【医療・ヘルスケア業界のAI/DX事例】医療の効率化・地域格差の是正
医療・ヘルスケア業界について
ここ数年、少子高齢化等による世代別人口比率の変化などを原因とした、人手不足が社会問題になっていますが、医療・ヘルスケア業界も同じく、医療従事者や専門技術者不足が発生しています。
さらにその傾向は地方で顕著になっています。厚生労働省発表の「都道府県ごとに見た医療・介護の地域差 」でも、首都圏と地方における医療や介護の地域格差を問題に上げています。
医療・ヘルスケア業界の現場では、これらの懸念材料が人々の安心・安全に関わる問題として捉え、地域格差をなくす通信を活かした遠隔治療、ウェラブル機器・技術を応用したヘルスケアなど、最先端の技術を用いて問題解決に向けて動いています。
特にAIの技術を使った最先端の診断や治療、新薬開発などの技術発展は目覚ましく、効率的かつ高精度で多くの成功事例が報告されてきており、今後の発展に期待が高まっています。
このように、医療・ヘルスケア業界では、医療従事者や専門技術者不足の問題や、医地方格差をAIなどのデジタル技術で補い、人々の安心・安全・健康を守るために進んでいます。
医療・ヘルスケア業界の課題
AIを中心とした最先端技術を活用した医療やヘルスケアの発展は目覚ましいですが、課題も多くあり、その中でも特に下記の2つが大きくあげられています。
1.医療施設の減少、現場の医療従事者・専門技術者不足による医療の地域格差
2.AIを活用した医療機器など、最先端技術導入の遅れ
医療施設の減少、現場の医療従事者・専門技術者不足による医療の地域格差
労働人口の減少が問題視されている中、医療・ヘルスケア業界も同じく病院、現場の医療従事者・専門技術者不足が進んでいます。
厚生労働省が発表している「平成30年発表・医療施設動向及び医療関係従事者」の基礎統計を見ると、医師数や看護職員数は増加していますが、中身は資格保有者数であり、実際に病院施設に従事する人が減っているのが現状です。
その原因として、職場環境や業務内容、賃金が見合わないといった理由で従事する資格者が減っていることや、”要介護”医療ケア等を必要とする高齢者や専門施設が増加し、資格者が高齢者ケア施設等に従事していることがあげられます。
(参照:「厚生労働省『訪問看護利用者数の推移』」)
医療施設は歯科診療所・一般診療所を除く、病院の減少が顕著であり、1990年の10,096施設をピークに減少の一途を辿り、2016年には8,442施設と約2割減少しています。
AIを活用した医療機器など、最先端技術導入の遅れ
医療の地域格差を埋めるためにも、AIやIoTを使った最先端の医療技術の活用が期待されますが、あまり活用が進められていないことも現状の課題です。
コロナ禍で、遠隔診療が部分的に可能になり、最先端技術を導入する医療施設も増えてきましたが、まだまだ一部に限られた話です。
先にご紹介した医療施設数の減少にも繋がりますが、主に地方や過疎地などの地域人口が減っていることにより、病院が診療所に変わったり、閉鎖されたりしているというのが実情です。
そのため、最先端技術の導入により日本国内のどこであっても同水準の高度な医療を受けられるような体制の構築が期待されています。
関連記事:AI導入のメリットとデメリットは?わかりやすい具体例で解説
医療・ヘルスケア業界におけるAI/DXの活用事例
ここからは、上記の「医療施設の減少、現場の医療従事者・専門技術者不足による医療の地域格差」「AIを活用した医療機器など、最先端技術導入の遅れ」を解決する事例についてご紹介します。
画像解析による診断の効率化と正確性の向上
事例
AI(ディープラーニング)における画像解析診断及び診断支援により、診断時間の短縮及び診断の見落とし防止、診断率・検知率のアップ、医療従事者の負担を軽減します。
課題
人口の一極集中が進む中、医療施設、医療従事者、専門技術者も同じく一極集中が進んでいます。そのため、地方や過疎地における、医療施設や医療従事者不足による過重労働や、診療時間の不足で診断の見落とし等のヒューマンエラーが起きやすい状態が続いています。
また、専門の病理医不足によるCTなどの画像診断結果に偏りが見られる事案が発生しています。
解決策
厚生労働省「保険医療分野AI開発コンソーシアム」において2020年より医療機器メーカー等にAIを活用した画像診断支援プログラムを要請しました。
また、地方や過疎地等の医療格差がある地域に向けて、積極的にAI診断・診断補助の導入を進めています。
効果
株式会社 日立製作所 ヘルスケアビジネスユニット「AIを活用した放射線画像診断支援 」に
によると、茨城県日立地区において肺がんCT検診を定期的に行い、そのデータをディープラーニングに活かしてAI解析で肺がんの早期発見に成功しています。
その結果、日立市住民を対象とした時系列の研究は有意な死亡低減効果を認めています。
医療機関における通信環境、クラウドサービス活用環境の整備
事例
AI(ディープラーニング)に必要なビッグデータを扱うための通信技術や、安全にデータを蓄積したり、管理したりするクラウドサービスを導入しました。
課題
医療現場においてAIやクラウドなどの先端技術を扱う技術者や専門従事者の不足、またビッグデータを扱うための環境が整備できず、デジタル技術を医療現場に導入できていません。
解決策
通信環境の導入から電子カルテなどを用いた現場へのクラウド上でのデータ管理環境までをワンストップでサポートしました。
効果
通信技術の向上や日立が開発するクラウド技術により、電子カルテやIoTを活用した日々の健康データ収集などから、病気の早期発見や病状の変化をいち早く知ることが可能になりました。
参照:(日立・ヘルスケアデータ利活用の取り組み)
まとめ
医療・ヘルスケア業界におけるAIの技術は、日々進歩しています。AIを活用したヘルスケアサービスや医療機器業界の市場規模成長も後押しし、今後さらなるAIの活用が見込まれます。
大きな問題として、少子高齢化やそれに伴う医療費負担、そして医療従事者側の負担がありますが、AIの導入により軽減されることが期待されています。
病気や予防など、医療に関する人々の不安や心配を、「安心・安全」に変えてくれる役割を今後AIが担っていくことになるでしょう。
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