企業のDXに欠かせないデータドリブン型経営の導入ステップと課題 - 株式会社STANDARD

企業のDXに欠かせないデータドリブン型経営の導入ステップと課題

DX・AIプロジェクト推進

この記事の目次

  1. DXに欠かせないデータドリブン型経営とは
  2. データドリブン型経営が注目される理由
  3. 組織の意思決定にデータドリブンを導入するための4つのステップ
  4. データドリブンをDXに活かすための課題
  5. データドリブン型経営とDX実現のカギは人材育成にあり

データドリブン型の経営は、DXの実現を目指す企業に欠かせない要素のひとつです。DXへの取り組みでは、デジタル技術とあわせてデータも活用する必要があるためです。しかし、「データドリブン(data driven)」という用語の理解が曖昧なままになっている方もいるのではないでしょうか。

そこで本記事では、データドリブンの基本的な意味と注目されている理由、導入するための4つのステップについて説明します。データドリブン型の経営を正しくイメージできるようになれば、DXに活かす際の課題も見えてくるでしょう。

DXに欠かせないデータドリブン型経営とは

データにもとづいてアクションが実行されている状態のことを、「データドリブン」といいます。用語としては、「データドリブン型マーケティング」や「データドリブン型開発」のように使うのが一般的です。

データとデジタル技術を活用してグローバルな競争力を維持・強化することを目的とするDXにおいては、「データドリブン型経営」が重要な要素だとわかるでしょう。

これまで勘と経験ばかりに頼った経営判断をしてきた企業が、いきなりAIなどの先端技術だけを導入しても高い効果は期待できません。デジタル技術により企業が真価を発揮するには、客観的なデータにもとづいた意思決定や課題解決を行えるようになることが肝心なのです。

データドリブン型経営が注目される理由

データドリブン型経営が注目される理由

多くの企業がDXの実現を目指す流れのなか、データドリブンの考え方もしだいに注目されるようになってきました。その理由として、以下の3つについて説明します。

– 顧客の行動が多様化・複雑化したから
– デジタル化により社会の変化が激しくなったから
– ITの進歩でデータが意味をもつようになったから

顧客の行動が多様化・複雑化したから

近年、消費者の価値観は多様化し、行動パターンも複雑になりました。その一因として挙げられるのが、インターネットの普及です。検索サイトなどを利用すれば、あらゆる商品情報に加えてクチコミなどの関連情報も簡単にみつけることが可能です。また、スマートフォンからでも手軽に買い物ができるECサイトが増加したことなども、消費者の行動の選択肢を増やす要因になっています。

これに伴い、売り手側から顧客の購買行動を読みづらくなりました。経験や勘に頼った判断でキャンペーンなどを実施しても、もはや通用しない現状があるといえるでしょう。費用対効果の高い施策を考えるには、データによる裏付けが必要となってきたのです。

デジタル化により社会の変化が激しくなったから

市場のデジタル化が急速に進んだことで、社会が変化するスピードは以前より速くなりました。企業が競争力を失わないためには、リアルタイム性の高い意思決定により変化のスピード感に追従していくことが求められます。

従来どおりの勘に頼った判断もある程度は可能かもしれませんが、リスクの高さは否めません。より重要なのは、常にデータの動きを把握しておくことです。これにより、社会の変化からチャンスを読み解き、タイムリーな意思決定ができるようになるでしょう。また、データに裏付けられた判断によって、課題を的確に解決できる可能性も高まります。

ITの進歩でデータが意味をもつようになったから

多くの人にとって、インターネットは今や暮らしのなかに当たり前に存在するものです。通信の高速化やIoTなどのテクノロジーの進展にも後押しされ、現在では常に大量のデジタルデータが流通しています。企業にとっては、収集・活用できるデータの幅が広がったことを意味しています。

さらに、ビッグデータを扱う技術も大きく発展しました。大量のデータを、これまでよりも実用的な方法で活用できるようになったのです。なかでもAIは、データからより高度な知見を得られる可能性のある技術として、DXを推進する多くの企業に取り入れられています。

組織の意思決定にデータドリブンを導入するための4つのステップ

組織の意思決定にデータドリブンを導入するための4つのステップ

ここからは、勘と経験に頼った経営からデータドリブン型の経営に移行するための4つのステップについて紹介します。

– ステップ1:データの収集と統合
– ステップ2:分析ツールによるデータの可視化
– ステップ3:データ分析にもとづいたアクションプランの立案
– ステップ4:アクションの実行と評価

ステップ1:データの収集と統合

まずは、データを収集するための仕組みづくりが必要です。「どのようなデータでも、とにかく集めればよい」と考えるのは、あまり効率的とはいえません。勘と経験に頼った経営から抜け出すためにも、判断に役立ちそうなデータを優先的に集めるようにしましょう。

例えば実店舗をもつ企業であれば、顧客が購入した商品などの基本的なデータは既存のものがあるでしょう。これに加えて、顧客の店内での行動パターンや、購入の意思に影響を与える天候などの情報が役立つ可能性があります。

