DX人材不足を解消する方法と必要なスキル・職種について
DX推進をする上で人材不足を課題に感じている方や、人材の確保や育成においてどのような人材やスキルが求められるのかよくわからずお困りの方は少なくないのではないでしょうか。
この記事ではDXにおける人材不足の問題や、どのようなスキルや人材が求められているのかを述べた後、DX人材不足の原因やその解消方法などを解説します。この記事を読んで、DX人材不足の悩みを解消するヒントを得て、DX推進のための人材育成に取り組めるようにお役立てください。
DXの概要
まずは、DXとは何かを理解するために、定義や推進されている背景、DXの課題である人材不足について解説していきます。
DXとは
DX(Digital Transformation)とはデジタルトランスフォーメーションの略称です。デジタル技術やデータを活用しながら、めまぐるしく変わる経営環境下でも市場の競争力や企業価値を高めていくための取り組みをDXといいます。
DXの推進が進められている背景には、デジタル技術の急速な進化やグローバル化、顧客ニーズの多様化などがあります。これらの変化に対応しきれない従来のビジネスモデルやサービスに縛られることなく、デジタル技術を活用してより効率的で高付加価値なサービスを提供し、新たな市場を開拓することがこれから求められるでしょう。
また、新型コロナウイルス蔓延の影響によってリモートワークやオンラインビジネスが一般化したことも、DXの推進に拍車をかけています。企業はDXを進めることで、リモートワークやオンラインビジネスに対応し、クラウドサービスやオンラインストアを活用して新たな市場を開拓することができるからです。
デジタル化への取り組みは避けて通れない状況になっており、今後どのような企業にとってもDX推進は必要不可欠な取り組みとなるでしょう。
人材不足はDXの課題
「DX動向調査2021」(※)では、DXが進まない理由として63.2%が「人材不足」を占めているように、DX推進の課題の一つは、デジタル技術に詳しい人材が不足していることです。AIやデータサイエンス、プログラミングなどの専門知識が必要で、多くの企業が人材確保に苦労しています。
また、IT技術を導入することで業務プロセスが変わるため、従業員のスキルアップや組織風土の変革も必要です。これらの課題に対処するため、企業は人材採用の見直しやスキルアップ支援、組織風土の変革などの取り組みを進めています。人材不足の解消がDX推進の成功につながるため、企業は積極的に対策を進めていく必要があります。
(※)出典:総務省|デジタル・トランスフォーメーションによる 経済へのインパクトに関する調査研究の請負 報告書
DX推進する上で求められるスキルや人材
DXを推進する上で求められるのはどのようなスキルで、どのような人材なのでしょうか?経済産業省が策定している「デジタルスキル標準」を参考にしながら以下で詳しく解説していきます。
DX推進で求められるスキル
経済産業省は、DX推進における人材の重要性をふまえて「デジタルスキル標準」(※)を策定しました。そのなかでDXを推進する人材に求められるスキルを、以下の様に5つのカテゴリーに整理しています。DX推進においてどのようなスキルが求められるのか確認してみましょう。
1. ビジネス変革のためのスキル
戦略・マネジメント・システム に関するスキル、ビジネスモデル・プロセスに関するスキル、デザインに関するスキル
2. データ活用のためのスキル
データ・AIの戦略的活用に関するスキル、AI・データサイエンスに関するスキル、データエンジニアリングに関するスキル
3. テクノロジーを活用するためのスキル
ソフトウェア開発に関するスキル、デジタルテクノロジーに関するスキル
4. セキュリティ対策のためのスキル
セキュリティマネジメントに関するスキル、セキュリティ技術に関するスキル
5. パーソナルスキル
ヒューマンスキル(リーダーシップやコラボレーション)、コンセプチュアルスキル(ゴール設定や創造的な問題解決力など)
(※)出典:経済産業省|デジタルスキル標準 ver.1.0
DX推進に必要とされる主な人材
経済産業省の「デジタルスキル標準」(※)において、DXを推進する主な人材として求められる、以下の5つの人材の種類を紹介します。どのような人材が必要とされているのか見てみましょう。
1. ビジネスアーキテクト
ビジネスや業務の変革を通じて目的を実現するため、関係者を統括し協働関係を構築し、プロセスの推進を通じて目的を達成する人材。
2. デザイナー
製品・サービスの方針や開発のプロセスを総合的に策定し、製品・サービスのデザインを担う人材。
3. データサイエンティスト
データ分析やプログラミングなどのスキルを持ち、データ収集・解析システムの設計・実装・運用を担う人材。
4. ソフトウェアエンジニア
DXエンジニアやデジタルアーキテクトと呼ばれるような、デジタル技術を活用した製品・サービスを提供するためのシステムやソフトウェアの設計・実装・運用を担う人材。
5. サイバーセキュリティ
業務プロセスを支えるデジタル環境において、サイバーセキュリティリスクの影響を抑制する対策を担う人材。
(※)出典:経済産業省|デジタルスキル標準 ver.1.0
DX人材の不足の原因
DX人材とは、IT技術を始めとしたデジタル分野の専門的なスキルや知識があり、さらにそれらの知識や技術を使いこなして新たなビジネスの創造や業務プロセスの改善をしたり、自社や顧客の課題解決のためのプロジェクトを実行できたりする人材のことを指します。
近年日本全体でDX推進が急務とされているなか、DX人材の需要は高まっていますが、企業ではDX人材の不足が問題となっています。DX人材が不足する原因を以下で詳しく見ていきましょう。
