DX推進は目的の明確化が重要!DXの進め方やDXを実現している企業事例を解説 - 株式会社STANDARD

DX推進は目的の明確化が重要!DXの進め方やDXを実現している企業事例を解説

DX・AI技術・事例解説

この記事の目次

  1. DXとは
  2. DXが推進される背景
  3. DX推進の手段と目的
  4. DXの進め方
  5. DXで得られること
  6. 明確な目標を掲げてDXに取り組んでいる企業例
  7. DXは目的を見据えて進めていくことが大切

自社でこれからDXに取り組みたいという方やすでに取り組んでいるという経営者のなかには、DXをどう進めていくと良いのかわからずに困っている方もいるのではないでしょうか?

DX実現には企業がどのような価値を提供していくのか、企業価値をどのように高めていくのかといった長期的な視点の目標の設定が重要です。記事では、DXの進め方やうまく取り組んでいる企業の事例などを紹介しています。ぜひ、DXに取り組んでいこうという方は参考にしてみてください。

DXとは

DXとはデジタルトランスフォーメーションの略称で、変化の激しい現代の経営環境のなかでも競争力を維持・向上し、企業価値を高めるために、最新のデジタル技術やデータを活用して企業のビジネスモデルや企業文化を変革する取り組みのことを指します。

DXは、経済産業省を中心にして国家規模でも取り組みがなされていて、「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会」という組織を設置しその議論をまとめたDXレポートを公開するなど、DX実現は急務として推進されています。

DXが推進される背景

日本全体でDXが進められている理由は、経済産業省のDXレポート(※)のなかで指摘された「2025年の崖」に集約されています。「2025年の崖」とは、2025年までにDXを実現しないと起こり得る巨大なリスクのことです。

日本のITシステムは時代遅れのものになりつつあり、そういったシステムをDXレポートのなかでは「レガシーシステム」と呼んでいますが、各種サポートの終了や人材不足などによって今後そのシステムを維持していくには多大なコストがかかるといわれています。

さらに2025年までにDXの実現ができないことで、今後増えていく莫大なデータを扱いきれなくなりDXの実現も困難となり競争力を失う可能性も指摘されています。

そのためレガシーシステムを刷新して、新たなデジタル技術やデータを活用することによって組織自体を変革し、DXを推進する必要があるのです。

(※)出典:経済産業省|DXレポート ~IT システム「2025 年の崖」の克服とDXの本格的な展開~

DX推進の手段と目的

DXの推進は日本全体で急務とされ、取り組み始めた企業が増えています。しかし手段と目的を混同して進めている企業もあります。今一度、DXの手段と目的をここで確認しましょう。

現代の企業は、新型コロナウイルスの蔓延や戦争、突発的な災害など何が起こるかわからない経営環境にさらされています。その環境に柔軟に対応し市場での競争優位性を確立して、企業価値を高めていくことがDXの本来の目的です。

この目的のために手段としてあるのが、最新のデジタルやAI技術、ビッグデータなどの活用です。しかし、デジタル技術やデータの活用の方にばかり集中して、それ自体がゴールになっている企業も見受けられます。

これだとDX本来のゴールが明確でないため、企業を変革して企業価値や競争力を向上するという本質的なDX実現が難しくなります。DX推進にあたっては手段と目的を適切に認識して進めていくことが重要です。

DXの進め方

ここからは、DXの適切な進め方を以下の手順に沿って解説していきます。

  1. 企業の課題を洗い出しゴールを明確にする
  2. DX推進のための土台を作る
  3. デジタルツールを導入してシステムを構築する
  4. 必要な人材を確保する

企業の課題を洗い出しゴールを明確にする

DXを進めるにあたっては、まず自社の課題を洗い出したうえでDXによって、どのように新しいニーズや顧客の課題に応えていきたいのかといったゴールを明確にしておきましょう。DXは企業自体を大きく変革する取り組みになるため、経営者がまず考えることが必要です。

