【農業業界でのAI活用事例】AIを活用した新しい農業スタイルとは?
農業業界について
農作物を作る農業業界は、人々が生活していく上で欠かせない業界の1つです。
農林水産省が発表したGDP(国内総生産)に関する統計によると、農業業界のGDPは、平成25年度の約4.7兆円から、平成30年度は約5.7兆円と上昇しています。
農業・食料関連産業における国内生産額も、平成25年度は約106兆円でしたが、平成30年には約117兆円と上昇しています。
このように、着実に成長を遂げている農業業界ですが、時代に合わせた変化を遂げなければならない局面を迎えています。まず、農業就業人口が減少しており、平成22年度に260,6万人だった農業就業人口は、平成31年度には168,1万人と大幅に減少しています。
そして、その農業従事者の平均年齢は、農業労働力に関する統計によると平成22年度には65.8歳でしたが、平成31年度には67歳と、ますます高齢化が進行しています。
このように、就業人口の減少、高齢化の中で、国内生産額が増加しているのは、効率化の成果と考えることもできますが、このまま人手不足や高齢化が進むと、農業が立ち行かなくなる可能性もあります。こうした自体を憂慮して、農林水産省は逆引き辞典を作成して、農業支援制度や補助金を設けて、AI化を農家に推奨しています。
農業業界の課題
現在の農業業界の課題として、以下2点の問題点が挙げられます。
① 人手不足による農業全体の規模の縮小
② 言語化されていない属人的な農業ノウハウ
課題を1つずつ見ていきましょう。
①人手不足による農業全体の規模の縮小
農業業界の人手不足は、どんどん深刻化しています。
農業構造と農業経営の動向から、5ha以上の土地で作物を作っていた層が5ha未満に規模縮小していることが見て取れます。反対に、規模を5ha以上の層に増加した農家もいますが、年々その比率は減少しています。
規模縮小の理由として、人手不足を上げています。さらに、前述の通り、高齢化が早く進んでいますから、力仕事でもある農業の人手不足は他の業界と比べても深刻だと言えます。
今までの農業業界では、人の手や目で日々の作業を行っていました。しかし、人手不足で起こる農業規模の縮小を押さえるためにも、AIを活用して農業活動を行うことが注目されています。
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②言語化されていない属人的な農業ノウハウ
高齢化が深刻化していくにつれ、「農業従事者の技術が属人的なまま、言語化されない」という、課題が生じています。
ノウハウが属人的で言語化されないまま時が経てば、次世代へ技術を伝えることが出来なくなります。
収穫物の収穫や栽培を行う判断は、多くの経験やスキルが必要です。タイミングを間違えてしまえば、農作物が台無しになってしまうこともあります。そのため、農業従事者のノウハウを言語化して、簡易にノウハウの引継ぎ、新たに農業を初められる人を増やす必要があるのです。
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農業 業界におけるAIの活用事例
AI×ドローンで業務の自動化、軽労化を推進
市販のドローンと【いろは】を合わせる事で、広大な農地を人が見回る必要が無くなり、農作物の撮影も自動で行われるので、業務の自動化&軽労化を可能にしました。
これまでは人の目や手を使って、農作物の収穫時期を見極めていましたが、ドローンで撮影した画像をクラウド上で共有したり、解析をする事が可能になりました。
事例
スカイマティック葉色解析サービスを活用し、生育管理業務や、ビニールハウスの環境整備業務を実施しました。
課題
広大な場所に圃場を持つことで、エリア全てを人が見回るという事が出来なくなったなか、広大なエリアの見回りを行うことが課題でした。
解決策
スカイマティック葉色解析サービスを導入し、ドローンで撮影した画像を、クラウドで解析、保存、そして共有まで行いました。また、ビニールハウスの環境整備にも、ドローンを搭載したサービスを活用しました。
効果
上空からの目線で、圃場の状況を立体的に把握することが可能になり、全体の生育管理を全体像を見て行うことができるようになりました。
広大な圃場の生育管理がAIを活用する事で、自動化、軽労化されました。
(参照元:ドローン画像を「価値ある情報」に変える圃場管理サービス『いろは』とは?)
AIを搭載したロボットを活用し、収穫作業を自動化!
(引用元:鎌倉の農業ベンチャーinaho、野菜収穫ロボットで農業自動化に挑戦する)
事例
AIを搭載したロボットでアスパラガス収穫作業を自動化しました。
課題
アスパラガスの収穫時期は「2~10月」で、この期間内は労働時間の半分近くを収穫作業にとられていました。
解決策
アスパラガスの収穫作業をロボットができるように自動化しました。取り残しがないよう、スマホアプリの圃場マップで様子を確認できるようにしました。
ロボットがアスパラガスをかごいっぱいに収穫したら、農場から出てきて、農業従事者のスマホに通知が届く設定になっています。
効果
アスパラガスの収穫作業の9割を自動化し、農業従事者の負担減少に成功しました。
また、自動野菜収穫ロボットを導入してからは、他の業務に注力する事が出来る様になりました。
(参照元:ロボットで収穫作業の9割を自動化へーーー、inahoのアスパラガス自動収穫ロボットの仕組みとは?)
ビッグデータを活用して、栽培ノウハウを自動化&形式化
事例
長野県高山村がビッグデータを活用して、ブドウの栽培ノウハウを形式化しました。
(引用元:醸造用ブドウの品質向上にスマート農業を活かす「信州ワインバレー構想」)
課題
近年の異常気象などから、高品質な醸造用ブドウを、安定して生産することが難しくなっていました。データを見ても、どう対処すれば良いのか分からないことも課題でした。
解決策
データに基づいてブドウの質を向上させ、安定した生産を行う為に、通信機能&センシング機能を持ち合わせた、フィールドサーバーを導入しました。
農作物が病気に感染しやすくなったら、人工会話プログラム「Bot」が、通知をしてくれます。
効果
フィールドセーバーを導入した事により、スマホさえあれば、収集したデータを確認出来るようになりました。
「何が、どのタイミングで起きるのか」「何を行えば良いのか」を、データが導いてくれる様になり、言語化されていない属人的なノウハウを、共有出来る様になりました。
また、人工会話プログラムが通知をしてくれるので、病気の感染を未然に防ぐ事が出来る様になりました。
(参照元;醸造用ブドウの品質向上にスマート農業を活かす)
まとめ
人々が安定して食べ物を得ていく為に、農業業界は、安定的に農作物を生産する必要があります。高齢化が加速し、農業従事者が少なくなっている中、AIを活用した農業の仕組み化は必要不可欠であり、今後、様々な取り組みを行う事が期待されています。
農業は、どうしても体を動かす作業が多いため、AIの活用が難しい部分もあったのですが、ロボットやドローンの技術発展に伴い、少しずつ農業現場の作業を自動化することにも成功し始めています。
人手不足、高齢化の影響が大きい農業で、AIの活用が進み課題を解決できれば、人手不足・後継者不足に苦しむ他の産業の課題を解決するモデルケースになるかもしれません。
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