インダストリー4.0とは?ドイツ、日本の現状と取り組みの課題 - 株式会社STANDARD

インダストリー4.0とは?ドイツ、日本の現状と取り組みの課題

DX・AI技術・事例解説

この記事の目次

  1. そもそも、インダストリー4.0とは
  2. インダストリー4.0の沿革
  3. インダストリー4.0が実現する3つのこと
  4. 日本におけるインダストリー4.0、「Society 5.0」
  5. 自社に導入するために必要なこと・考慮すべき課題
  6. まとめ:インダストリー4.0には組織体制構築が重要

インダストリー4.0とはドイツ政府が製造業の革新のために進めるプロジェクトのこと。「第四次産業革命」とも訳され、工場の自動化・IoT化という点が注目されています。しかし専門的な用語も多く、詳しくは説明できないという人も多いのではないでしょうか?

今回は、インダストリー4.0の概要と、実現するメリットやデメリットを解説します。また、ドイツ・日本における現状、取り組む上での問題点についても紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

そもそも、インダストリー4.0とは

まずは、インダストリー4.0とはなにかを解説していきます。

ドイツ政府が2011年に提唱したプロジェクトのこと

インダストリー4.0は、ドイツ政府・民間企業・研究機関・業界団体などが「産官学連携体制」を構築して取り組むプロジェクトのこと。2011年にドイツ政府が公表した「2020年に向けたハイテク戦略の実行計画」の施策の1つで、日本では第四次産業革命とも訳されます。

総務省は次のように解説しています。

インダストリー4.0の主眼は、スマート工場を中心としたエコシステムの構築である。人間、機械、その他の企業資源が互いに通信することで、各製品がいつ製造されたか、そしてどこに納品されるべきかといった情報を共有し、製造プロセスをより円滑なものにすること、さらに既存のバリューチェーンの変革や新たなビジネスモデルの構築をもたらすことを目的としている。これらの仕組みの整備が進めば、例えば大量生産の仕組みを活用しながらオーダーメードの製品作りを行う「マス・カスタマイゼーション」が実現する。

(引用元:総務省「第1部 特集 人口減少時代のICTによる持続的成長」

端的に言えば、「IoT・AI・ロボット技術を組み合わせて製造業全体をデジタル化して、多様なニーズに対応する商品を大量に生産できるようにしよう」ということです。デジタル化という点が注目されていますが、「その先に何を実現するか」まで明確に定まってることが分かります。

IoTとの違いは?

IoT(モノのインターネット)は、さまざまなモノがインターネットに接続され、モノ同士で通信できる技術のこと。

製造業におけるIoTの例としては、稼働状況や故障の予知ができる「見える化」や、AIが機器の動きを制御できる「自動化」が挙げられます。

一見インダストリー4.0と同じに見えますが、IoTが技術なのに対して、インダストリー4.0は技術を組み合わせたプロジェクトを指します。IoTはインダストリー4.0の中に含まれている技術ということですね。

インダストリー4.0の沿革

インダストリー4.0は、「マス・カスタマイゼーション」を実現するためにあるというのは先述の通りです。

では、具体的にはどのように実現するのでしょうか?インダストリー4.0には、4つの設計原則と、実現するために必要な6つの代表的な技術があります。それぞれ簡単に解説します。

【インダストリー4.0の設計原則】

– 相互運用性:あらゆるモノとヒトを相互に接続し、通信を行うこと
– 情報の透明性:相互運用性でデータによって仮想モデルを作成し、活用すること
– 技術的アシスト:ヒトにとって危険・困難な課題を支援すること
– 分散的意志決定:データをサイバー空間で分析し、生産ラインにおける意思決定を自律化させること

【インダストリー4.0に必要な技術】

– IoT:工場に設置された機器はインターネットに接続される。機器がデータを収集し、収集したデータをもとに制御される
– クラウドコンピューティング:クラウド上に収集したデータを保存し、いつでも活用することができる
– AIと機械学習:工場、自社のあらゆる部門、サプライチェーン上で得られた他データをAIが活用し、課題の可視化、自動化や最適化を行う
– エッジコンピューティング:データの処理・分析を行うデータ処理技術のこと。データをリアルタイムで活用するため、通信時間を短縮することができる
– サイバーセキュリティー:ハッキングやマルウェアから守るためのセキュリティのこと
– デジタルツイン:収集したデータをもとに、現実の仮想シミュレーションを行う技術のこと。デジタルツイン上でシミュレーションすることで、コスト削減やリードの短縮が期待できる

インダストリー4.0が実現する3つのこと

インダストリー4.0の設計原則や必要な技術を見ても、具体的に何ができるのか、イメージがしにくいですよね。ここからは、インダストリー4.0によって実現する3つのことについて解説していきます。

工場・ロボットの自律化

インダストリー4.0が実現することの1つが、「工場の自律化」です。こちらは先述の通りですが、もう少し詳しく解説していきます。

機器・ロボットに対して人間が指示して操作を行うことを「自動化」としましょう。20世紀当初から「自動化」は進められており、今も多くの工場が「自動化」を実現しています。

