【防犯・セキュリティ業界でのAI活用事例】AIを活用した人手不足の解消
防犯・セキュリティ業界について
刑法犯の件数は「令和2年警察白書」によると、ピーク時の2002年の約285万件から減少を続けており、2019年には約75万件となって戦後最小を更新しました。
しかしながら身近な犯罪や日常生活での不安を感じる人は年々増加しています。大手警備会社のALSOKによると、セキュリティサービスの契約が個人・法人とも増加し続けており、、2020年には97万件と過去5年で最多の契約件数になりました。
また、気候変動による災害の増加や、オリンピックを始めとした大規模イベントによる海外からの観光客の増加、一人暮らしの高齢者の見守り需要の高まりなど、防犯・セキュリティ業界へのニーズはこれからも高まっていくことが予想されます。
実際に「令和2年警察白書」によると2019年には、警備業者数は9,908社、警備員数は約57万人で、10年前と比較すると警備業者数は約10%、警備員数は約6.5%の増加をしており、ニーズの高まりに応えるために増加していると推測されます。
防犯・セキュリティ業界の課題
現在の防犯・セキュリティ業界が抱えている課題は以下のものが挙げられます。
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人手不足
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業務効率化・自動化
それぞれの課題について詳しく見ていきましょう。
人手不足
防犯・セキュリティサービスは、24時間365日、常に稼働していなければなりません。また新しい施設の建設が続いていることによって、警備を必要とする現場は増えていっています。
このニーズの高まりによって警備員の数は年々増え続けているものの、それでも人手不足が顕著で、採用が追いついていないのが現状です。
業務効率化・自動化
防犯・セキュリティサービスは、少子高齢化に伴う労働人口の減少や高齢化が進んでいるため、業務の効率化や自動化が不可欠となっています。警備員の平均年齢は2019年調査で、51.6歳と他の職種に比べ、すでに高めとなっています。
また同じ調査で超過労働時間数が25時間と他の職種と比べて多い水準にあります。働き方改革によって残業時間の削減が進められる中で、防犯業界でも効率化や自動化を進めていく必要があるということが分かります。
防犯・セキュリティ業界は特に安全面を最優先に考えなければならない環境下にありますが、その中でもいかに安全を担保しながら人件費や運用費を削減できるかが課題となるでしょう。
防犯セキュリティ業界におけるAIの活用事例
AIを活用した防犯カメラの不審者、不審物の自動検出
(引用:万引き防止AI「VAAKEYE(バークアイ)」警察と連携して、万引き犯を逮捕へ)
監視カメラの映像からAIによる画像認識処理の検出手法を用いて不審者、不審物を特定することが可能です。
事例
VAAKが監視カメラの映像から万引きなどの不審な動きを、画像処理のAI技術を用いて検知し、メールで知らせるシステムを提供しました。
課題
警備員の人手不足により、常に配置しなければならない場所においての採用が進まなかったり、コストがかさんでしまうことが課題でした。
解決策
VAAKのシステム「VAAKEYE」は店頭の監視カメラから人の行動を解析します。あらかじめ「キョロキョロしている」などの約100種類の特徴を抽出して、画像処理技術によって、独自に分類をしてAIに学習させています。
多数の映像も学習させて、服装やかばんの所持といった映像の情報から映っている人の行動を予測して、不審行為の検知の精度をあげていくことができます。万引きなど不審な行為があったら、即時にメールで担当者に通知されます。
効果
防犯にかかるコストや業務を約90%削減することに成功し、万引きにおけるロス額を約77%削減できることに成功しました。
関連記事:今さら聞けないAIとは?企業活動に必要な理由・活用例について
遠隔操作で警備ができる分身ロボット
(引用元:ugoホームページより)
AIや5Gの技術を活用することによって、分身ロボットやバーチャルでの警備システム開発が進展しています。
警備員を多数配置しなくても、各所にロボットやバーチャルシステムを配備することによって、遠隔操作で立哨、巡回、対応、操作などが可能となります。
事例
Mira Roboticsでは、遠隔操作で警備や清掃、点検を行うロボットのugoを開発し、ビルの管理などに貸し出すサービスを開始しました。
課題
少子高齢化による労働力不足のために、防犯のための警備員を採用することが難しくなっています。
解決策
ugoを使った立哨や巡回は、警備員が警備室内のパソコンの画面で、ugoに搭載されたカメラの画像によって確認ができます。
遠隔操作によってugoの周りにいる人へ声をかけて対応したり、ugoのハンドを操作することもできるので、エレベーターのボタンを押すなどの動作も可能です。
効果
多数の警備員をビルの各入り口や必要箇所に配備しなくても、遠隔操作可能なロボットを配置することで人手を減らすことが可能になりました。
ドアノブの除菌などにも対応し、ビルのメンテナンスへの導入も今後期待されます。
(参照元:ビルメンテナンスサービス)
ドローンを活用した警備
(引用元:ALSOKニュースリリース、【日本初】AIを搭載した完全自律飛行ドローン警備システムの屋内実証を東京スカイツリータウン®で実施~ドローンを活用した警備の省人化と効率化を実現~)
AIや5Gの技術を活用し、警備の効率化や自動化が進められています。自律的な飛行ができるドローンを利用することで、少ない人数でも効率的な警備を行うことができるようになります。
事例
ALSOKはAIを搭載した完全自律飛行ドローン警備システムの実証実験を実施しました。ドローンを活用して、警備の効率化や自動化を目指しています。
課題
防犯・セキュリティ業界では警備員不足が深刻な課題です。
人手不足解消のためにドローンによる警備システムの開発が進められていますが、通信環境が整わないところでの飛行は難しいとされてきました。
解決策
GPSによる地図情報をもとにした飛行が困難な屋内でも、AIの画像認識技術を用いることにより、人の手を介さずに自律飛行が可能となりました。
複数のドローンを自動巡回させることで、映像をリアルタイムで警備室に送信できるようになり、不正侵入車両や人間を検知することが可能です。
効果
限られた人数でも警備の質を落とさずに維持できるような仕組みを作ることができるようになりました。
他にもイベント会場で活用することで、警備の人員削減や万が一不審者が来場した時の事前検挙が可能になります。一般来場者の安全がより確保されることが期待されています。
まとめ
防犯・セキュリティ業界ではニーズは高まっているものの圧倒的な人手不足のために、AIを始めとした技術を活用し、安定したパフォーマンスを保ちつつもより効率的に業務遂行をする必要性があります。
365日24時間常に安定して稼働させるためにも、「AI」「IoT」「5G」の進歩にあわせて、技術を活用していくことが不可欠になっていくでしょう。
防犯・セキュリティ業界では様々な技術開発や導入がすすめられており、他業界へのヒントとなる活用法が出てくると期待されています。先進事例として、他業界の方にも参考にしていただければと思います。
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