DX人材の採用が難しくなっている
まず原因の1つに、DX人材の採用が難しくなっていることが挙げられます。DX人材は、IT技術を始めとしたデジタル分野の専門的なスキルや知識が必要となるため、その需要は急速に高まっている一方で、IT企業やDXを推進する企業が求めるDX人材の数は急増しており、競争が激化している状況があります。特に、AIやブロックチェーン、ビッグデータなどの最新技術を扱える人材は、ますます求められています。これらの要素が重なり、DX人材の採用が難しくなっているのです。
また、採用が難しい要因としては高いコストも関係しています。DX人材の採用には多額のコストが必要になります。特に、最新技術を扱えるスペシャリストを求める場合、高額な年収や報酬が必要となるため、企業の財政に負担をかけることがあるでしょう。
一方で、DXを推進するためには適切な人材を確保するための投資が必要であるため、企業は経営戦略の見直しや人材育成プログラムの充実など、コスト削減とDX推進を両立させる取り組みが求められています。
社内でのDX人材の育成が遅れている
原因の2つ目として、社内でのDX人材の育成が遅れていることが挙げられます。DX人材を育成するためには、デジタル技術に関する専門的な知識やスキルを身につけることが必要です。しかし、現在の教育・研修システムにおいて、デジタル分野における最新技術やノウハウを提供する体制が整っていないことが課題となっています。
そのため、企業では、定期的な研修やキャリアアッププログラムの充実が必要です。大手企業では、DXを推進するために必要な人材を社内で育成する取り組みが注力されるようになっています。これは、DX人材の採用が難しくなっている背景や、外部からの人材の採用において高額な採用コストがかかることを受けて、自社内で人材育成に力を入れることで、費用を抑えつつ必要な人材を確保する狙いがあります。企業は、DX人材の育成に取り組むことで、人材不足の解消とともに、自社の競争力強化にもつなげられるでしょう。
DX人材不足を解消する方法
では、DX人材の不足を解消するにはどのような方法があるのでしょうか?以下で3つの方法について解説していきます。
DX人材を採用する
DX人材不足を解消する方法として、DX人材を採用する方法があります。DX人材を採用する際のポイントは、その人材のスキルセットに着目することです。デジタル分野における最新技術やノウハウを持っている人材を採用することで、企業のDX推進に貢献してもらうこができます。
また、専門的な知識や経験を持っている人材を採用することも重要です。例えば、AIやブロックチェーン、ビッグデータなどの最新技術を扱える人材や、プログラマー、データサイエンティスト、UI/UXデザイナーなど、デジタル分野において専門的なスキルを持っている人材を採用することが求められます。
上記のような人材はどの企業にとってもニーズのある人材です。そのため、現在はDX人材が市場で枯渇しており、DX人材の採用が厳しくなっている状況があります。そのため、企業ではDX人材の育成にも注力し、自社内で人材を育成することも検討する必要があります。
アウトソーシングをする
DX人材不足を解消する方法の2つ目は、DX人材をアウトソーシングすることです。DX人材をアウトソーシングする場合、デジタル分野において専門的なスキルを持った企業や個人を選定し、外部の専門家としてDXプロジェクトに参画してもらうことで、企業のDX推進をサポートすることができます。
しかしながら、アウトソーシングに頼ることで、社内にDXに関するナレッジが蓄積されないというデメリットもあります。社内にDXに関する知識を持った人材を育成することが難しくなり、将来的なDXプロジェクトへの取り組みに影響を与える可能性も考えられるでしょう。そのため、アウトソーシングをする場合でも、社内にDXに関する知識を持った人材を育成する取り組みを同時に進めることが望ましいです。
DX人材を育成する
DX人材不足を解消する方法の3つ目は、DX人材を育成することです。DX人材の育成には、社内研修を充実させたり、外部の専門家の研修を活用したり、DXのプロジェクトに参加する機会を増やしたりといったことなどが必要となります。
STANDARDではDX実現をサポートするサービスとして「DXリテラシー講座」を提供しており、これを活用していただくことでDX人材の育成に効果的です。以下で講座について詳しく紹介します。
STANDARDの「DXリテラシー講座」
STANDARDが提供する「DXリテラシー講座」は、DX人材の不足を解決するために企業内で行うことができるオンラインの講座です。現場視点のアイデアを収集し、デジタル技術をビジネスに活かすために、全社員がデジタルリテラシーを身につけることを目的として作り上げられたプログラムとなっています。
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DX推進には人材育成が必須
DX推進には、デジタル技術やデータの活用が必要不可欠ですが、それを実現するためにはDXに精通した人材が必要です。特に、DXの推進に関わる人材には、IT技術やビジネススキル、リーダーシップや問題解決スキルなど、多岐にわたるスキルが求められます。企業は、内部研修や外部研修を充実するなどして、DX人材の育成に注力していかないといけないでしょう。
そこで、STANDARDでは、DX実現をサポートするサービスとして、従業員へのDXリテラシー教育をするための「DXリテラシー講座」や、次世代のDX人材育成のためのソリューションを提供しています。
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