【経理のAI活用事例】AIを活用した経理業務の効率化とリモート化 - 株式会社STANDARD

【経理のAI活用事例】AIを活用した経理業務の効率化とリモート化

DX・AI技術・事例解説

この記事の目次

  1. 経理について
  2. 近年の経理の動向
  3. 経理の抱える課題
  4. 経理におけるAI活用事例
  5. 最後に

経理について

会社を支える存在として欠かせないのが経理部門です。

AIが普及すると、「経理に関わる人間は必要なくなってしまうのではないか?」という議論がたびたび起こっています。

果たしてすべての経理業務をAIに託すことはできるのでしょうか?また、AIを活用することによって、さらに生産性をあげながら効率的に経理の業務を行うことができるのでしょうか?

2013年のオックスフォード大学の研究にてAIが普及することで失われてしまう仕事の上位に簿記・会計・監査の事務員が入りました。2015年には野村総合研究所の日本版レポートが公開されて、上位には経理事務員が入りました。

このように経理に携わる人たちは、高い確率で、近い将来AIにとって代わられる仕事の代表格であると考えられています。

しかし、一概に経理の仕事といっても幅が広く、企業や業種によってやることはまったく違うこともあります。

AIに置き換えることで効率があがり正確性も高まる業務は置き換えたほうがよいでしょう。ただし、すべての業務が置き換えられることはないと考えられます。

この記事では、経理業務の中でもAIに託すことで課題が解決されたり、業務効率が高まる事例を紹介し、経理業界がAIと上手に付き合うためにどうしていくべきかを見ていきます。

近年の経理の動向

以下のグラフは国勢調査による会計事務従業者の推移です。

会計事務従業者には経理事務員の他にも現金出納事務員、預貯金窓口事務員なども含まれますが、目安として経理を職業としている人の移り変わりをみます。

(出典:国勢調査 就業者の産業・職業より作成)

グラフから1995年をピークにして年々会計事務に携わる人が減少し続けていることが分かります。実に2000年から2015年の間で、109万人、率にして42%減少しています。

経理業務はIT化の恩恵や影響を受けており、中小企業を中心に会計ソフトや基幹ソフトの導入が広がりました。人の手による単純な入力や計算作業を自動化によって減らした効果と言えるでしょう。

経理の抱える課題

現在の経理業界が抱えている課題は大きく下記の2つが挙げられます。

  1. 人手によるチェックが必要な作業の効率化

  2. リモート化できない業務への対応

ひとつずつ見ていきましょう。

人手によるチェックが必要な作業の効率化

経理業務には照合や入力などの単純作業が大量にある一方で、必ず人手でチェックしなければならない作業も存在します。それらすべてをAIに託そうとするには高いハードルが多くあります。

経理業務に携わる人を減らす企業が多いということは、一人あたりの業務負荷が過度にのしかかるケースが発生します。

特に例外処理にはベテラン経理担当者の「暗黙知」が欠かせず、そのような判断をAIに任せることはできません。

AIの精度も十分でないことから、重要な最終確認作業には人間の目によってしっかりと確認しなくてはならないこともたくさんあります。

そこで、OCR、自然言語処理、RPAといったAIのあらゆる分野を組み合わせていくことによって人手が必要なチェックでも効率化できるようになるでしょう。

単純処理をはAIに任せながら、どうしても人手が必要な処理に重点を置いて効率良く作業ができるようになるはずです。技術革新が進み、AIの精度があがることによって、任せられる業務も増えていくでしょう。

関連:今さら聞けないAIとは?企業活動に必要な理由・活用例について

(参照元:経理がAIに乗っ取られる、は本当か?

