「ものづくり」におけるDXの必要性|「ものづくり白書」が示す課題とは - 株式会社STANDARD

「ものづくり」におけるDXの必要性|「ものづくり白書」が示す課題とは

DX・AI人材育成

この記事の目次

  1. 「ものづくり」には日本ならではの価値がある
  2. ビジネス環境の変化と「ものづくり」におけるDXの必要性
  3. DXを通じて「ものづくり」の強みを活かすには
  4. 「ものづくり白書」が示すDX実現に向けた課題と事例
  5. 人材とデジタルの融合が「ものづくり」のDXを実現する

企業変革の実現に向けてDXへ取り組む流れは、世界的なものとなっています。一方で、その流れに乗り切れず岐路に立たされている企業も少なくありません。

それは、日本独自の強みをもつ「ものづくり」企業においても例外ではないでしょう。デジタル技術を高度に活用する競合他社とのグローバルな戦いにおいて、競争力を強化し生き残るための変化が求められています。

そこで本記事では、「ものづくり」においてDXが必要な理由と、その実現のために解決すべき課題について説明していきます。

「ものづくり」には日本ならではの価値がある

「ものづくり」は、製造業を営む企業を指すことが多い言葉です。しかし、この言葉にはそれ以上に特別な意味が込められていると感じる人も多いのではないでしょうか。

例えば、熟練の職人が丹精込めて製品を作り上げる様子がイメージできます。品質の高さや、顧客からの難しいニーズにも応えられる技術力を想像する人も少なくないでしょう。

これらのイメージこそ、日本の「ものづくり」の強みなのです。こうした日本ならではの特徴は、技術力だけでなく手間を惜しまない細やかな仕事のしかたによっても支えられてきました。

ビジネス環境の変化と「ものづくり」におけるDXの必要性

日本独自の強みがあるはずの「ものづくり」に、なぜ今DXが求められているのでしょうか。ここでは、その理由について説明していきます。

– 業界のグローバル化
– 業務環境のデジタル化

業界のグローバル化

デジタル技術の浸透にともない、多くの市場でグローバル化が進行しています。国内の市場にも海外の企業が続々と進出し、既存企業の競争相手となりつつあります。

「ものづくり」においては、品質の高さが強みとなりうることに変わりはありません。しかし、顧客との入念な「すり合わせ」や文書化が難しい職人的技巧に支えられてきた日本の「ものづくり」は、どうしてもコストが高くつく傾向にあります。加えて、新型コロナウイルス感染症の拡大により原材料価格が高騰していることも、さらなるコスト高を引き起こす要因となっています。

また、世界で認められる企業・製品となるには、カーボンニュートラルの実現などの社会的要請にも今後は応えていかなければならないでしょう。デジタル技術のさらなる活用で、製品の付加価値を高めていく必要があるのです。

業務環境のデジタル化

新型コロナウイルス感染症の世界的な流行は、業務環境にも大きな変化をもたらしました。多くの企業がテレワークやリモート会議のためのシステムを導入し、遠隔でも業務を遂行できる環境を整えたのです。

このことは、経営者の意識にも変化をもたらしました。「企業IT動向調査2021」によると、日本の製造業におけるIT投資の目的は、「働き方改革」や「社内コミュニケーション強化」から「ビジネスモデルの変革」にシフトしてきています。

一方、「ものづくり」のサプライヤーには中小企業が多いのも実情です。デジタル技術に抵抗を示したり、導入はしても使いこなせなかったりする現場もあると考えられます。そのような場合は、サプライチェーン全体のセキュリティについても不安が残るでしょう。

