、DXへの取り組みを継続させなければなりません。変化を受け入れる企業文化や風土をいかに醸成していくかが、そのためのポイントです。ここからは、攻めのDXに転じるためのポイントとして、以下の3つについて説明します。

– ポイント1:守りのDXを成熟させる
– ポイント2:スモールスタートで改善を重ねる
– ポイント3:人材を育成して体制を整える

ポイント1:守りのDXを成熟させる

守りのDXは、攻めのDXの土台になります。いずれ攻めのDX施策を強化していくことを念頭に置きながら、守りのDX施策を十分に成熟させていきましょう。

とくに、業務プロセスや経営に関するデータを可視化していく取り組みは重要です。迅速で的確な改善は、デジタルを活用したリアルタイムな可視化によって可能になるためです。上層部だけでなく、社員全員が現状の課題を理解し議論できる土壌を作りましょう。

ポイント2:スモールスタートで改善を重ねる

改善の積み重ねは、DXの取り組みを継続させるモチベーションになります。比較的短期間で結果が出る小さな改善を積み重ねていくには、失敗を恐れずにトライアンドエラーを繰り返す「アジャイル」な姿勢が大切です。

とはいえ、どのようなDXの施策にもコストがかかります。実行しようとしている施策の費用対効果をあらかじめ検証し、投資する価値があるかどうかを判断することも必要です。

ポイント3:人材を育成して体制を整える

DXの施策につながるアイデアは、現場にある実際の課題や実状を知る従業員の発想から生まれる可能性が高いものです。

しかし、デジタル技術で何ができるのかを現場の人員が知らなければ、課題のままで埋没してしまう恐れがあります。また、たとえアイデアがあったとしても、プロジェクトの立ち上げ方や進め方がわからなければ実現できません。

そのため、DXの推進には、デジタル技術とDXそのものについての基礎知識(=リテラシー)が必要です。現場の人材を育成できる体制を整えて、DXの可能性を広げましょう。

企業変革の実現には攻めと守りのDXの同時進行を

DXには「攻め」と「守り」の施策があります。どちらも企業変革に必要な取り組みですが、社内の改善を中心とする守りの施策が先行しているのが現状です。企業としての競争力を強化するには、全社的にDXのリテラシーを身につけ、攻めのDXに軸足を移していくことが大切です。

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