AIの基礎・背景から理解し、お客様の課題を正しく把握・解決する
三菱電機株式会社様
業種:製造
従業員数:1,001人〜
今回は総合電機メーカーとして広く知られる三菱電機株式会社様の導入事例をご紹介します。
2019年にはMaisart共創センターを設立し、AIやデータ分析の面から、主軸の機器販売事業の強化と新事業創出に向けた取り組みを加速する中で、AIリテラシー講座とAIエンジニアリング講座を導入いただきました。
実際に受講された渡邉様、工藤様に受講した感想や受講後の変化についてお話をうかがいました。
- 背景・課題
- AIを主軸に顧客課題を解決するための組織「Maisart共創センター」が設置され、AI技術を活用してお客様への提案・検証をすることが求められることとなったが、体系だった知識装着ができていないことを課題に感じていた。
- 導入サービス
- Maisart共創センターのメンバーにてAIリテラシー講座とAIエンジニアリング講座をご受講。
- 効果
- AIの基礎的な知識を順序だてて体系的に学ぶことができたことで、顧客の理解度に合わせた提案や説明ができるようになった。
順序立てて体系的に学ぶことができた
ー三菱電機様のAIに対する取り組みや受講に至った背景などを教えてください。
渡邉:
AIに関する基礎的な知識を、最新の事項も含め再整理・再確認すべく、講座の受講に至りました。
三菱電機はこれまでの機器の販売に加え、2019年Maisart共創センターという、AIを主軸にお客様と共に様々な課題解決をして、事業を広げ、AIやデータ分析の面を強化していく取り組みを行う組織が設置されました。
私自身はもともと研究所の研究部門に所属し、音声処理や音声認識、音声インターフェイスの分野に携わっていました。
そのようなバックグラウンドもあり、もともと研究技術者として共に仕事をしてきた工藤とともに、1年半前からMaisart共創センターの業務に携わっております。
現在はお客様により近い事業部門のメンバーと連携しながらヒアリングを行い、お客様と共に検証しながら提案をさせていただいて、事業に取り組んでいる段階です。
その中で、AIについて理解をより深めていく必要があると感じていました。
工藤:
私は画像や映像の領域、特に画像圧縮技術の領域に携わってきました。加えてSVM(1)やSIFT(2)などの技術に触れてきました。
今回、新たにMaisart共創センターに配属となったことをきっかけに、より画像関連以外を含めて一度学び直したいと考え、講座を受講しました。
*1:サポートベクターマシーン(Support Vector Machine)の略。機械学習の中でも有名な手法のひとつで、教師ありを用いたパターン認識モデル。
*2:Scale invariant Feature Transformの略。D.Loweが提案した拡大・縮小や回転にロバストな画像特徴量。
ー実際に講座を受けてみて、いかがでしたか?
工藤:
基礎的な統計やデータ分析を理解した上で、ディープラーニングの概念や手法を学ぶというように、順序立てて体系的に学べる点が良かったです。
背景から学ぶことは、効率的に学習を進めるためには重要なことだと考えています。
お客様や他の事業部に説明する際に、背景の知識が入った状態で説明ができるのかどうかで、相手の理解度に大きな差が出るためです。
お客様との信頼関係のためには、AIについて理解しているという自信が重要
ー今後、学んだことをどのように活かしたいとお考えですか?
渡邉:
枠に捉われずに活かしていきたいですが、自分が知っている技術を起点に考えるのではなく、あくまで起点は「お客様が何を課題に感じていて、それをどのように解決できるか」ということでありたいです。
そういった意味でも、体系的に学び、整理された状態で知識が頭に入ったことはよかったと思います。
どの方法が適切かどうか、何がメリットやデメリットとなるのかなど、全体感を把握した上で説明ができるようになりました。
実際にお客様からいくつか課題やテーマがあがってきているので、それらを音声や画像で解決できるのか、AIやデータ分析の領域で解決策を考えるのか、一緒に試行錯誤しています。
ー今後、どのようなことに取り組んでみたいですか?
渡邉:
AIリテラシー講座を通して、基礎的なことはポイントを押さえて効率良く体系的に学べたので、実践的な部分は具体的な案件やデータと向き合って深めていくことが重要だと考えています。
AIの活用に慣れるために、あえて広くデータを集めたり、それらをより多面的に分析したりするようなことをやってもいいのかなと思います。
また、お客様と新しく何か作る際には信頼関係が鍵となります。信頼関係を築くために、自分がAIについて理解しているという自信を持っていることは重要だと感じています。
実際に使ってみた経験というのは多くて困ることはないと思うので、実データでの1,000本ノックのような講座があれば活用していきたいと考えています。
工藤:
今回身につけた、AIの歴史やビジネスとしての効果などのリテラシーは、短期的な効果というよりも長期的な効果が出てくることを期待しています。
今後はミクロな部分からAIを学んで、実装するための技術も身につけていきたいです。
ビジネスとAIについて、両方の人材がバランスよくとれた状態が大切
ー今後、AIプロジェクトを広げていくために、どのようなことが社内に必要だとお考えですか?
渡邉:
裾野を広げていくためにも、社内のすべての人に積極的に学んでいただきたいと考えています。
新人研修に組み込んだり、エンジニアや営業部の方々がAIリテラシー講座を受けてみたりしてもいいと思います。
メンバー全員がAIの基礎を身につけているだけでも、土台がしっかりとして、AIプロジェクトが広がりやすくなると思います。
何より、お客様とお話ししたときに、「AIで何が解決できるのか」「選択肢としてどのような技術があるのか」をパッと答えられる人材が増えていかないと「こちらの話は持ち帰ります」となり、機会を逃してしまいます。
お客様に対してもスピード感を持って、課題を発見・定義し、それをお互いにWin-Winな形で解決し、それが最終的には利益の出るビジネスになっていくといいなと思います。
いくら技術があっても、AIを使うことが目的になってしまっては意味がありません。
そのため、ビジネスとしてAIについて考える人材とAIを実装する技術を持つ人材、両方のバランスがとれた状態が大切だと考えています。
ー最後に、受講を検討している方や今後受講される方にアドバイスやメッセージをお願いします。
渡邉:
AIについてはなんとなくご存知の方が多いのではないでしょうか。しかし、実際に「AIって何ですか?」と聞かれると上手く説明できない方も多くいらっしゃると思います。
そういった、実はちゃんと定義や背景を理解できていないかも?と思う方にAIリテラシーを身につけていただきたいです。
AIでもやはり得手不得手がある中で、「AIなら何でもできるだろう」という過度な期待していては、AIプロジェクトも上手く進みません。
AIリテラシー講座で正確に技術について理解して提案ができるようになれば、お客様もついてきやすいですし、適切な期待値のコントロールもできると思います。
工藤:
これからAIを使って業務を行う方や、学生の方におすすめしたいです。
今ではライブラリーもたくさんあって、AIは使うだけなら簡単にできるんですよね。しかし、性能を出すためには前処理をしっかり行う必要があります。
AIエンジニアリング講座では、エンジニアリングの面だけでなく、狭義のAIについてやデータ分析、統計学を体系的に学ぶことができます。
また、ただ流行だからAIを使うということではなく、本質的にAIを利用して課題解決をするという点を、受講を通して色々な方が理解すると良いのではないでしょうか。