今後は、関係企業が一丸となって、デジタルスキルの向上をはかる施策が求められるのです。

DXを通じて「ものづくり」の強みを活かすには

DXを通じて「ものづくり」の強みを活かすには

日本の「ものづくり」が今後も本来の強みを発揮し続けられるようにするために、デジタル技術で何を目指すべきでしょうか。ここでは、以下の2点について説明していきます。

– デジタルツールで競争力のあるITシステムを構築する
– データ活用で熟練技術の強みを取り戻す

デジタルツールで競争力のあるITシステムを構築する

デジタル技術は、DXでビジネスの新たな付加価値を創出し、企業としての競争力を高めるためのツールとなります。

実際に成果をあげるには、ITシステムを構築して全社的に利用できるようにすることが重要です。あらゆるデジタルデータを一元管理して、いつでもアクセスできるようにしましょう。これにより、バラバラになっていた社内のデータが集約され、新たなつながりを見出せるようになるのです。

このようなITシステムは、競争力を維持・向上するための施策につながる知見を得るための基盤だといえます。データを可視化・分析して、その結果を業務改善や経営判断に役立てることが可能になるためです。

データ活用で熟練技術の強みを取り戻す

「ものづくり」においては、ある種の職人技が事業の強みになっているケースが少なくありません。一方で、熟練の技術は習得や継承に時間がかかるため、新たな人材の確保が難しい部分でもあります。積極的なデータ活用は、こうした課題を解決するための糸口となる可能性があります。

具体的には、職人技をデジタルデータとして表現し、ITシステムで扱えるようにするのです。人の技術には完全にはデータ化できない部分もありますが、ある程度であれば可能でしょう。これには、特定の人材に頼らず水準以上の品質を確保したり、熟練者の動きを遠隔地でも再現できるようにしたりといった活用例が考えられます。

「ものづくり白書」が示すDX実現に向けた課題と事例

経済産業省と厚生労働省、文部科学省は共同で「ものづくり白書」を毎年発行しています。これは、「ものづくり基盤技術振興基本法」にもとづく法定白書です。

その22回目にあたる2022年版では、日本の製造業の現状や課題を分析しつつ、カーボンニュートラルや人権尊重、DXなどの動向や事例がまとめられています。「ものづくり」を行う企業がDX実現に向けて検討しておくとよい課題や事例も掲載されているので、ここではそのなかから以下の2つの課題を紹介します。

– 付加価値と競争力を高める情報の「流通」を管理できるか
– デジタルに強い「人」を基盤とする文化を構築できるか

付加価値と競争力を高める情報の「流通」を管理できるか

近年では、環境への配慮も企業の価値を左右する重要な要素です。

Apple社は、同社が手掛ける製品の製造過程において、サプライヤーの各工場から電力消費量のデータを受け取っています。自社製品の環境負荷を、実態から的確に把握できるようにしたのです。これは、「ものづくり」に関する情報をサプライチェーン内で積極的に「流通」させ、活用できるようにした事例だといえるでしょう。

この例のように、サプライヤーの協力を得てデータを収集すれば、その分析結果から新たな知見を獲得できる可能性が高まります。一方で、現行のサプライチェーンが中小企業に支えられている場合には、デジタル化の推進やセキュリティ確保が課題となるケースもあるかもしれません。

デジタルに強い「人」を基盤とする文化を構築できるか

DXの実現には、デジタルに強い組織文化の醸成が必要です。

富士通株式会社は、同社が製造・販売を手がけるネットワーク機器の工場に、ローカル5Gのネットワークを導入しています。これまで人が行っていた運搬作業の自動化や、遠隔からの組み立て作業のサポートなど、品質向上の施策につながるシステムの構築に活用しているのです。これは、「ものづくり」における人の活動を、デジタル技術で支援できるようにした事例だといえるでしょう。

こうした施策を実行するには、デジタル技術を使いこなせるだけの素養が現場に求められます。デジタルに強い組織づくりのために、人材育成も重要な課題となるでしょう。

人材とデジタルの融合が「ものづくり」のDXを実現する

「ものづくり」におけるDXの実現では、人とデジタル技術をいかにして結びつけるかがポイントです。ITシステムの構築や職人技のデータ化のほか、デジタル技術を活用できる人材の育成も重要となります。

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