アジャイル開発の手法とメリット・向いている状況・課題とは - 株式会社STANDARD

アジャイル開発の手法とメリット・向いている状況・課題とは

DX・AI技術・事例解説

この記事の目次

  1. アジャイル開発とは
  2. アジャイル開発の主な3つの手法
  3. アジャイル開発のメリット
  4. アジャイル開発の難しい点
  5. アジャイル開発でDXを戦略的に進めよう

市場の変化に対応したスピード感が求められるなか、DXに取り組む企業にとって、アジャイル開発はとても有効な手法となります。例えば、顧客のニーズが変化しやすい場合や競合が激しい業界での製品開発など、環境の変化に柔軟に対応することが求められる場面でアジャイル開発は威力を発揮するのです。

この記事では、DXを推進している方や、アジャイル開発に関して興味があるけれどよくわからないという方に向けて、アジャイル開発の定義や手法、メリットなどを詳しく解説します。また、アジャイル開発を実施する上での課題や向いている状況なども見ていきますので、ぜひ参考にしてみてください。

アジャイル開発とは

まずはアジャイル開発とは何か理解できるよう、定義やよく比較されるウォータフォール開発との違いを説明していきます。

アジャイル開発の定義

アジャイル開発とは、ソフトウェア開発において要件や計画を柔軟に変更しながら、小さなサイクルでソフトウェアを開発・提供する手法です。アジャイル開発では、顧客や利用者のフィードバックを素早く取り入れ、ソフトウェアの品質や機能性を向上させることが目的です。

アジャイル開発は、大規模で長期間にわたる計画的な開発ではなく、小さなチームによって短いイテレーション(反復)を繰り返して進める開発です。そのため、チームのコミュニケーションや協調性が重要になります。アジャイル開発は、プログラミング言語やツールに依存しない柔軟な開発手法であり、開発者や利用者の意見を取り入れながら、より良いソフトウェアを提供することを目指します。

アジャイル開発とウォーターフォール開発との違い

アジャイル開発は柔軟性があり、フィードバックを素早く反映しながら、小さなチームが短いイテレーションで開発を進める開発です。一方ウォーターフォール開発は、一度決定した要件・計画を変更せず、一連のプロセスをあらかじめ決め大規模かつ長期間にわたって進めます。

アジャイル開発とウォーターフォール開発の違いは、以下のとおりです。

アジャイル開発の主な3つの手法

アジャイル開発にはさまざまな手法が存在します。ここでは、なかでも代表的な以下の3つの手法を詳しく見ていきましょう。

  • スクラム
  • エクストリーム・プログラミング(Extreme Programming)
  • ユーザー機能駆動開発(Feature Driven Development)

スクラム

スクラムは、アジャイル開発の手法の1つであり、小さなチームで短いイテレーションを繰り返しながら開発を進めることを基本とした開発手法です。スクラムでは、製品バックログと呼ばれる、開発するべき機能やタスクをリストアップしたものを作成し、短い期間で開発することができるスプリントと呼ばれるイテレーションを行います。

進め方としてはスプリントごとに、チームメンバーが担当するタスクを決定し、日々の進捗を確認するデイリースクラムを行いながら開発を進めるやり方です。また、スクラムでは、タスクを効果的に分割し、リリースまでの期間を可視化するバーンダウンチャートを活用することで、プロジェクトの進捗管理を行います。スクラムは、開発の透明性やチームワークの向上にもつながるため、アジャイル開発の代表的な手法として広く利用されています。

エクストリーム・プログラミング(Extreme Programming)

エクストリーム・プログラミング(XP)は、アジャイル開発の手法の1つであり、ソフトウェア開発における品質の向上や開発プロセスの改善を目指す手法です。XPでは、小さなチームで短いイテレーションを繰り返しながら、コードの品質やテストの自動化、リファクタリング、ペアプログラミングなどの技術的実践を重視しています。

XPの開発プロセスには、顧客とのコミュニケーションや、テスト駆動開発による品質管理、継続的インテグレーションによる自動化などが含まれます。XPでは、コードレビューやペアプログラミングによる知識共有、コードの品質や可読性の向上にも注力しており、開発チームのコミュニケーションや協調性の向上にもつながっています。開発プロセスの透明性や柔軟性、品質の向上を目指すアジャイル開発の手法の1つとして、ソフトウェア開発現場で広く利用されている手法の1つです。