リモート化できない業務への対応

今後、働き方改革やコロナ禍、災害発生時などの対応のため、リモートワークの推奨が拡大することが見込まれます。

リモートワークが普及し、出社できる人を限定したとしても、経理業務においては必要な処理のためにやむを得ず出社しなければならない場合があります。例えば、印鑑が必要だったり、重要な書類は社外から持ち出せないというように、経理部門においてはすべての業務がリモートワークでできるとは限らないからです。遠隔でもすべての業務が行えるような仕組みづくりが必要です。

関連:DX推進のメリットとデメリットを解説!課題を乗り越え効果的に取り組むには

(参照元:経理部は「完全リモートワークで決算」できるか

経理におけるAI活用事例

AIによる手書き帳票の読み取りとデータ入力の自動化

RPA、OCR、自然言語処理などのAIのさまざまな分野を組み合わせることで、経理部門が行っていた業務を自動化・効率化することが可能です。

特に毎月大量に行う定型業務が経理には多数存在するので、効率化が欠かせません。

http://dx-suite.com/casestudy/2020/12/28/uservoice38

事例

AI Insideの「DX Suite」は、手書き書類などの文字をAIで読み取って電子化するサービスを開発しました。請求書や納品書などのデータを読み取って処理に活用できます。

課題

毎月大量に発行される手書きでの帳票を読み込んで、データ入力するには多大な人的コストがかかってしまうことが課題でした。

解決策

初期の面倒な設定は必要なく、サーバーにアップロードするだけで手書き文字の読み取りをはじめることができます。また、ディープラーニングによって自動で学習するAIであるために、文字認識精度がどんどん高まります。

プライバシー保護の観点からクラウド利用が望ましくない企業には、利用者の手元で使うことができるハードウェアも準備されています。

効果

年間に数万枚に及ぶ手書き伝票をスキャナー・専用ソフトで読み取ることで自動データになります。画像補正機能を用いることで、読み取り精度は9割超になります。

(参照元:AI insideのDX Suite AI-OCR商品案内より)

AIによる経費精算や監査の自動化

リモートワークが推進される中で、経費精算の申請やチェックが難しくなっています。

例えば毎日出社しない社員に対しては一律の定期代が必要なくなりますが、移動の際の交通費の申請やチェックは煩雑になります。

また、上長や経理担当が出社しない状況もある中で、経費精算が適切に行われているかの判断をする頻度も多くなりました。

これらをAIを活用して経費、勤怠、入館データなどから精査できるようにして、効率化をはかりました。

事例

ミレトスの「サファイア」はAIを使ってさまざまな経費申請からリスクの高いものを洗い出す経費精査プラットフォームを開発しました。

また、交通費の実費精算に特化した予測・分析アルゴリズムも開発し、煩雑な精算処理を効率化できるようにしました。

課題

リモートワークの広がりによって、申請者の行動が把握しづらくなったり、上長や経理部門が全員出社できるとは限らない状況であってもチェック業務を滞りなくしなければならないことが課題でした。

解決策

AIを用いて経費精算の不正を検知したり、従業員の経費申請、勤怠、入館データなどを分析することで正しく使われているかの不正や不備を検知できるようになりました。また、リモートワークの普及による交通費の処理も自動化できるようになりました。

効果

リモートワークが進む中で通勤定期代の支給廃止が進んでいます。実費で精算する経費が増えているため、勤怠や外出情報などから自動で移動経路をAIが予測し、申請も自動化することができました。

申請者の行動を上長や経理部門がいちいち把握しなくても、経理申請でのごまかしを減らすことが可能となりました。

(参照元:ミレトス「SAPPHIRE(サファイア)商品案内ページより)

最後に

この記事では経理業務の現状、課題、AIの活用事例をご紹介しました。

企業に欠かせない経理業務を効率化することによって、他の重要な業務に集中し、専念できるかもしれません。重要なデータを集め、経営戦略に必要な分析を考えることもできるでしょう。

経理を支える人は会社の数字のエキスパートですから、なるべく単純で退屈な業務はAIにまかせ、根幹となるクリエイティブな経営判断の助言につなげることもできます。

単にAIの利用を人員削減のためだけにするのでなく、効率化することによる恩恵を活用し経営判断に生かしてみてはいかがでしょうか。

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