また、これまで部門ごとや種類別でデータを管理してきた組織では、バラバラだったデータを統合して一元管理できる体制へ移行することも検討すべきでしょう。さまざまなデータを組み合わせられるようにしておけば、より高度な知見を得られる可能性が広がるためです。

ステップ2:分析ツールによるデータの可視化

データを収集できたら、それらを分析ツールなどを用いて処理できるよう可視化する必要があります。収集したデータは、情報として使える状態になっていなければ意味がないからです。

このとき、個々のデータを「人」が目で見て情報を読み取れるようになっていたとしても、分析の対象としては可視化が不十分な場合があることに留意しましょう。可視化のポイントは、データが「マシンリーダブル」になっているかどうかです。つまり、データをAIや各種分析ツールで活用できるようにするには、「ソフトウェア」で読み込める形式に整えておかなければなりません。

こうした準備にはある程度手間がかかることもありますが、リアルタイム性の高いデータ活用のためにも重要なプロセスだといえます。

ステップ3:データ分析にもとづいたアクションプランの立案

データを可視化できたら、実際にデータ分析を行って、その結果から戦略を具体化していきます。実施すべき施策をリストアップした、アクションプランを作っていくイメージです。

ここまでのステップにより、さまざまな角度からデータを分析するための準備は整っているはずです。単純な統計処理だけでわかることもあれば、AIを用いた高度な分析によって、一見すると無関係なデータ同士の関連性から思いがけず新たな知見が得られる場合もあるでしょう。

なお、こうしたデータ分析の結果は、従来からの勘や経験を否定するものではありません。データの裏付けにより、これまでよりも根拠のある決断が可能になるということです。最終的な意思決定は、あくまで「人」が行うものだということです。

ステップ4:アクションの実行と評価

アクションプランができたら、「あとはやるだけ」と思うかもしれません。しかし実行に移す前に、アクションごとの評価指標を設定することをおすすめします。どのような状態になればそのアクションを「達成できた」といえるのかを判断できる基準を、あらかじめ定めておくということです。

評価指標の設定は、組織に改善のスパイラルをもたらすものです。アクションを実行した結果を評価すれば、達成できなかった成果に気づくことができます。計画どおりにいかなかった部分については改善策を考え、プランを修正して次のアクションにつなげましょう。

データドリブンをDXに活かすための課題

データドリブンをDXに活かすための課題

DXを実現するにはデータドリブンの考え方を取り入れることが大切ですが、その際には課題もあります。ここでは、以下の3つの課題について説明します。

– 質の高いデータを収集できるか
– データの必要性を理解してもらえるか
– データに強い人材を戦略的に確保できるか

質の高いデータを収集できるか

意味のある意思決定は、現実を反映した質の高いデータによって可能になります。重要な意思決定の裏付けとなるべきデータの出どころが不確かだったり、内容が偏っていたりしては元も子もありません。どこから、どのようなデータを収集するかについては、十分に検討したいところです。

多くの企業では、もっとも身近にあるのは業務プロセスに関するデータでしょう。社内に散在するデータを掘り起こし、1ヵ所に集めることで有益なデータとして活用できます。ユーザーサポートやアンケートなどを通して、顧客からデータを集めるのも現実的な方法です。また、市場の動向を知るために、SNSなどを通じて世界中からデータを集める方法もあります。

データの必要性を理解してもらえるか

データの収集と統合には、部門間の協力や連携が必要となるでしょう。データは社内のいたるところにあり、すべての従業員が業務を通して触れるものだからです。協力体制を強固にするためにも、データ活用の必要性やメリットを全員が理解している状況が望ましいといえます。

あわせて、デジタル技術の基礎知識や各種分析ツールの使い方なども身につけておくと理想的です。このような知識やスキルは「DXリテラシー」の一部でもあります。DXリテラシーは、組織が一丸となってDXに取り組んでいくための最初の土台となるものです。

データに強い人材を戦略的に確保できるか

データ分析では、専門性の高いスキルを必要とするシーンが少なくありません。統計学的な知識のほか、AIや各種分析ツールを使いこなすITスキルも求められます。DXを積極的に進めたいと思うほど、このような人材の量(人数)も必要になってくるでしょう。

しかし、データに強い人材は限られており、DXを推進したい企業の間で取り合いになっているのが現状です。優秀な人材を外部から確保しようと試みるより、時間をかけてでも将来を見据えて人材育成に力を入れる企業のほうが、今後は生き残る可能性が高いと考えられます。

データドリブン型経営とDX実現のカギは人材育成にあり

データドリブンの考え方は、DXの実現に欠かせない要素のひとつです。データドリブン型経営を目指す際には、データの質を高く保つことに加えて、データを有効活用できる知識・スキルを備えた人材をいかにして育成するかがカギとなるでしょう。

その第一歩となるのが、DXリテラシーです。弊社では、全社一斉のリテラシー教育に最適な「DXリテラシー講座」を提供しております。データとデジタル技術をビジネスに活かすための知識獲得に、まずはご活用ください。

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