また、DXはかなり時間がかかる取り組みになるため、目標に向かって進んでいることをきちんと確認しながら進めないと、デジタル技術やデータ活用の導入の方に気を取られてDXの目標を見失ってしまうということになりかねません。

そのためゴールを明確にしたら、KGIやKPIといった測定可能な数値目標を設定し、定期的に細かく進捗を確認しながら進めることが大切です。

DX推進のための土台を作る

DXは企業変革を伴うため、経営層や一部の部署だけで進められるものではなく、社内一丸となって取り組む必要があります。そのため経営者はゴールを明確にしたら、DXの必要性や企業がどのようになりたいのかといったことを従業員へしっかりと説明をしなければいけません。

また、経営層や他部署と密に連携を取りながら進めていく必要があるため、DX推進のための専門チームを設置して進めるということも有効です。

DXを推進していくにあたって、新しいシステムやツールの使い方を覚え、使いこなせるようにならないといけないといったプロセスは、従業員にとって負担となる場合が少なくありません。従業員のDXに対する士気を下げず意欲を持って取り組んでもらえるよう、経営者は丁寧な説明をするとともに、専門チームを置いて部署内外のコミュニケーションを円滑にしながら進めることが重要です。

デジタルツールを導入してシステムを構築する

DXを進めるにあたって、「レガシーシステム」と呼ばれる社内や部署内のみで使われているような古いシステムを刷新し、代わりに、最新のデジタルテクノロジーを導入できるようなシステムを構築していく必要があります。

レガシーシステムを刷新していくにあたっては、アプリケーションやストレージ、データベースを移行するなど、これまで使っていたソフトウェアやハードウェア、データを新しい環境にのせ変えたり、新しいデジタルツールやAIツールなどを導入したりすることが求められます。

必要な人材を確保する

DXを進めるにあたって、直前で述べたように最新のデジタル技術やデータの活用ができるようなシステムを構築する必要がありますが、同時にそういったシステムを構築し活用できる人材も必要となります。

新しいデジタルテクノロジーを導入するにあたっては、自社に合うものを選び活用していく必要があるため、社外から人材を新たに獲得するよりも、すでに社内のことをよく知っている従業員を教育して人材を育てていくことが大切です。

従業員には最新のデジタル技術やAIツール、ビッグデータなどを活用できるスキルを身につけさせると同時に、それらを使いこなして自社の課題解決や顧客のニーズの充足などにつなげられるようなリテラシーを身につけさせていく必要があります。

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DXで得られること

DXは長期間の取り組みとなり一筋縄ではいかないものですが、DXによって得られるものは大きいです。ここでは、以下の3つのメリットを解説します。

  • 業務効率と生産性を向上できる
  • BCP対策を強化できる
  • 経営環境の変化に対応できる

業務効率と生産性を向上できる

DX実現のプロセスで、最新のデジタルツールの活用によってこれまで人が行ってきた業務をデジタル化することで、ヒューマンエラーがなくなり、人員を削減することができるなど業務の効率と生産性アップが見込めます。

また、これまでデータ化していなかったことや、感覚的にのみ把握していたようなことを定量的データとして蓄積し分析していくことで、新たな顧客のニーズや、これまで可視化できていなかった業務の無駄などの発見につながり生産性の向上にもつなげることが可能です。

BCP対策を強化できる

BCP(Business Continuity Plan)とは、自然災害やテロなど緊急事態に遭遇した場合に、損害を最小限にとどめつつ、事業を早期復旧できるように、あらかじめ取り決めておく計画のことです。

新型コロナウイルスの蔓延が発生したときのように、予想できないような危機がいつ起こるかわからない現代の経営環境のなかでは、事前にできる限りの事態を想定して、どのようなときでも事業を継続できるよう準備をしておくことが企業にとって重要となります。

デジタル技術やデータを活用して企業変革をしていくDXは、先が読めない経営環境のなかで競争力を優位に保つために行うという点でBCPと共通しています。そのため、DXを推進することは、BCP対策を強化することにもつながるのです。

