「Challenge 2030」中期経営計画達成への号砲。北海道ガスが挑む、成果を出す「4.5ヶ月の実践型DX人材育成」の全貌

北海道ガス株式会社様

業種:電気・ガス・水道 従業員数:501〜1,000人
  • #生成AI
  • #専門人材育成
  • #AIエージェント実装 - PoC伴走支援

北海道ガス株式会社

研修で終わらせない 成果を出す「4.5ヶ月の伴走型PBL」

北海道のインフラを支える北海道ガス株式会社(以下、北ガス)は、今、大きな変革の渦中にあります。同社が掲げる中期経営計画「Challenge 2030」では、2030年までに営業利益倍増を目指し、デジタル化による事業構造変革と300名の要員の成長分野へのシフトを行い、高付加価値型の強固な事業基盤を築くことを宣言しています。
その鍵を握るのが「DX人材」です。単なるITスキルの習得に留まらず、現場の課題を自ら発見し、デジタル技術で解決策を形にする。そんな自走する組織への転換を目指した、北ガス様のデジタル人材育成の取り組みを紐解きます。

        
 


取り組みの背景と課題

北ガスがDX人材育成に踏み切った背景には、全社アンケートで浮き彫りになった切実な現状がありました。

  • DX人材の圧倒的な不足感:
      管理職の約8割が「自部署のDX人材が不足している」と回答。
  • 「三つの壁」の存在:
     推進を阻む要因として、スキル不足(63%)、時間の不足(21%)、組織文化・評価の壁(18%)が顕在化。
  • 「使いたい」と「使える」のギャップ:
      生成AI(Gemini等)やRPA、BIツールへの関心は極めて高い一方、「使い方がわからない」「活用する機会がない」という実態がありました。

個人任せでは乗り越えられない上記の壁に対し、組織的な仕組みとしての場と機会を整備する必要がある、この危機感が今回のプロジェクトの出発点となりました。
 
ターゲットを絞った「3階層モデル」の定義
北ガスでは、DXを推進する人材をその役割と期待されるスキルに応じて以下の3つの階層で定義しました。

活用人材:日常業務の中で、デジタル技術やツールを使いこなし、業務効率化を自ら実践する人材
推進人材:各部署の課題を特定し、デジタルを用いた解決策を企画・実行する変革リーダー
創出人材:高度な専門性を持ち、全社レベルの大きな事業変革を強力に指揮・牽引できる人材

今回の施策では、現場の課題解消に最も直結し、各部署の変革の柱となる「推進人材」の育成に照準を合わせ、プログラムを実行することとなりました。

STANDARDの支援内容

北ガスとSTANDARDが設計したのは、座学で終わる一般的な研修ではありません。実業務の課題をテーマに、その解決策の検討、プロジェクト計画の策定、さらには概念実証(PoC:Proof of Concept)用プロトタイプの開発などを行う課題解決型学習(PBL:Project-Based Learning)です。

徹底したアウトプット重視のプログラム
約4.5ヶ月にわたり、7チーム17名が以下のステップを駆け抜けました。

  • Day1: 業務整理・課題設定(「本質的な課題」は何かを特定する)
  • Day2: 施策検討(技術の選択肢を理解し、インパクトのある施策を練る)
  • Day3: 施策効果算定・企画精緻化(投資対効果を算出、施策の価値を見極める)
  • Day4: PoC設計・プロジェクトマネジメント(実行可能性を高め、周囲を巻き込む)(実行期間約2か月)
  • Day5: 成果発表

企画を「腐らせない」ための個別伴走支援
本プログラムの最大の特徴は、集合研修の間の宿題期間に行われる「伴走支援ミーティング」です。STANDARDのコンサルタントが各チームの課題に寄り添い、1時間ずつの個別相談ミーティングを実施しました。現場の課題に対し、「まず何から着手すべきか」「どのように深堀するか」「どのように技術的課題を解決するか」などを具体的にアドバイスし、企画の質を飛躍的に向上させました。

取り組みの成果

4.5ヶ月の結果、単なる企画書作成に留まらない、実務に直結する成果が生まれました。

    企画例)

  • 緊急保安業務の効率化:
    生成AIをフル活用し、現場の状況に合わせた作業手順の自動表示や、不備があると次へ進めない制限機能を備えたアプリのプロトタイプを構築。
  • 技術開発の高度化:
    点在していた膨大な過去の資料をPythonで自動的に整理した上で、AIに読み込ませることで、知りたい情報をチャットで聞くだけで即座に回答と原本の場所を提示してくれる検索システムを構築。

受講生アンケートでは平均4.25(5点満点)の高評価を得ました。「実務に適応できる形でアドバイスをもらえた」「他部署の課題解決にも流用できるフレームワークを学べた」といった声をいただきました。

