DXにおいて戦略的人事を推進するための3ステップを解説 - 株式会社STANDARD

DXにおいて戦略的人事を推進するための3ステップを解説

DX・AI人材育成

この記事の目次

  1. Step1.バラバラに実施-個別最適フェーズ
  2. Step2.DX推進の集約組織設置フェーズ
  3. Step.3 DX戦略の立案・部門間連携-全社最適フェーズ
  4. 今回の記事のポイント

DXプロジェクトを進めていくための第一歩は、社内に適切な環境や人材を整えることです。

最初に組織環境を整えることにより、プロジェクトを回し始めてから本質的ではない部分で時間的・金銭的コストがかかってしまったり、アサインされた人材が高いパフォーマンスを出せなかったりする事態を未然に防ぐことができます。

そこで今回は、戦略的人事を推進するためにDXにおいて実行すべきことを、3つのステップに分けて解説していきます。

Step1.バラバラに実施-個別最適フェーズ

ステップ1では、教材や研修サービスのリサーチを行います。

ここでは各部門がバラバラにDXプロジェクトを実施しようとしている段階です。

いつ、どこで教育が必要になるのか分からないので、教材や研修を用途毎に整理しておき、各社員が必要になったタイミングでスムーズに受講できるような環境を整えておくことが人事には求められています。

これによって、各メンバーがそれぞれリサーチするというムダをなくすことができ、受講した研修や講座のレビューもまとめておくことで、より最適な教材や研修を選びやすくなります。

特に、上記の図のように「DXに関する基礎知識」、それを実現するための「エンジニアリング」、全体を構想し、まとめていく「マネジメント」の3項目について、それぞれのレベルで何を学ぶべきかを整理するとスムーズに準備段階に入ることができるようになります。

Step2.DX推進の集約組織設置フェーズ

続いて、DXを推進する組織設置に関して説明していきます。

Step2-1. DX推進の主要メンバーの人選

ステップ2-1は、DX推進の主要メンバーを人選することです。

DX推進の組織を設置するにあたり、そこに適性がありそうなメンバーを選んでいきます。

独立行政法人 情報処理推進機構「DX推進に向けた 企業とIT人材の実態調査」から、どんな人が適性があるのか?という項目を抜粋したものが上記の図になります。

A~Fまでの適性因子の仮説があり、Aは不確実な未来への想像力、Bは臨機応変・柔軟な対応力、Cは社外や異種の巻き込み力、Dは失敗したときの姿勢・思考、Eはモチベーション・意味づけする力、Fはいざというときの自信の突破力というようになっています。

どれも重要ではありますが、この中で特に重要であろう適性因子を3つあげるとすれば、「課題設定力」「好奇心」「技術知識」です。

では、このような適性がありそうな人を、どのように選べばいいでしょうか。

そもそも、社外から採用するという選択肢もありますが、今回は社内からの人選のケースを考えていきます。

1つ目は、任意参加の勉強会・講演があります。

勉強会に素早く応募したり、複数回参加しているメンバーは、好奇心が強く、技術知識もキャッチアップできる素養があるでしょう。

2つ目は、プロジェクトのアイデア公募です。

自主的にやりたいプロジェクトを公募し、その中でも本質的な課題提起をしてくるメンバーから選んでみましょう。

3つ目は、積極性のある若手人材を選ぶことです。

様々なプロジェクトで成果を出している若手人材は、課題設定力が高かったり、好奇心旺盛な場合が多いです。

以上のようにして、DX推進の主要メンバーを適切に人選していきます。

Step.2-2 全社的なDXリテラシーの教育

ステップ2-2は全社的なDXリテラシーの教育を実施することです。DX推進をおこなっていく上で陥りがちなパターンとして、以下の3つがあげられます。

1つ目として、DX推進を担当する方からお聞きする一番のお悩みは、「現場や経営層の方々からの協力が得られない」ということです。

DX推進を行う上では、様々な部署と連携をとって必要なデータを収集したり、そのための十分な予算をつけるなど、1つの部署だけでは決して完結させることはできません。

社内全体でDXの必要性に気づき、様々な部署の協力を得ながら全社的にプロジェクトを進めていく必要があるのです。

2つ目は、デジタルに関する知識が薄いということです。

DXプロジェクトを推進しようと社内で協力を呼びかけても、実際に現在のデジタル技術でどこまでできるのか、どのようにビジネスに応用できるのかを知っている方はほどんどいません。

