DX実現にはKPIの設定が重要!DX推進指標を活用しDXを効果的に推進する方法を解説
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DXに取り組んでいる経営者の方や関係者の方のなかには、DXを進めていても効果が見えずに悩んでいる方がいらっしゃるのではないでしょうか?DXの実現には、経済産業省が策定している「DX推進指標」を活用してKPIを設定し、定期的にDXの達成度合いを数値で計りながら改善し進めていくと、効果的にDXを推進していくことができます。
この記事では、DX推進の正しい方法や、DX推進指標を活用してどのようにDXを進めるのかを知ることができます。DXに取り組んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
DXの概要
DXとはデジタルトランスフォーメーションの略称で、デジタル技術を活用して企業を変革していく取り組みのことを指します。ここではまずDXの定義や目標を解説するとともに、経済産業省が日本の産業界全体でDXへの取り組みを推進している背景もみていきます。ではDXの概要を確認していきましょう。
DXの定義と目標
現代の企業は自然災害や戦争、テロなど何が起こるかわからない経営環境に晒されています。例えば、新型コロナウイルスの蔓延も予期していなかった危機の一つです。DXとは、どのようなことが起こっても市場での競争力の優位性を保ち、企業価値を高めていくために、最新のデジタル技術やデータの蓄積・解析を通して企業のビジネスモデルや企業文化を変革していく取り組みを表します。
DXに取り組む際に大切になるのは、しっかりと目標を定めることです。DXによってどのような企業価値を打ち出していきたいのかや、どのように社会や顧客に貢献する企業になりたいのかといった長期的な視点で実現していく目標を、経営者は明確にしたうえで進める必要があります。目標を定めずになんとなくDXに取り組むと、本来手段であるはずの最新のIT技術やデータの活用といったデジタルテクノロジーの導入がゴールになりがちになるため、注意が必要です。
経済産業省がDXを推進する背景
経済産業省では「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会」という組織を設置しその議論をまとめたDXレポートを公開するなど、社会全体でDX実現は急務として推進されています。
DXがなぜこのように推進されているのかというと、経済産業省のDXレポート(※)のなかで「2025年の崖」として指摘されている、DXの失敗で起こりえる巨大なリスクのタイムリミットが迫っているからです。
企業内でしか使えないような日本のITシステムは「レガシーシステム」と呼ばれ、今後、各種サポートの終了や人材の不足によって、システムの維持にますますコストがかかります。
2025年までにレガシーシステムを刷新して、最新のIT技術やデータの活用を取り入れたシステムに転換していかないと、それ以降莫大になるデータを扱いきれず、企業は市場のなかで競争力を失いデジタル敗者になるという指摘がされているのです。
そのためDXの取り組みは急務であり、あらゆる産業においてデジタル技術やデータを活用した新しいビジネスモデルを創出して、企業の変革に取り組む必要があるのです。
(※)出典:経済産業省|DXレポート ~IT システム「2025 年の崖」の克服とDXの本格的な展開~
DX推進のうえで重要なのはPDCAを回すこと
DX推進のうえで、数値目標を設定し効果を計りながらPDCAを適切に回していくことが必要です。PDCAとは、「Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)」の頭文字を取った言葉で、まず計画を立てて実行し、その結果を適切に評価したうえで改善策を考え施策を実行するという、うまく事業を進めていくためのサイクルを表します。
PDCAを適切に回していくには、KPIを設定してDX施策の進捗や効果を計る「Check(評価)」が大切です。KPI(Key Performance Indicator)とは、目標までの達成度合いを計測するために置く定量的な指標を意味します。DX実現には、KPIを設定して数値で進捗を確認しながらPDCAを回し進めることが重要です。
KPIとして活用できるDX推進指標とは
DX推進のKPIに活用できるものとして「DX推進指標」があります。「DX推進指標」とは経済産業省によって策定されたもので、自社のDX推進状況を簡易的に自己診断できるツールです。
「DX推進指標」が策定された意図としては、「DX推進指標」を使って企業がDXの進捗度合いを自己診断することで、DX推進に向けた現状や課題に対する認識を経営者や社内の関係者が共有し、次にどのようなアクションをとるべきか気づく機会を与えるという想定がされています。そのため、DXへの取り組みの達成度合いを計るKPIとして、DX推進指標が使えるというわけです。