成功の要諦:北ガス流・DX成功の3ポイント

  1. 規模に応じた出口の設計:
    個々の課題と規模感に応じて、期間内に目指すゴールを設定することで、様々な課題に柔軟に対応可能なプログラムとなりました。大規模なシステム開発の要求定義からGoogle AppSheetや生成AIなど、身近なツールでの早期に実現できる成果まで幅広く成果につながりました。
  2. 伴走による心理的安全の確保と質の向上:
    忙しい実務の間を縫って進める受講生に対し、講師陣が親身に寄り添い、挫折させないフォローを徹底。生成AIの精度向上策のアドバイスから、抵抗勢力に対するアプローチ案まで、各チームの課題に合わせたサポートを提供しました。
  3. 管理職の巻き込み:
    プログラム開始前に各管理職にヒアリングを実施し期待値を把握するとともに、協力を依頼。研修を通じて協力いただくことで企画の質向上・受講生のモチベーション維持に大きく貢献しました。

お客様の声

本取り組みを通じて強く認識したのは、DX人材育成においては「学んだことをいかに現場の業務に直結させ、実務変革まで踏み込めるか」が成果を大きく左右するという点です。今回、7チーム17名が各部門の実課題を持ち込み、PoCや業務改善案を創出できた背景には、こうした「実務への接続」を成立させるための環境整備があったと考えています。
具体的には、研修として業務時間を確保し、上長を巻き込んだ推進体制を構築したことで、受講者が現場課題に基づいた検討に集中できる状態を作ることができました。これにより、取り組みは個人の学習にとどまらず、部門課題としての実行可能性を伴ったものへと発展しました。また、伴走支援が検討の質とスピードを底上げし、課題の整理や検討の深度を高めることで、実務に踏み込んだ議論を支える役割を果たしていた点も重要な要素であったと考えています。

一方で、DX人材育成を実際の事業価値創出につなげていくうえでの課題も明確になりました。研修期間内においてはPoCや企画の創出までは到達できる一方で、短期間で定量的な事業インパクトまで結びつけることは容易ではなく、「育成と成果創出の時間軸のギャップ」が大きな論点であると認識しています。また、受講者のスキルや経験、各部門の状況によって、PoCの完成度や実行可能性にはチーム間で差が生じており、テーマ設定や受講チームの体制の重要性も改めて認識しました。当社のようなインフラ事業においては、安全性や業務影響への配慮が求められる場面も多く、現場に適用していく際のハードルの高さも実感しています。

それでも、実課題を起点としたPBLと伴走支援の組み合わせにより、参加者の当事者意識は大きく変化しており、各部門の上長からも「育成と業務推進が一体で進む取り組み」として評価を得ています。今後は、こうした成果を一過性のものに留めず、事業価値創出までつなげる仕組みへと発展させていくことが重要です。具体的には、PBL受講対象の明確化や効果的な推進体制構築の仕組みづくり、PBL後の進捗フォローの強化を通じて、DX人材育成を「育成施策」にとどめず、「事業変革を推進する仕組み」として発展させていきます。

北海道ガス_齊藤様 /
デジタルトランスフォーメーション・
構造改革推進部 情報プラットフォーム基盤管理グループ 係長 齊藤 圭司 様

弊社担当者の声

北海道ガス株式会社の皆さまと伴走させていただく中で、まず強く印象に残ったのは、受講生の皆さま一人ひとりの課題解決への真摯な想いです。

今回のプログラムでは、各チームが実務において本当に解決したい切実な課題をテーマとして持ち込まれたため、解決に対する想いを持って挑まれる姿が多くみられました。 日々の業務で多忙を極める中であっても、自分たちの手で現場を変えたいという強い想いこそが、考え抜くことの難しさや時間の確保といった様々な障壁を乗り越える最大の原動力になると考えています。

また、こうした現場の熱意を支える事務局の皆さまによる「環境作り」も素晴らしいと感じています。全社的なデータ活用基盤である「Xzilla」の展開をはじめとして、活用可能なデジタルツールの情報整備、現場が迷った際の相談体制の用意など、デジタルを活用できるよう下支えする活動が非常に成熟しています。現場の変革を支えるために日々真摯に思考し、活動されている事務局の皆さまから我々も多くを学ばせていただきました。

DXの成功には、「現場の変革への熱意」と「それを実現できる環境」の両輪が不可欠です。 現場の想いと、既に整っている高度なデジタル環境。この両者を繋ぎ合わせるための実践的なスキルとマインドを今回の研修で醸成できたことは、デジタルを梃子にした中長期戦略の達成に向けた大きな一歩になると確信しています。

私たちは、これからも皆さまの変革に対する真摯な姿勢に寄り添い、具体的な成果創出、そして北海道の未来を創る挑戦に向けて、共にまい進してまいります。

金松 茉那実
株式会社STANDARD
シニアマネージャー 金松 茉那実

        

人材育成を柱にDXの実現とその先のDXの内製化まで一気通貫でご支援します。
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