デジタルに関する知識や話題を社内で共有していなければ、うまく議論が進まず時間だけが過ぎる結果になりかねません。

DXに関する基礎知識を全社員がつけ、知識を共有した上でプロジェクトを進めることで、スムーズな議論を展開することができます。

3つ目は一部のメンバーしかプロジェクトの企画ができないということです。

DXプロジェクトの最初のステップとして、DXで解決できそうな課題を見つけることが重要です。しかし多くの場合、この課題を発見できずに終わってしまいます。

原因の1つとして、実際の課題はプロジェクト推進を行うマネジメントサイドではなく、現場にあることが多い、といったことが考えられます。

これを解決するためには、現場にいる社員もDXに関する知識を身につけ、どこからでも課題を発見しプロジェクト企画につなげていくことができるようにする必要があります。

このように、DX推進が行える組織や文化を創っていくために、全社的に学んでいくことが必要不可欠となります。

関連:DXリテラシーとは? | 誰に必要なのか、何を学ぶことなのか?徹底解説

Step.3 DX戦略の立案・部門間連携-全社最適フェーズ

Step.3-1 全社的な人材育成プランの立案

ステップ3-1は、全社的な人材育成プランの立案です。

全社的にDXを推進していくためには、社内でDX人材を育成していくことが必要不可欠です。

まず、会社のDX戦略に合わせて、それぞれ実行するためにはどんなレベルの人材が、何人必要なのかを決めていきます。その際、定義が分かりやすい様に、基準となるスキルマップを作成するとよいでしょう。

例として、上記の表にあるものを解説していきます。

1点目の「課題を洗い出すことができる」とは、現場にある課題をブレスト的に上げていくことができる段階を指します。課題発見のフェーズにおいてはこれが最も基礎的なレベルと言えます。

2点目の「解決すべき価値のある課題を洗い出すことができる」とは、1点目のスキルに加え、その課題に対し重み付けができる段階のことを指します。

DXプロジェクトの推進において課題発見のフェーズは最も重要なフェーズであるため、解決すべき課題の優先順位を適切に設定できるスキルはDX人材に必要不可欠です。

3点目の「それぞれのデジタル技術で何が出来るか、事例を理解している」とは、現在のテクノロジーの限界や、どの技術がどういった分野に応用可能なのかを最低限理解している段階を指します。解決策構築のフェーズにおける、最も基礎的なレベルです。

4点目の「技術者と会話しながら、要件定義をすることができる」とは、実際のプロジェクトにおいて、経験者と一緒であれば、課題発見フェーズと解決策構築のフェーズをつなぐサポートができる段階を指します。この段階まで来ればひとまずプロジェクトを回せるでしょう。

5点目の「最低限のリソースで、解決すべき課題を必要十分に解決できる」とは、DXプロジェクト経験者の力を借りることなく、自分一人で要件定義ができる段階のことを指します。

解決策構築のフェーズで重要なのは、最も効率的・効果的な解決策を構築することです。つまり、最低限のリソースを用いて課題を解決し切るこのスキルがDX人材には求められています。

6点目の「DXプロジェクトのPoCを推進できる」とは、ここまでに構築した解決策を実証するフェーズを主導できる段階を指します。DXプロジェクトにおいて、PoCは必ずといっても良いほどおこなわれるので、DX人材が身につけるべきスキルです。

7点目の「DXプロジェクト全体のPMができる」とはここまで全てのフェーズを俯瞰してプロジェクトを設計し、マネジメントできる段階を指します。

このレベルの人材がレベル4までの人材を引っ張ってプロジェクトを進めていくことで、プロジェクトの成功のみならず新たな人材の育成に繋がります。

これらの7項目の習熟度合いによって、人材のレベルを定義していきます。

次に、より具体的な人材育成計画を立案していきます。

・どの部門に ・どんなレベルの人材が ・いつまでに ・何人必要で ・どのように育てるか

というそれぞれの要素を決めていきましょう。

Step.3-2 人材育成の効果計測

ステップ3-2は、人材育成の効果を計測することです。

ここまで説明してきた全社的な人材育成プランを実行していく過程で重要なのは、研修を実施しただけで終わらせずに事業への貢献までを検証することです。

研修・人材育成の実施をしたまま、その後どのように事業やプロジェクトの成功に結びついたかを検証しないことがよくあります。

このようなことが続くと、「研修・人材育成の効果がなかった」と判断されてしまう可能性があります。すると、会社の中でも人材投資がしにくくなってしまうので、しっかりと効果を検証していく必要があります。

具体的には、研修前に想定できる結果を設定し、研修後にどのような効果があったかを事業部にヒアリングしていくことなどが考えられます。足りていない部分があれば新しい研修を用意し、効果が低かったら改善サイクルを回せるようにしていきます。

また、それらをきちんと検証していくためには、人材データのマネジメントも欠かせません。各社員がどんなスキルを持っており、どんなプロジェクトに取り組み、どんな特徴があるのかというデータを一元管理していくことで、より効果的な人事施策がうてるようになります。

もちろん、すぐにデータを集めるというのは難しいですが、最終的にはデータを一元管理するという目標を立てた上で、データの整備などを進めていくことがDX成功の一歩目となります。

関連:新人教育からDX人材の育成まで!eラーニング研修を導入するメリットとは

今回の記事のポイント

・教材や研修サービスを調査して、自己学習ができるようにしておく

・課題設定力・好奇心・技術知識がある人材を社内から選抜し、DX推進の役割を与える

・DX推進が出来る組織をつくるために、DXリテラシーを全社的に普及させる

・研修を実施しただけで終わらせずに、事業への貢献まで検証する

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