DX推進指標とは?活用のメリットや2021年度版の企業の分析傾向を解説!
DXにこれから取り組もうと考えている、もしくはすでに取り組んでいる経営層の方のなかには、自社のDXのレベルはどの程度なのか、また具体的にどこを目指して取り組んでいけば良いのかと悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
そのような悩みを抱えている企業は、自社のDX推進の度合いを自己診断できる「DX推進指標」を利用するのがおすすめです。この記事では、DX推進指標の概要や自己診断の進め方、自己診断をすることのメリット、各企業のDX推進指標における2021年の自己診断の傾向について詳しく解説していきます。
今後自社でどのようにDXへ取り組めば良いか迷いを抱えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
DX推進指標の概要
まずは自社のDX推進の度合いを自己診断できる「DX推進指標」とは何か、概要から詳しく解説していきます。
DX推進指標とはDX 推進状況の自己診断ツール
「DX推進指標」は経済産業省によって策定されたもので、自社のDX推進状況を簡易的に自己診断できるツールです。
この内容は大きく2つの指標から構成されていて、1つは経営の視点から作られた指標、もう1つはITシステムの視点から作られた指標です。
それぞれ定性指標と定量指標についての質問がありますが、ほとんどが定性指標の質問で構成されています。現在の日本企業が直面している課題やそれを解決するために押さえるべき事項を中心に全部で35 項目の定性指標の質問があり、定量指標の質問は取り組み状況に関する3項目のみとなります。
DX推進指標が策定された背景
DXとは企業価値を高め、市場での競争力を優位にするためにデジタル技術やデータの活用を通じて、経営戦略や組織文化を変革する取り組みです。しかし、多くの企業でDXの取り組みがなされつつも、重要な組織変革まではできていない企業が多いという現状があります。
そこで企業の組織変革を後押しするために、「DX推進指標」が策定されました。企業が自己診断をすることで、経営者や社内の関係者がDX推進に向けた現状や課題に対する認識を共有し、どのように次のアクションをとるべきか気づく機会となっています。
「DX推進指標とそのガイダンス」とは
DX推進指標の自己診断を実際に進めるには、「DX推進指標自己診断フォーマット」を用意して「DX推進指標とガイダンス」を確認しながら進めていきます。
「DX推進指標とガイダンス」とは2019年7月に経済産業省から公表されたレポートで、DX推進のための具体的な要件を詳しくまとめたものです。DX推進指標の自己診断する上で必要なレポートのため、診断に取り組む方は事前にダウンロードしておくと良いでしょう。
2段落 DX推進指標の自己診断の進め方
DX診断指標の自己診断の進め方を解説していきます。主な流れは以下の通りです。
①「DX推進指標とガイダンス」を確認する。
②上記のガイダンスを見ながら、企業内で経営幹部、事業部門、DX部門、IT部門などが議論をしながら自己診断の回答を進める。
③「DX推進指標自己診断フォーマット」をIPAのWebサイトから入手して、自己診断の回答を入力する。
④「DX推進ポータル」から上記のフォーマットを提出する。
⑤IPAから提出後に渡してもらえる、自己診断結果を分析した診断結果と全体データとの比較ができるベンチマークを見て自社の現状を把握し今後の取り組みについて考える。
「DX推進指標自己診断フォーマット」は改訂される場合があるため、最新のものを使用するように注意しましょう。
自己診断ができたら、中立組織であるIPA(独立行政法人情報処理推進機構)のWeb申請システム「DX推進ポータル」へ提出することで、ベンチマークを受け取ることできます。
ただし、「DX推進ポータル」の利用には「gBizID(ジー・ビズ・アイディー)」のアカウントが必須のため、まだ持っていない方はDX推進ポータルのページからアカウントを発行してから利用しましょう。
DX推進指標のメリット
DX推進指標で自己診断する企業のメリットは何なのでしょうか。ここでは4つのメリットについて解説していきます。
経営者主導でDXの認識の共有ができる
DX推進指標の自己診断を進めるにあたって、経営者や経営幹部、事業部門、DX部門、IT部門などが議論をしながら回答することが想定されています。そのため、企業内の部署を横断してDXに対するビジョンや目的などの共通認識の醸成が可能です。
現在のDX達成度合いを確認できる
DX推進指標の自己診断をIPAに提出することで、その自己診断結果を分析した診断結果と全体データとの比較ができるベンチマークを入手でき、現在のDXの達成度合いを数値で確認できます。