ユーザー機能駆動開発(Feature Driven Development)

ユーザー機能駆動開発(FDD)もアジャイル開発の手法の1つであり、ソフトウェア開発において機能単位での開発を重視する手法です。FDDでは、ソフトウェアの機能を小さな単位で分割し、機能ごとに開発チームを編成することで、効率的な開発を行います。

また、FDDでは、機能のリストアップやドメインモデリングなどのプロセスにより、ソフトウェアの機能を明確化し、開発プロセスを可視化することを重視します。FDDでは、スプリントやイテレーションといった概念はあまり用いられず、機能ごとに開発チームが協力しながら、短期間で開発を進めることが特徴的です。

FDDは開発プロセスを綿密に計画し、チームワークを向上させ品質を高めることができるため、これもアジャイル開発の手法の1つとしてソフトウェア開発現場で広く利用されています。

アジャイル開発のメリット

ここからは、アジャイル開発のメリットについて、以下で詳しく解説していきます。

ユーザーの要望を素早く反映できる

アジャイル開発では、開発チームとユーザーが密接に連携し、ユーザーが求める機能や要件を素早く反映できます。ユーザーからのフィードバックを素早く取り入れることで、開発チームは常にユーザーが求めるものに合わせて開発を進めることが可能です。

また、アジャイル開発では、小さなサイクルでの開発を重視するため、開発が終了するまでにユーザーが要望を変更することになっても、柔軟に対応できます。そのためユーザーのニーズに迅速に対応でき、ユーザー満足度が高まりやすいと言えるでしょう。

プロジェクトのリスクを軽減する

アジャイル開発では、プロジェクトを小さな単位に分割し、短いスプリントで繰り返し開発を行うため、プロジェクトのリスクを軽減することにつながります。各スプリントで小さな成果を生み出すことで、プロジェクトの進捗状況が見えやすくなり、問題が発生しても早期に発見し、対処することが可能となるからです。

顧客やユーザーとのフィードバックを重視するため、プロジェクトの目的や要件が変更された場合でも、柔軟に対応することができます。アジャイル開発によってリスクを軽減し、プロジェクト全体の成功確率を高めることができます。

コスト削減効果がある

アジャイル開発は、短いスプリントを繰り返し行うことで、問題点を早期に発見しやすくなります。そのため、問題が小さいうちに早めに対処でき、解決するためのコストをできるだけ抑えられるでしょう。

また、スプリントごとに小さな成果を生み出すことで、プロジェクトの進捗状況が見えやすくなり、遅れたり予算超過したりということを未然に防ぎやすくなります。

さらにソフトウェア開発において、無駄な機能を開発してコストがかかりすぎるといったことがしばしば起こりますが、アジャイル開発では、開発者と顧客とのコミュニケーションが頻繁に行われるため、顧客のニーズに合わせた開発ができ、無駄なコストがかかりすぎるといったことは防ぎやすいでしょう。

アジャイル開発の難しい点

アジャイル開発を行う上で、難しいと感じたり課題になったりしている点を解説していきます。どうしたら、課題を解決できるのかも触れているので、参考にしてみてください。

コミュニケーションの対応

開発チームやステークホルダーの間での意見の食い違いやコミュニケーション不足により、プロジェクトが停滞することがあります。また、ユーザーの要望を取り入れた開発を進めることは必要ですが、ユーザーの要望を把握することは難しく、要件定義の不備や不明瞭さを生じることもあります。

これらの課題を解決するためには、開発チームとステークホルダーのコミュニケーションを密に行い、プロジェクトの方向性を共有することが求められます。アジャイル開発では、コミュニケーションをいかに適切にとるかが重要になるのです。ユーザーとのコミュニケーションを積極的に行い、ユーザーの要望を正確に把握するよう努めましょう。

スプリントの設定

スプリントの設定は重要な課題です。スプリントは短期間で開発を進めるための単位であり、期間や範囲を適切に設定することが求められますが、スプリントの期間や範囲を設定することは難しく、そのせいで目標の達成がうまくいかない場合もあります。

