【DXの本開発と運用】PoCとの違いやプロジェクトを進めるためのポイントを解説
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本開発と聞くといよいよプロジェクトの成功が近い気がしますが、本開発は実際に公開するシステムを”作り始める”段階です。本開発でシステムができたら、テスト環境で検証した上で、ようやく本番環境に反映させることとなります。
そのため、プロジェクト成功のためには、この本開発のプロセスを正しく理解しておく必要があります。また、システムは作り終わった後も正しく運用されることで、持続性を高めることができます。
今回は、そんな本開発と運用における重要なポイントや方法について解説します。
本開発・運用とは
DXプロジェクトの流れは、以下の大きく3つに分かれます。
1.プロジェクトの企画 2.PoC 3.本開発・運用
プロジェクトの企画とPoCについては、別記事で解説していますので、そちらをご参照ください。
本開発・運用は、プロジェクトの企画・実施是非の検証が終わってから、実際に開発をして運用するまでのフェーズを指し、実際にビジネスに適用するためのシステム開発と運用プロセスの構築を行うものです。
具体的には、「プロジェクト企画の目的に沿った業務プロセスの設計を行って、成果が出るようなシステムを定める」「本番環境を想定して、システムの要件定義をする」「継続的に改善可能な仕組みを作る」などの工程が挙げられます。
PoC、本開発、運用のステップはDX以外のプロジェクトにもありますが、今回は業務効率改善に関するDXプロジェクトを想定して解説します。
PoCと本開発の違い
PoCと本開発は開発する点では似ていますが、目的が大きく違います。
PoCは「実現可能性を調べ、成功のための学びを得ること」が目的であるのに対し、本開発では「PoCで実現可能性が高いと分かったものを、本番環境で使用できる品質までブラシュアップして完成させること」が目的です。具体的な違いについては上記の図のとおりです。
2つの違いを理解していなければ方針や設計思想が人によって変わるため、議論が進みません。PoCや本開発の議論を行う前に全体で定義を確認し、意識を揃えましょう。
よくある勘違いとして、「本開発で失敗をしないようにPoCを行っているため、本開発は比較的成功しやすいのではないか」というものがあります。
確かにPoCによって、技術的な面での不確実性はPoCを行う前より低くなっています。
しかし、本開発では本番環境を想定しているため、オペレーションに組み込む点や、システムの仕様をきちんと理解してもらって運用に乗せる点など、社内調整の部分で難しいところが多くあります。
本開発・運用の進め方
業務プロセスの設計について
本開発をする際の設計において重要なポイントは、「システムを導入することで全体として本当に効果がでるのか?」を考えることです。
「業務効率改善のためにDXをやっているんだからそんなの当たり前のこと」と思うかもしれませんが、システムを導入することで逆に業務の量が増えてしまう場合もあります。
例えば顧客対応業務にチャットボットを導入すると仮定したとき、質問対応業務で予想される業務の削減量に比べて、システムの運用業務が多い場合は、導入前と比べて業務量は増えているため逆効果です。
システムによって増えた業務、減った業務をコストとして数字で表した際に、全体として大幅に減っている状態が理想的な設計です。
本番環境を想定する
本番環境で使われるためのシステムを作るための要件定義について、具体的な業務プロセスや利用シーンから逆算して考えます。
具体的に考える要素としては、「誰がどのように使うのか?」「業務プロセスはどう変わるのか?」「本番で求められる品質・精度は?」などです。
また、利用する技術ごとに考えるべき項目が異なることに注意が必要です。例えばAIの場合、「AIモデルの再学習が必要」という特徴があります。再学習にはデータが必要であり、そのデータの量や再学習後に求める精度など、細かく定義する必要があります。
このとき、デジタル技術の特徴を知っておく必要があります。デジタル技術に詳しいベンダーに開発を依頼するから大丈夫と思われる方もいるかもしれません。
しかし、ベンダー側は本番環境を想定しにくいため、自社で細かく定義して依頼する方が、使えるシステムが出来上がる確率は確実に上がります。この際に、要件定義リストを利用してまとめておくことをおすすめします。
運用に乗せる
一度作ったシステムは、より大きな成果を出すために継続的に改善して運用します。そのためには、
1.モニタリング→2.計画→3.改善→1.モニタリング……
の改善サイクルを回すことが必要です。このとき、確認すべきポイントとしては、「現場できちんと使われているか?」「システムは使いやすいか?」という点です。
また、これらのポイントが定量的に確認できるデータを取得し、モニタリングできる環境を整えることも大切です。難しい点は、運用が定着するまでシステムの使い方を担当者にしっかり説明したり、オペレーションの変更に慣れる必要があることです。
ここで、DXプロジェクトの本開発が成功するたびに運用するものが増え、業務量も増えるので逆効果ではないかと疑問に思う方もいると思います。
確かに、運用するものが増えることは事実です。ただし、それ以上に業務効率化されたり、提供価値の向上に繋がるプロジェクトを推進しているはずなので、全体で見たときに楽になっているでしょう。
関連記事:【失敗しないDX推進】DXプロジェクト企画の基本|”質”を高めるフレームワークや考え方とは
まとめ
本開発にはシステムという大きな成果物があるため、本開発の成功はプロジェクトの成功とイコールと思われがちです。
しかし、プロジェクトの大きな目的はシステムによって継続的に成果を出すことであるため、運用に乗せて改善サイクルを回すまでがセットという意識が大切です。
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