DX推進ポータルでは過去に提出した自己診断結果を確認することも可能なため、ベンチマークで示されるDXの達成度合いの数値をDX推進のKPIとして、その進み具合を客観的に確認しながら、今度のDXの取り組みに活かすことが可能です。
成熟度評価で次のアクションがわかる
DX推進指標のうち定性指標の質問においては、DX 推進の成熟度を6段階で評価するようになっています。成熟度は「0:未着手のレベル」から最終的なゴールとして「5:デジタル企業として、グローバル競争を勝ち抜くことのできる レベル」まで設定されています。
成熟度評価で自社のDXの取り組みの現状が数値化できるため、目標の状態と現状とのギャップを数値で把握することが可能です。それによって具体的な対応策について考えることができ、必要なアクションをとることができます。
他社と比較して自社の現状把握ができる
DX推進指標の自己診断をIPAに提出することで、全体データとの比較ができるベンチマークも入手できます。これによって、業界や業種、企業規模ごとに自社のポジションを把握し、自社と他社のDXの取り組みの差を客観的に知ることが可能です。
「DX推進指標 自己診断結果 分析レポート」から企業の傾向
ここからは、IPAが出している「DX 推進指標 自己診断結果 分析レポート(2021 年版)」から、2021年に自己診断結果を提出している企業の傾向について解説していきます。
まずは自己診断結果を提出した有効回答分の企業数を見ると2021年は486件、2020年は307件、2019年は248件です。レポートによると、従業員数規模、売上高規模によらず提出企業数は増加し続けているとのことで、DX に取り組む企業自体が増え、DX 推進指標も広く浸透してきていると考察されています。
一方提出している企業のなかで「全社戦略に基づいて部門横断的にDXを推進できるレベルに達していない企業が 8 割以上存在している」(※のP.12)と指摘があり、さらに詳しく見ると「全社戦略が明確ではなく散発的な実施にとどまっているレベルの企業が5割以上存在している」(※のP.12)とレポートでは指摘されています。
DXの取り組みは経営層と全ての従業員が一丸となって部門横断的に推進していく必要がありますが、DXに取り組んでいる企業であっても、現状それができていない企業がほとんどだと見ることができるでしょう。
また、レポートのなかでは「経営視点指標(定性)よりもIT視点指標(定性)の方が高い。自己診断に取り組んだ企業において、経営面の DX 戦略推進が今後充実していくことが望まれる。」(※のP.17)との指摘や、「人材育成に関しては他の取組に比べるとまだ戦略を立てられていない企業が比較的多いと思われる。」(※のP.17)との指摘もあります。
DXへの取り組みが散発的な実施にとどまっている企業が半数以上あるというのは、経営面の DX戦略推進が未熟のため、経営層から一人一人の従業員までDXへの取り組みに対する共通の認識もしっかりと醸成されていないことが考えられるでしょう。
また、DX推進にはDX人材が必要不可欠です。DX人材とはデジタル技術やデータ活用といったスキルを使いこなし、さらにそれを活用して現場の課題を解決する力を持った人材を指します。人材育成に関して戦略を立てられていない企業が多いとの指摘を見ると、DX人材を社内で育成できていない企業が多いともいえるでしょう。
DX人材が不足しているということは、DXを推進していくための土壌が固まっていないと見ることもできます。散発的なDXの取り組みからより成熟したレベルまで進めていくためには、社内のDX人材を育てDX推進のための土台を作ることがまず大事といえるでしょう。
(※)出典:IPA|DX推進指標 自己診断結果 分析レポート(2021年度版)
DX実現にはトップダウンでの人材育成が重要
DX実現のためには、経営層から現場で働く一人一人の従業員にわたってDXに対する共通のビジョンと認識を持ち一丸となって取り組む必要があります。トップダウンでDX推進に取り組む意図やメリットを明示していくとともに、DX人材育成に取り組むことで、従業員がDXを自分事化する事が大切です。
STANDARDではそれをサポートするサービスとして、社内のDXリテラシー教育をするための「DXリテラシー講座」や、次世代のDX人材育成のためのソリューションを提供しています。自社のDXの取り組みレベルをもっと上げたいと考えている経営者やDX担当の方は、DXサポートのプロであるSTANDARDのサービスを活用してみてはいかがでしょうか?「導入事例」からは、実際に導入された企業の方の声も読むことができます。
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