【行政のAI活用事例3選】日本でも進みつつある行政のデジタル化 - 株式会社STANDARD

【行政のAI活用事例3選】日本でも進みつつある行政のデジタル化

DX・AI技術・事例解説

この記事の目次

  1. 近年の行政の動向
  2. 行政におけるAI活用事例
  3. 最後に

行政手続きをする際に、「デジタル化してくれたら、もっと楽になるのにな…」と感じたことがある方は多いのではないでしょうか。

日本政府のデジタル化の遅れを報道するメディアが多いため、遅れているイメージも多いのではないかと思います。企業におけるAI導入が相次いでいるので、なおさら行政ではAI導入が進んでいない感覚があるのかもしれません。

しかし、実際はAIを導入している地方自治体も存在しており、今後行政でもAI導入が進むことが予想されます。

どういった場所でAIが使われていくのか、現在の行政におけるAI導入事例をご紹介していきます。

近年の行政の動向

2020年7月に発表されたデジタル政府の開発状況を示したEGDI(E-Government Development Index)にて、日本のデジタル化は世界14位と他の先進国に遅れをとっているという結果となりました。

また、政府のデジタルに関する成熟度の評価基準はレベル1~レベル5で表されますが、日本は評価対象外という評価を受けています。

しかし、2021年2月に政府は、デジタル庁の設置法案を含むデジタル改革関連6法案を閣議決定しました。

この法案により、2021年9月1日にデジタル庁が発足されます。よって、2021年9月から日本の行政のデジタル化が加速していく事は明らかです。それに伴い、AIも活躍の場も増えていくでしょう。

(参照元:ガートナー

(参照元:首相官邸ホームページ 「デジタル改革」

行政におけるAI活用事例

行政におけるAI導入事例を3つご紹介します。どのような技術を導入しているのか、どういった効果があるのか、ぜひ参考にしてみてください。

事務作業時間の大幅短縮

事例

経済産業省の秘書課では、省内の人事事務を行うPC上の定型業務をソフトウェアで代替えするRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入しています。

課題

人事異動や担当業務変更などの情報を「人事・給与」システムに登録するのに、時間がかかっていました。

解決策

RPAを用いて、経済省本省の人事異動や担当事務変更などの情報を人事院が運営管理をする「人事・給与」システムへの登録作業をAIが行うようにしました。

効果

従来の手作業では1件当たり10分程度かかっていた作業が、RPAを用いることで3分程度に短縮されました。また、将来的には完全に自動化ができるのではないかということで、完全自動化の実現に向けて取り組みが進んでいます。

このような通年で行われる作業で且つ単純な作業は、AIが行うべき業務が明白であることから、AIを導入しやすい事例といえます。

単純作業でも、人が行うと時間もかかるうえに、ミスをしてしまう可能性があります。人事異動は、他の行政機関でもあることなので非常に模範にしやすい事例です。

(参照元:RPA TECHNOLOGIES 「CASE 経済産業省」

関連:【RPAとは?】基本の定義やAI・マクロとの違い、事例までを詳しく解説!

多言語AIチャットサービス

事例

東京都港区では英語及びやさしい日本語で自動返信をする多言語AIチャットサービスを導入しています。

課題

東京都港区では、人口の約8%の2万人が外国から居住してきた方です。国籍は約140か国にもなります。これにより、外国人の方は行政への問い合わせに難しさを感じており、行政の支援が受けづらい状態となっています。

解決策

日本語が不慣れな外国人の方も、行政情報に問い合わせをしやすいように、英語及びやさしい日本語で自動返信をする多言語AIチャットサービスを区が運営するFacebookに導入しています。

効果

問い合わせをする外国人の方にも分かりやすく、より平等に行政の支援を受けることができるようになりました。また、外国人の方だけに限らず港区に住んでいる人は、365日24時間どこにいても必要な情報を得ることができます。

東京都港区の他にも、岡山県和気町や福島県会津若松市など、同様のAIチャットボットを導入しています。AIチャットボットは、行政側にとっても国民側にとっても非常にメリットの多いものなので、他の地方公共団体でも導入が増えていくことは間違いないでしょう。

(参照元:港区「多言語AIチャットによる外国人向け情報発信を行っています!」

保育所利用調整業務の省力化

事例

埼玉県さいたま市で、保育所利用調整業務の省力化を目的にAIによる自動割り振りの実証実験が行われました。

課題

保育所利用者の調整業務に多くの時間がかかることが課題となっています。さいたま市では、約8000人にも及ぶ保育所への入所申請書を市内の約300施設に割り振っています。

この業務は延べ1500時間と非常に時間がかかるものです。なぜこんなにも時間がかかるのかというと、申請者の様々な要望を聞き、最善の選考をする必要があるからです。

解決策

ゲーム理論のモデルを用いて、入所の優先順位をつけ、最適な保育所の割り当てを瞬時にできるAIを導入しました。

効果

さいたま市では、このAI技術を活用することにより1500時間もの作業を数秒で完了することに成功しました。また、AIが数秒で導き出した保育所の割り当てと、さいたま市職員が1500時間かけて行った保育所の割り当てがほぼ一致するという結果となりました。

さいたま市に限らず、人口の多い都市部周辺では割り振りに多くの時間がかかりますが、行政が対処すべき問題点は待機児童など他にも多くあります。

AIを活用することにより、業務を劇的に短縮することが可能です。短縮された時間を使い、行政が向き合うべき問題点に注力できることもAIを活用する大きなメリットです。

(参照元:総務省発表pdf

最後に

日本のデジタル化は、諸外国に遅れているものの、徐々にAI導入の流れは生まれ始めています。2021年9月1日に新しく日本の行政機関となるデジタル庁は、その流れを加速させる可能性が高いです。

現状、AIを導入している公共機関は、業務時間の短縮や国民へのサービスの向上に成功しています。近い将来この差を埋めるべく全国的にAIの導入が推進されていくでしょう。

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