インダストリー4.0が実現するのは、機械がデータを収集してAIが学習し、AIが指示を出して機器・ロボットを動かす「自律化」です。

たとえば、発注をAIが認識したら、過去の学習をもとに工場の機械に生産する部品の指示を出すといったことが可能になります。

AIによる生産の効率化・オペレーションの構築

AIによる生産の効率化も挙げられます。従来は技術的な問題で人の手が必要だった工程や、熟練の職人が担っている工程も、IoT化された機器をもとにAIが学習し、体系化・機械への代替を行います。

またAI・データを活用して、オペレーションの構築・作業の標準化も可能です。工場の設備・機器・働いている作業員など、さまざまなデータをもとに、課題や無駄を見える化することができます。

ほかにも、人的なミスを予防するのにも役立ちます。ヒトが行うとどうしても品質に差が出たり、欠陥を見逃してしまったりといったミスが起きますが、機械ならそういった心配はほとんどありません。品質の安定も期待できるでしょう。

顧客のニーズにあった商品を容易に生産可能になる

AIによって自律化した工場は、従来の多品種少量生産・少品種大量生産の枠を超えた、多品種大量生産(マス・カスタマイゼーション)が可能になります。

膨大なデータを活用して、バーチャル空間で需要や売上をシミュレーションすることで、過剰発注のリスクを減らすことも可能です。多様化する顧客のニーズに低コストで対応できるようになり、競争優位性を確保することができます。

人的コストの削減

工場の自律化・自動化が行われることで、人的コスト(人件費)の削減が期待できます。インダストリー4.0を推進した先にあるスマート工場は、限りなく人の手を排除した工場に近く、たとえば機器の点検や管理、高度な意思決定以外は人の手が不要になるかもしれません。

メリットではありますが、雇用の面で課題もあります。たとえば、雇用の消失や失業率の増加を考慮する必要があります。また、AIやIoTに対して知見のある人材を確保する、教育する必要もあります。

日本におけるインダストリー4.0、「Society 5.0」

日本はインダストリー4.0について、どのように取り組んでいるのでしょうか?政府は、日本版インダストリー4.0とも言える、「Society5.0」を提唱しています。

内閣府は、Society5.0を実現する社会について、次のように述べています。

Society 5.0で実現する社会は、IoT(Internet of Things)で全ての人とモノがつながり、様々な知識や情報が共有され、今までにない新たな価値を生み出すことで、これらの課題や困難を克服します。また、人工知能(AI)により、必要な情報が必要な時に提供されるようになり、ロボットや自動走行車などの技術で、少子高齢化、地方の過疎化、貧富の格差などの課題が克服されます。社会の変革(イノベーション)を通じて、これまでの閉塞感を打破し、希望の持てる社会、世代を超えて互いに尊重しあえる社会、一人一人が快適で活躍できる社会となります。

(引用元:Society 5.0(内閣府)

AIやIoT、データの活用という点はインダストリー4.0と似ているところもありますが、Society5.0は「製造業を含む社会全般」、インダストリー4.0は「製造業」に着目しているという点で異なります。

また、Society5.0が着目するのが「人」なのに対して、インダストリー4.0が着目するのは「企業」という点にも違いがあると言えるでしょう。

自社に導入するために必要なこと・考慮すべき課題

インダストリー4.0の考え方を自社に導入する際には、考慮すべき課題がいくつかあります。代表的なものは次のとおりです。

– 人材の確保
– 導入コストの確保
– システム構築が難しい
– セキュリティ面の課題

とくに、初期の課題となるのが人材の確保です。インダストリー4.0を進めるプランを策定・リードしてくれる人材がいなければ、実現は難しいでしょう。

実際に、ドイツでインダストリー4.0の実態を調査したBitkom社のレポートによれば、ほとんどの企業がインダストリー4.0をビジネスチャンスとして好意的に捉えているのに対して、次の要因が障壁となっていることを明らかにしました。

【インダストリー4.0を実現する上での障壁】

– 資金不足:77%
– データ保護(プライバシー)の懸念:61%
– セキュリティの懸念:57%
– 人材不足:55%
– 何から始めればいいか分からない:52%

調査を見ると、最大の障壁は資金不足であることが分かります。また、人材不足・何から始めればいいか分からないといった課題を抱えている企業が多いこともありました。セキュリティやデータ保護の懸念についても、人材やノウハウ不足が一因として考えられます。

まとめ:インダストリー4.0には組織体制構築が重要

今回は、インダストリー4.0の概要や日本の取り組み、導入する上での課題について解説しました。また、導入する上で最初のネックになるのが、資金・人材ということも分かりました。

しかし完全な自動化まではせずとも、できるところからインダストリー4.0の考え方を取り入れていくという方法もあります。

そのためには、人材の確保や、リテラシー教育・意識の醸成が重要です。DX推進を阻む最初の壁とも言われており、この壁を打ち破ることが最初のステップになります。このステップをクリアすれば、経営層がDXの必要性を理解していない、従業員のリテラシーが低く受け入れに抵抗を示すといった問題を防ぐことができます。

DXを受け入れられる環境が整ったら、DXを推進する担当者、DXを推進する部署(チーム)を立てて、全社的に働きかけていくとよいでしょう。

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