DX推進指標をKPIとして活用するメリット
DX推進指標をKPIとして活用するメリットとして以下のような点が挙げられます。
- DXの進捗状況について社内で共通認識を持てる
- DXの進捗管理をできる
- DX推進における自社の課題とそのための対策がわかる
DX推進指標の自己診断では、経営者や経営幹部、事業部門、DX部門、IT部門など社内の主要な関係者が議論をしながら回答することが想定されています。そのため、DXに対するビジョンや目的などの共通認識を社内で醸成することが可能です。
また、DX推進指標の自己診断をIPAに提出することで、その自己診断結果を分析した診断結果と全体データとの比較ができるベンチマークを入手できます。それによって現在のDXの達成度合いを数値で確認でき、適切な進捗管理が可能です。
さらに自社のDXの取り組みの現状を数値化できるため、目標の状態と現状とのギャップを数値で把握できます。それによって具体的な対応策を考え、次のアクションをとることが可能です。
5段落 DX推進指標を活用してDXを進める方法
ここからは、DX推進指標を活用してどのようにDXを進めていくのかという方法を解説していきます。
DX推進指標を理解する
まずは、「DX推進指標とガイダンス」を確認しましょう。「DX推進指標とガイダンス」とは、経済産業省がDX推進のために具体的な要件を詳しくまとめたものです。DX推進指標の自己診断する上で、細かい質問が記載されているため事前に取得して内容を確認しておきましょう。
DX推進指標の自己診断を進める際は、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)のWebサイトから「DX推進指標自己診断フォーマット」を入手して、企業内で経営幹部、事業部門、DX部門、IT部門などで議論をしながら自己診断の回答を進めます。
DX推進指標を使って自社の進捗状況を確認する
DX推進指標の自己診断の回答ができたら、記入した「DX推進指標自己診断フォーマット」を「DX推進ポータル」から提出します。ちなみに、「DX推進ポータル」の利用には「gBizID(ジー・ビズ・アイディー)」のアカウントが必須のため、事前にDX推進ポータルのページからアカウントの発行をしておく必要があります。
提出後は、自己診断結果を分析した自社の診断結果とIPAに提出された他の企業の自己診断結果をとりまとめた全体データとの比較ができるベンチマークをIPAから受け取れます。ベンチマークでは、現在のDXの達成度合いを数値で確認できるため、これをみて自社の現状を把握し今後の取り組みについて、改善策を考えることが可能です。
成功事例を見つつ自社の戦略を立てる
自社のDXへの取り組みの現状や課題を把握したら、DX推進指標を使って「ITシステム」「部門ごとの体制」「全体の統制」などの項目において、自社に適したKPIを設定します。その際にDX推進がうまくいっている他の企業の事例を見て、どのようにDXを進めているのかを参考にすると良いでしょう。
KPIを設定し自社のDXへの取り組みの戦略を立てたら、経営者や主要関係者だけでなく従業員一人一人においてもDXの必要性や目標などへの理解を促して、全社的に取り組みをしていくことが重要です。社内一丸となってDXを推し進めるには、社内でDX人材育成に取り組み、DXをスムーズに推進していくための土台を作っていくことが求められます。
戦略を実施してPDCAを回す
戦略を立てたら、新たな施策を実行しましょう。そして定期的にDX推進指標を使って DXへの達成度合いを自己診断し、自社の現状や課題を把握します。そしてまた改善して、戦略を立て施策を実行するというPDCAを回しながら、DX実現に向けて取り組んでいきましょう。
DX実現のためには、経営層や一部の関係者のみだけでなく、全従業員が目標への意識を持って取り組むことが大切なため、従業員へのDXに関する研修が大切になります。研修をする際は、受講させることがゴールとならないように気をつけましょう。従業員が研修で得た知識をもとに、自社や顧客の課題解決のためのアイデア出しからプロジェクト立ち上げまで進められるようになることを目指して、社内教育を進めることが重要です。
KPIを設定してDXを実現しよう
DXに取り組むにあたって、DX推進指標を使ってKPIを設定し、定期的に自社のDX達成度を数値で計り、改善しながら施策を進めていくことが必要です。
DXの本質である企業変革の実現には、経営層だけでなく現場で働く一人一人の従業員にわたってDXに対する共通の目標と認識を持ち一丸となって取り組む必要があります。そのためには、従業員へのDXに関する人材育成に取り組む事が重要です。
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