【人事・HRでのAI活用事例】AIを活用した新たな人材の採用や配置、業務効率化
この記事の目次
人事・HRについて
人事部は人材の採用・育成、労務管理、人事評価を行う部署です。HR(Human Reasources)とも呼ばれ、人材・組織の観点から企業の価値を高めるために業務を行っています。
まずは、業務内容について見ていきましょう。以下の3つが挙げられます。
1.人材採用・育成
2.人事評価
3.労務管理
1.人材採用・育成
人材採用では新卒採用や中途採用を行います。採用のための計画や方針などを決定した上で、書類選考や面接などを実施します。また、入社後の研修の内容も計画し、採用された方が長く会社に定着するよう、新人研修を行います。
2.人事評価
社員の能力や業績を評価し、昇進や給与額の決定をします。常に全社員の働きを見られるわけではないので、人事考課の時期などは一気に業務量が増加します。
3.労務管理
労働時間の管理、健康診断、福利厚生に関する業務などを行い、社員が働きやすい環境を整備します。労働環境は、コンプライアンスの観点からも、特に見直しやが進んでいる領域です。
(参考元:HRとは?人事部との違いや業務内容、HR Tech(HRテック)について解説)
(参考元:人事(HR)のお仕事とは? 業務内容から必要なスキル、特徴や人事部の必要性まで詳しく解説)
人事・HRの課題
(引用元:積極的な“人事評価制度”の導入がエンゲージメントを高め、人手不足に苦しむ中小企業を窮地から救う)
以下の課題が挙げられます。
1. 人手不足
2. 業務の属人性の高さ
それぞれ見ていきましょう。
1.人手不足
人事部自体も人手不足に悩まされています。
前述したように、人事部の業務内容は入社前から入社後まで、多岐に渡ります。そうした中で、人事の知見・スキルをもった人材が不足しています。
例えば、採用時の書類選考では、膨大な数の書類を見て一人一人選考しなくてはなりません。また、苦労して採用した人材が短期で離職してしまっては意味がないので、正しく評価をするために多くの時間を掛けます。
こうした業務の知見を持つ人材は数が限られており、人事部の人材を採用するのも難易度が上がっています。
2.業務の属人性の高さ
業務の属人性が高いことも課題のひとつとなっています。
評価基準などは社内で共有されるものの、同じ評価基準を持っているからといって、まったく同じ目で候補者を評価することはできません。ある人がコミュニケーション能力や論理性が高いと感じても、他の人からはそう感じられないことはありますよね。
このように人事業務は評価者によって結果が左右されてしまい、属人性が高くなりがちです。属人性によるリスクを避けるために、多くの人を評価のプロセスに入れたり、面接官にしたりすることで、人事の業務工数は肥大化してしまいます。
(参考元: 人事担当者を悩ませる5つの課題)
(参考元:「採用が難しい」要因を徹底分析。人事がおこすべき14のアクションプランを考える)
人事・HRでのAI活用例
前述の課題を解決するために、AIを活用した事例をご紹介します。
書類選考にAIを活用することで工数削減
(引用元:「AI採用」は就活戦線をどう変える ソフトバンクの新たな挑戦)
事例
ソフトバンクが新卒採用の書類審査フェーズであるエントリーシートにAIを活用。
課題
ソフトバンクではピークの月には千件ほどのエントリーシートの提出があり、全てに目を通すのには多くの時間と労力を要していました。
また、エントリーシートの評価が担当者ごとに変わっており、可能な限り公平な評価をする必要性にも迫られていました。
解決策
AIを導入することで、エントリーシートを公平かつ効率的に評価します。
具体的には、「IBM Watson」という自然言語分野を処理できるツールを採用しましたIBM Watsonでは、自然言語で書かれた文章の認識が可能で、予め項目を用意し、評価することができます。
結果
過去の不合格だったエントリーシートと合格だったエントリーシートの特徴に関するデータが蓄積されていて、ほとんど正確な合否判定が可能です。
結果、業務の75%の削減に成功しました。
(参考元:「AI採用」は就活戦線をどう変える ソフトバンクの新たな挑戦)
(参考元:就職活動での「AIによるエントリーシート選考」。気になるギモンについて調べてきました!)
KMPGでのAIを利用した人材配置業務の効率化
人材配置におけるミスマッチを防ぎ、且つ業務を効率するためのAI活用事例です。
事例
社員一人一人の情報と各部署の業務の特徴をマッチングさせることで、最適な人材配属を行うシステムの導入しました。
課題
社員の希望業務や出身の学部といった表面的なデータや、担当者の経験や暗黙知などの主観で配置を決めるケースが多くありました。
解決策
自然言語処理を活用して、社員のレポート、エントリーシート、履歴書などに関する情報や組織情報などの膨大な情報を瞬時に分析することが可能になりました。
結果
社内にある文章から社員の特徴を抽出できるようになり、効率的かつより高精度なマッチングが可能になりました。
実際に製造会社にシステムを導入し、検証したところ、翌年には4割の業務効率化に成功しました。将来的には8割まで業務の効率化が可能になる見込みです。
(参考元:AIを活用した人事業務の効率化・高度化)
AIを活用した人事業務の効率化のサポート
(引用元:NEC HR Tech クラウド)
事例
NECソリューションイノベーターが人事や勤怠などの情報を活用するAIシステムを開発しました。
課題
人事に関するデータを集めたり分析したりする業務を人間が行っていました。時間がかかる上にヒューマンエラーが発生し、データも活用できていないという課題がありました。
解決策
社員の人事管理データを学習させ、学習モデルを構築しました。
具体的には、人材の適性配置、研修の効果測定、リテンションサポートをしました。
人材の最適配置においては、同じポジションにいた社員の学習モデルを活用し、後任になる可能性のある社員のスキルやキャリアプランなどのデータを分析し、統計的に適性度を計算します。
研修の効果判断では、ある研修を受講した社員の学習モデルを活用し、対象となる社員のスキル、研修状況、業績の評価を分析し、研修の効果を統計的に計算します。
リテンションのサポートでは、過去に離職した社員の学習モデルを活用し、離職しそうな社員の勤怠状況や業績評価に関する情報を分析し、離職の可能性を統計的に計算します。
結果
具体的な結果はまだ出ていませんが、人材配置、研修の効果、リテンションに関するデータを蓄積、分析することで、これまで感覚値で行われていた業務の改善が見込まれています。
さらには今後、新卒・中途採用のマッチング、社員の適性な評価や報酬額の決定などのサポートも可能になる予定です。
(参考元:NECソリューションイノベータ、AIを活用して人材のライフサイクルをサポートする「NEC HR Tech クラウド」を提供開始)
(参考元:NEC HR Tech クラウド)
まとめ
採用、人材配置、業務支援に関するソリューションをご紹介しました。
HR Techの台頭など人事やHRでのAIの活用も広がってきています。今後も技術が発達し、より精度の高い採用や人材育成などに関するソリューションが開発されたり、幅広い面で業務を効率化させるシステムが構築されたりするなど、さらなる発展が見込まれます。
属人性が高く、AIの導入が難しいと言われてきた人事領域でAIの活用が進むことには、大きな意味があります。これからの展開に期待しましょう。
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