経営環境の変化に対応できる

DXを推進するなかで、社内や部署内でしか使われていなかったような古いITシステムを刷新し、最新のIT技術やAIツール、データを活用するような新しいシステムを導入することで、いつでもどこでも業務を遂行できるような環境を作ることができます。

それによって経営環境が変化して、急な対応が必要になったときにも柔軟な対応が可能になるでしょう。例えば新型コロナウイルスの蔓延でリモートワーク環境を整えていくことが急務になったときも、早くからDXを推進していたり、最新のデジタルテクノロジーを導入していたりした企業はいち早く対応し、業務を滞りなく遂行することができました。

明確な目標を掲げてDXに取り組んでいる企業例

ここからは、明確な目標を掲げて社内一丸となってDXに取り組んでいる企業の例を見ていきましょう。

味の素のDX取り組み例

食品会社の味の素では、もともとASV(Ajinomoto Group Shared Value)という「社会課題を解決し社会と価値を共創する」という理念を掲げ、2030年までに「食と健康の課題解決企業」として、社会変革をリードする存在になることを目指しています。そこでDXによってデジタル技術の活用と業務・組織の抜本的な見直しを通じて、目標を達成しようと推し進めているのです。

DX推進にあたって味の素では「全社オペレーション変革」「エコシステム変革」「事業モデル変革」「社会変革」の4つのステージを設定して、全組織の進捗状況が一目瞭然にわかるように進めてきました。

それによってDXを進めるにあたって必要な情報の提供や推進のための支援を行いやすくなったり、組織間での健全なベストを目指した競争や、新たな価値創出を目指した協創がみられるようになったりということが可能になりました。

味の素はDXによって、オペレーション、エコシステム、事業モデルを変革し、さらにイノベーションの創出や技術資産の強化を通して、味の素のブランド価値を向上させ、人的資産の強化を成し遂げています。DXを通じて企業変革をしながら、「食と健康の課題解決企業になる」という目標に近づきつつあるといえます。

トライアルのDX取り組み例

ディスカウントスーパーマーケットのトライアルでは、「テクノロジーによって、 新時代の買い物体験を生み出し、 流通の仕組みを革新する」ということをビジョンに掲げて、DXを推進しています。

DXを進めていくにあたって、段階的な達成目標として5つのレベルを設定。レベル1から人の関わる割合を徐々に減らすと同時にAIによる店舗運営の割合を増やし、最終的なゴールはレベル5で、店舗運営を100%AI化することを目標にしています。

DX推進にあたっては、AIカメラやスマートショッピングカートなどのIoT機器を導入し、データを収集・蓄積・分析・共有することで売り場の最適化や顧客への新しい買い物体験をしています。例えばAIカメラを導入することで、棚割りの最適化や商品の補充状態の把握、万引きなどの監視をしながら、同時に顧客の行動を分析して売り場のレイアウトや陳列状況の改善に活用しています。また、スマートショッピングカートを導入することで、顧客が買い物をすると同時に商品をスキャンしその後の決済を簡単にしたり、付属のタブレットで顧客の購買情報に合わせておすすめやクーポンを表示したりということを可能にしています。

DXは目的を見据えて進めていくことが大切

味の素の「食と健康の課題解決する」という目標やトライアルの「新時代の買い物体験を生み出し、 流通の仕組みを革新する」というビジョンのように、DXの推進には長期的な視点で社会全体へインパクトも与えるような大きな視点から目的を定めて進めていくことが大切です。さらに実現に向けては、段階的に目標を決めて達成していくことでうまく進めていくことができます。

DX実現のためには、デジタル技術やIoT機器などを活用し、同時にデータの収集・蓄積・解析をしてデータドリブンで経営を進めていくことで、 業務効率化や生産性の向上とともに、企業のビジネスモデルや企業文化の変革を可能にします。DXを社内で進めていくにあたっては、最新のデジタル技術やデータ活用の知識を備え、企業の目的達成に向けてそれらを柔軟に活用できる人材が必要です。

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