【プラントエンジニアリング業界でのAI活用事例】最先端技術でモノづくりに新たな息吹 - 株式会社STANDARD

【プラントエンジニアリング業界でのAI活用事例】最先端技術でモノづくりに新たな息吹

DX・AI技術・事例解説

この記事の目次

  1. プラントエンジニアリング業界について
  2. プラントエンジニアリング業界の課題
  3. プラントエンジニアリング業界におけるAIの活用事例
  4. まとめ

プラントエンジニアリング業界について

プラントエンジニアリング業界とは、プラントの設計・建設・管理を行う業界を指します。

プラントとは、生産施設や処理施設などから成る複合的な施設全体のことです。例えば、ゴミ処理、水処理などの施設もありますし、石油やLNGを取り扱う施設もあります。中には、工場と一体になって、生産までを行う施設もあります。

業界動向SEARCH.comの調査によると、2019年の日本のプラントエンジニアリング業界の市場規模は約2.1兆円です。工場がなければ、多くのモノを効率的に生産したり、処理したりするのは難しくなるので、プラントエンジニアリングはモノづくりの根本を支える業界だと言えます。

近年は、発展途上国での工場設立や設備投資が進んでおり、海外でも活躍している企業が多く存在します。現在、売上の65%近くが海外からの売上と言われているほど、グローバルな産業になっています。

プラントエンジニアリングは日本のみならず、海外での生産・処理施設を扱い、世界で欠かせないものとなっています。一方で、主要顧客である石油メジャーによる新規のプラントを立ち上げるが減少しているなど、課題も見えつつあります。

そんなプラントエンジニアリング業界は、今後どのようにあるべきなのでしょうか?課題解決の鍵を握るのは、 AIだといっても過言ではありません。

プラントエンジニアリング業界の課題

プラントエンジニアリング業界が抱える課題は下記の2つです。

1.生産年齢人口減少を解消する生産性の向上
2.技能を補う生産の質の担保

①生産年齢人口減少を解消する生産性の向上

近年、中国、インド等の新興国の生産性が急激に向上しています。一方で、「2050年までの経済社会の 構造変化と政策課題について」では日本における生産年齢人口はますます減少していくと述べられています。

労働力が減りゆくなかで、海外でのプラント建設が進めば、新興国にもノウハウが溜まっていきます。最終的には、日本のプラントエンジニアリング業界も、労働力が増えている新興国にも、世界の市場で太刀打ちする必要があります。

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②技能を補う生産の質の担保

生産年齢人口の減少に伴い、製造現場で「職人」と呼ばれるような秀でた技能者の後継者も減っていきます。その中で生産の質を担保し、リスクや災害を最大に抑えていかなくてはなりません。

経済産業省産業経済局の「製造業を巡る動向と今後の課題」によると、これまで日本において強みとされていた「技能」が国際大会での順位を落としています。

労働人口の減少とあいまって、属人的に継承されてきた「職人の技能」を、自動化・効率化する必要性を説く声が大きくなっています。

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プラントエンジニアリング業界におけるAIの活用事例

政府もプラントのIT活用に積極的に制度改革を行っています。プラント業界で生き残りをかけてDXの波が訪れる中、プラントエンジニアリングにおけるAIの導入は大きな変化と効果を出しているのです。

AIでベテラン運転員の意思決定を再現

(引用元:画像認識技術を使ったAI プラント運転支援

AIによって、瞬時に膨大なデータを参照し、最適な意思決定を行うことが可能です。

事例

豪州最大の石油・ガス会社であるウッドサイドエナジー社は、IBM社Watsonの導入を行い数十年分のデータを学習させました。データの内容は、日報や記録文書など、形式も体裁も様々です。

課題

ウッドサイドエナジー社での作業判断はベテランのスタッフが、天候や潮流などのあらゆる条件を元に行っていました。つまり、現場作業員の業務に極めて高い精度が求められる上、人為的ミスのリスクもありました。

解決策

AIを導入し、あらゆる情報・データをクラウドに格納し、人口知能に学習させました。40,000点近い文書が取り込まれ、熟練の専門家の知見が集約された形となりました。また、AIに自然言語で質問をするだけで的確な回答が返ってくる仕様になっています。

効果

従業員は数十年分の知見にアクセスし、誰でも熟練作業員のように確実な判断を下せるようになりました。迅速かつ正確な判断が実現したのです。

(参照元: AI IBM Watson コグニティブ・コンピューティング 30年にわたる豪・石油プラント運営の知見を、AIで集約

AIの異常予兆でトラブル防止

AIによって、データを元に今後起こりうる異常を事前に予見し、防ぐことができます。

事例

日揮株式会社は2017年にNECと協業を開始し、プラント運転データ解析サービスの提供を始めました。

課題

プラントでは、異常が発生するごとに「チョコ停(ちょこっと停止)」や「ドカ停(ドカっと停止)」を招きます。そうした一時的なラインの停止は生産効率へ大きな影響を与えてしまいます。

解決策

インバリアント分析技術を搭載したAIにプラントの運転データを解析させ、異常の予兆を検知できるようにしました。

効果

実際に異常予兆の検知によりトラブルを未然に防ぐことができ、停止時間の発生を免れました。それだけではなく、そもそもトラブルの根本的な原因を突き止め、改善につなげることができました。

(参照元:「日揮とNEC、AI・IoTを活用した効率的なプラント操業に向け協業」)

3Dでプラントをシミュレーション 作業大幅効率化

(引用元:3Dバーチャルプラントを活用した保安高度化並びに防災活動への取組について)

BI(Business Intelligence)ツールとAIを組み合わせることで、プラントを仮想空間上のプラントで分析することができます。

事例

千代田化工建設株式会社では、3Dの仮想空間上でプラントを分析できる千代田プラントデジタルツインの導入サービスを行っています。

課題

人的判断により動く製造現場においては、近年防災・安全教育が高度化しているとはいえ、災害のリスクは存在します。また、生産においても人的判断のみでは管理の上での判断ミスなどが起きうるという懸念もあります。

解決策

まずBIツールにてプラントのデータを情報化・3D化します。そのデータに対して「故障予知」や「生産最適化」などの機能別アプリケーションを持ったAIが仮想空間上で分析・予知を行います。

効果

事故・見落としによるミスなどが軽減され、プラントの全体像を見える化をすることができました。また、バーチャルプラントの存在により現場作業員の現場確認の手間を省くことも可能となり、作業の効率化をはかることができます。

まとめ

新興国の台頭のみならず、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う貿易不振などにより今後の日本のプラント市場は景気悪化が見込まれます。

厳しい状況の中で、業界全体としての変化を余儀なくされています。間違いなくDX、IT化、AI/IoTの導入といったトピックはその議論の中心となることでしょう。

これらの技術は日本のモノづくり業界が抱える多くの問題に解決の糸口をもたらしてくれるでしょう。

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