例えばスプリントの期間が短すぎると、開発の進捗に追いつかず、品質の低下やミスが生じる可能性があります。一方、スプリントの期間が長すぎると、目標が明確にならず、進捗が遅れる可能性が出てきます。

これらの課題を解決するためには、開発チームが目標を明確に設定し、スプリントの期間や範囲を適切に設定することが重要です。

技術的な課題の解決

アジャイル開発は、短いスプリントでの開発が必要であるため、技術的な課題の解決が重要となります。技術的な問題は、例えば、複雑なコーディングやインテグレーション、テスト、品質管理などです。

これらの課題に対処するために、アジャイル開発チームは、専門的なスキルや適切なツール、情報共有などを活用して、技術的な問題を解決しなければなりません。問題が解決できない場合、スプリントの進捗が遅れたり、品質に影響が出る可能性があるでしょう。そのため、アジャイル開発チームは、技術的な課題に対応するために、効果的なコミュニケーションやプロジェクトマネジメントを行い、プロダクトの品質を保つように努める必要があります。

アジャイル開発が向いている状況

ここからはアジャイル開発で進める方が向いている状況について解説していきます。

ユーザーのニーズが変化しやすい場合

まずは、ユーザーのニーズが変化しやすい場合に、アジャイル開発が適しています。従来のウォーターフォール型開発では、要件定義や設計などのフェーズが完了するまで変更が困難なため、ユーザーの要望に対応することが難しかったと言えます。しかし、アジャイル開発では、短いスプリントでの開発ができるため、ユーザーの要望に迅速な対応が可能です。

また、ユーザーとのコミュニケーションを重視するため、ユーザーの声を反映しやすく、製品の改善にもつながります。さらに、マーケット環境の変化にも柔軟に対応でき、早期に製品を改良することができるでしょう。以上のように、アジャイル開発は、ユーザーの要望が変化しやすい場合において、迅速かつ柔軟に対応することができるため、有効な開発手法と言えます。

リスクマネジメントが必要な場合

アジャイル開発は、リスクマネジメントが必要な場合に適しています。アジャイル開発では、短いスプリントでの開発が行われ、開発チームは小さな成果を繰り返し生み出します。そのため進捗状況が可視化され、問題が発生した場合でも早期に発見しやすくなるのです。

またアジャイル開発では、開発チームとユーザーが密接に連携するため、ユーザーのフィードバックを受け取りながら、製品を改善することが可能です。これにより、ユーザーのニーズに合わせた製品開発が行われ、リスクを最小限に抑えることができます。さらに、アジャイル開発では、開発チームが自己組織化されているため、問題解決のスピードが速く、プロジェクトの進捗状況をリアルタイムで把握することができます。以上のように、アジャイル開発は、リスクマネジメントが必要な場合において、早期に問題を発見し、柔軟に対応することができるため、有効な開発手法と言えます。

継続的な改善が必要な場合

継続的な改善が必要な場合にも、アジャイル開発は適しています。アジャイル開発では、スプリントごとに反省会を行い、開発プロセスを改善することができます。これにより、開発チームは継続的に改善を行い、製品の品質や生産性を向上させることができます。また、アジャイル開発では、開発チームが自己組織化されているため、改善の提案や実践が容易であり、問題解決のスピードも速くなります。

さらに、アジャイル開発では、ユーザーとのコミュニケーションを重視するため、ユーザーからのフィードバックを受け取りながら、製品を改善することができます。これにより、ユーザーのニーズに合わせた製品開発が行われ、製品の価値を高めることができます。以上のように、アジャイル開発は、継続的な改善が必要な場合において、開発チームが自己組織化され、スプリントごとに反省会を行いながら、製品の品質や生産性を向上させることができるため、有効な開発手法と言えます。

アジャイル開発でDXを戦略的に進めよう

製品開発のスピードや品質を向上させるアジャイル開発は、ビジネスのニーズに迅速かつ柔軟に対応しやすい手法です。また、アジャイル開発は新しい技術やプラットフォームの導入にも適しているため、DX推進に必要なデジタル技術の導入や改善を効率的に進めるのにも合っていると言えるでしょう。アジャイル開発とDXはこのように相互補完的なアプローチであり、組み合わせることでより効果的なデジタルトランスフォーメーションを実現することができます。

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